「結局この香水用語ってどういう意味なの?」「なんかどこの香水用語集も同じことばかり言っていてつまらない…。」そんなあなたに朗報!どこよりも詳しく、調香師の言葉を根拠に、香水用語について解説をした用語集がここに誕生!!さらに詳解が必要なものは専用ページも♪香水愛好家・香水販売員が拠り所にできる香水用語集の決定版を目指しています。
※2022年11月現在60の用語を解説中
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あ行
アコード
「和音」を意味する音楽用語に由来し、2つ以上のノートの組み合わせが上手く働き、ハーモニーを奏でるような香りが生まれるとき、それをアコードと呼びます。
調香において最も難しいパートは、最初に浮かんだアイデアのアイデンティティーを失わずに、アコードを香水へと創り変えるところになります。
ソニア・コンスタン
#accord
アトマイザー
歴史的には、1887年に、Dr. Thomas DeVilbissという医者が自身の患者の喉の奥に薬をスプレーするために作られました。彼の息子が1905年に会社に入社すると、香水のアトマイザー製作が始まったと言われています。
現代香水業界においては、香水を使いやすく、持ち運びやすく、どこでも気軽に使えるように可能にする詰め替え用の香水ボトルのことを言います。
スプレータイプだけではなく、ロールオンタイプなどいくつか種類があります。
#atomizer
アブソリュート
蒸留、または溶剤抽出法によって抽出されたコンクリートからアルコールで油脂を洗い流して得られる精製されたもの。
#absolute
アンバー
主にラブダナム、ベンゾインなどの樹脂とバニリン(もしくは天然のバニラ)から成る甘く温かみのあるコンポジションを意味します。
#amber
アンフルラージュ(冷浸法・温浸法)
伝統的な溶剤抽出法の1つです。豚や牛の脂で、花から発せられている香りの分子を油脂に吸着させ、まず「ポマード」と呼ばれる香気成分を含む脂を得ます。
このポマードを低温のアルコールで溶解すると、アルコールに香りが移り、そのアルコールを揮発させることで精油を手に入れることができます。これを冷浸法(仏:L’enfleurage à froid、英:Cold enfleurage)と言います。特に水蒸気蒸留ができないデリケートな花に使われてきました
逆に、熱を加えて抽出する手法を温浸法(仏:L’enfleurage à chaud、英:Hot enfleurage)と呼び、脂肪を熱して液体にし、ここに花を投入して脂肪に香気成分で飽和させます。
エクストラクト
抽出されたもの全般をこのように呼びます。
#extract
エッセンス(エッセンシャルオイル)
蒸留またはアンフルラージュによって、天然素材から得られるもの。天然香料100%のものをエッセンシャルオイルと呼ぶ。
#essence #essential oil
オーデコロン
「Cologne(ドイツのケルン)の水」。最高に爽快な感じを短時間に生み出すことが目的。ナポレオンは、初期のオーデコロンを1週間で30L以上使っており、島流しにあった際にも「オーデコロンはないのか」と言っていたという逸話が残っています。
オーデトワレ、オーデパルファム、パルファム、賦香率はこちら。
#eau de cologne
オーデトワレ
「Toilette(トイレ)の水」。Toiletteとは、「身繕いをする」という意。気持ちをリフレッシュしたり、清潔感を出したりするときに使うときにオススメ。
オーデコロン、オーデパルファム、パルファム、賦香率はこちら。
#eau de toilette
オーデパルファム
コロンやトワレに比べ、豊かなシヤージュがあり、香りをエレガントに纏うことができます。
#eau de parfum
オーバードーズ
ある香りを過剰に入れることを、オーバードーズと言います。一般的には、オーバードーズをすることはチャレンジであり、その香水は個性的になることが多いため、ニッチフレグランスでよくなされます。
すべてはバランスです。何もオーバードーズはされていないのです。
ドミニク・ロピオン
#overdose
オリエンタル
オリエンタルノートの特徴は、東洋で産出しヨーロッパへと運ばれてきた香料である、バニラ、アンバーノート、パチョリ、サンダルウッド、樹脂(ミルラ、ラブダナム、ベンゾインなど)、ムスクなどに、香辛料が加わっている点になります。特に、ヨーロッパが抱く東洋(特にインドやアラビア)への幻想やイメージを香りにしており、ミステリアスで官能的、エキゾチックで温かみを感じる香りになっています。
香水業界にとってのオリエンタル香水とは、建築にとってのバロック様式と同じです。
フレデリック・マル
#oriental
オルガン
音楽用語から来た言葉の一つです。「調香師のオルガン」とか「調香オルガン台」とも呼ばれます。これは調香師が使う香料の原料を、その調香師が使いやすいように並べられた台であり、その見た目が、さながらパイプオルガンのようであることから名付けられました。
基本的にオーダーメイドで作られ、配置だけでなく、形やサイズなどのレイアウトも調香師によって異なります。
#perfumer’s organ #perfume organ
オルファクティブ・ファミリー
フレグランスファミリーとも呼ばれ、同じような香りの系統や共通するキー成分によって香水を大まかに系統だてたものを言います。シトラスやフローラルなどがファミリーの中に含まれ、それぞれのカテゴリーがそれぞれに特徴的な性質を含んでいます。カテゴライズはいくつか提唱されているものに違いがあります。
#olfactive family #fragrance family
か行
香りのピラミッド
オルファクトリーピラミッドとかパフュームピラミッドとも呼ばれ、香料(ノート)の揮発速度によって分けられるトップノート、ミドルノート、ベースノートを分かりやすいようにピラミッド型にして、揮発しやすいトップを先端に、最後まで残るベース部分を最下層に位置させたもの。かの偉大なジャン・カールが自身の香水を業界以外の人に説明するために構築したものになります。
最も有名なピラミッドは上記の3つに分けるパターンですが、オルファクティブ・ファミリーに則り、8階層に分けるピラミッドもあります。
しかし、最も重要なことは、ほとんどの香水はピラミッドの説明に沿って作られておらず、ピラミッドの各階層にある香り(ノート)が含まれているが意味するのはその香りの一部分であるいうことです。そして、このピラミッドに従って作られた香水は1930年代~70年代の香水なのです。しかし、香りを理解する助けにはなるので、よく活用されています。
これを音楽用語に置き換えれば、シンフォニーの第一楽章、第二楽章、第三楽章といったところでしょうか?人との出会いなら、トップノートが第一印象。ミドルノートは、相手の人柄で、ラストノートは、相手の心の底にある信念のようなものにたとえられるかもしれません。
新間美也
#olfactory pyramid #perfume pyramid
揮発速度
香りが肌の表面から蒸発するスピード。元々「揮発性がある」とは、空間に香りが広がる可能性が高いことを示しており、沸点が低いほど揮発性も高くなります。
#evaporation rate #volatility
共感覚
シナスタジアとも呼ばれ、1つの刺激に対して複数の感覚も得ることを言い、特に芸術的感性の高い人によくある感覚になります。地球上の約4%の人が経験すると言われています。
香水業界においては、香りを嗅いだときに、色が見える共感覚を持つ人がいます。これは、ある香りを嗅いで「緑っぽいイメージがする」という曖昧な感覚ではなく、「緑が見える」という強烈なものになります。
例えば、フレデリック・マル、クリスティーヌ・ナジル、ブルーノ・ジョヴァノヴィック、カリス・ベッカー、ティエリー・ワッサーが自身の共感覚を明言しています。また、フランシス・クルジャンは、「香りを嗅ぐと音が聞こえる」という共感覚を持っています。
グリーンノートは嗅ぐとハイピッチに感じます。トップノートはたいていの場合、クリスタルのグラスを割った時のような、とても速い音を感じます。バニラの場合はローピッチの音を感じます。そして、アルデヒドは振動のように感じます。
フランシス・クルジャン
#synesthesia
グルマン
合成香料であるエチルマルトールのオーバードーズとチョコレートを想起させる天然のパチョリを組み合わせることで生まれるグルマンは、子供の頃に食べたお菓子を思わせる美味しそうな香りになります。
#gourmand
香気成分
ある物から発せられている香りに含まれる香りを有する成分のことを言います。このバランスによって、同じ花でも品種や栽培された場所によって香りが異なります。例えば、ローズは500以上の香気成分から成立っています。
#aroma compounds
合成香料
1. 化学的に生み出された合成物質の香料
2. 天然香料から分離させて使う単離香料(海外ではこれも天然香料とみなす)
ケミカルとも言われる合成香料は、香りを香水という芸術へと昇華させたものと言われます。香水史上、最初に合成香料を使ったのは、フジェールロイヤル(1882、ウビガン、ポールパルケ)です。
希釈して使用するとたいてい魅力的な香りになるが、分量が多すぎると粗野で下品な香りになる。
ロジャ・ダヴ
合成香料は、だましの効果をもたせたり、細工をしたり、抽象的な演出をするのには都合がいい。
ジャン=クロード・エレナ
#artificial ingredients #man-made ingredients #synthetic #chemical
コンクリート
主に溶剤抽出法によって新鮮な花から得られるワックス状のもの。なお、種子やゴム樹脂のような乾燥した植物から抽出されたものはレジノイドと呼ばれる。
#concrete #resinoid #resin
コンバイニング
違う香りを組み合わせて、重ね付けすることをコンバイニングと呼びます。主にジョーマローンではコンバイニングの呼び名が採用され、ゲランではレイヤリングもしくはミクソロジーと言います。
#combining #layering #mixology
コンポジション
「香りのコンポジション」のように使われ、構成要素や構成成分の意味で使われます。
#composition
さ行
シグネチャーセント
シグネチャーパフュームとかシグネチャーフレグランスとも呼ばれ、自身のサイン(signature)となるような香り・香水のことを言います。
シグネチャーセントとは、あなたのことを真に定義する香水のことを言います。つまり、あなたが何を表現したいのか、をまさしく語ってくれる香水のことなのです。
クリードの公式サイトより
私は、一つのシグネチャーパフュームを使うべきだとか人生の香りを見つけるべきだという、マーケティングの号令から、女性を解放したいと思っています。そんな香水は、現代には存在しません。この新時代では、女性は多くの戦いに勝ってきたのです。だから私は彼女たちのために、香りのワードローブを創っているのです。どこにいようが、いつだろうが、完全に自由に、彼女たちについていく香りのコレクションが私のブランドの香水なのです。
フランシス・クルジャン
#signature scent #signature perfume #signature fragrance
シニアパフューマー
ジュニアパフューマーから晴れてシニアパフューマーとなった調香師は、その才能を開花させ、会社からその貢献を認められるとシニアパフューマーというポジションを与えられます。単なる調香技術だけではなく、育成も求められるポジションになります。
#senior perfumer
シプレー
地中海に浮かぶキプロス島(Cyprus)に名前を由来する1917年のChypre(コティ)という香水から始まる香りのファミリー。特徴は、まず強烈なシトラスノートから始まり、フローラルのアブソリュートが現れ、最後に最も重要なラブダナムのスウィーティな深みとウッディノートが香ります。
シプレー系の香水は、最初の香りからすぐには全ての香りが分かりません。徐々に、徐々に、纏っている人にその秘密を明らかにしていくのです。
ドロシー・ピオット
#chypre
シヤージュ
元々は、海上を船が通った際に残す白い航跡をシヤージュ(Sillage)と言いますが、香水業界では、人が通った跡に残る「残り香」をシヤージュと言います。
#sillage
ジュース
ボトルの中に入った液体(香水自体)のことを指します。
#juice
ジュニアパフューマー
調香師になりたて1年生。マスターパフューマーのアシスタントとして調香をしたり、様々な技術を学んだりしながら、シニアパフューマーの元で最低でも7年近くは学ぶことになります。
#junior perfumer #trainee
シングルノート
1つのノートで作られた香りのことを言います。1つのノートは200種までは異なる香りの成分を含んで作られるため、シングルノートだとしても複雑な香りを感じることもあります。
#single note
シングルフローラル
1つの花に焦点を当てて作られた香水のことを言います。 モノフローラとかソリフローラとも呼ばれます。
#single floral #soli flora
スパイス
香水で使われるスパイスは、ホットスパイスとコールドスパイスの2種類に大きく分類されます。
ホットスパイスとは、包み込むような温かさを感じるスパイスで、ペッパー、クローブ、ナツメグ、シナモン、アニスなどを言います。
コールドスパイスとは、冷たさや爽やかさを感じるスパイスのことで、サフラン、カルダモン、ジンジャー、コリアンダー、キャラウェイなどを言います。
ちなみに、クミンは少しだけアニマリックな香りを出す香料として使われます。
#hot spice #cold spice
専属調香師
インハウスパフューマーと呼ばれる専属調香師は、あるブランドに信頼され、お抱えの調香師としてメインで、ブランドの香水を生み出す、真に実力を認められた人たちになります。
ブランドによっては、専属調香師だけに調香を任せることもあれば、外部の別の調香師にも調香をお願いすることもあります。また、契約内容によっては、専属調香師であっても、他のブランドの香水を調香することがあります。
特に、シャネルやエルメス、ディオール、ゲランのようなブランドは、過去の名香のフォーミュラの維持が専属調香師の仕事でもあり、その責任はとても大きなものとなっています。
私の日々の仕事の一部は、シャネルN゜5を維持することです。1年を通してほとんどの時間、その品質を保つために必要な素材を確実に得ることに費やしているのです。1年の始まりは柑橘類、それからオレンジブロッサム、5月にはローズ、9月にはジャスミン、1年の中で何回かはイランイラン。歴史に根ざした職というのは、絶えず気を張っていないといけないのです。
オリヴィエ・ポルジュ
#in-house perfumer
た行
単離香料
天然単離香料とも呼ばれ、天然の香料から1つの香りの分子を取り出したものを言います。一般に香りは、複数の香りの分子から成り立っており、例えば、ローズは400種以上の香りの分子を含んでいます。単離香料で有名なものには、へディオンやムスコンなどがあります。
新しい単離香料が1つ発見されれば、それが香水業界の歩みをまったく違う方向に変えてしまう可能性がある。
ロジャ・ダヴ
違う原料に同じ分子が含まれているのは珍しいことではない。つまり、育てやすくコストもそれほどかからない原料から特定の香りを引き出し、高価な香りや手に入れるのが難しい香りに、それとなく似せてレプリカをつくることができるということだ。このような香りはにおいがきつくなることが多い。それは単離香料が成分の一部分でしかないため、おおざっぱな香りになってしまい、完成されたオイルに見られる繊細なニュアンスが欠けるためである。
ロジャ・ダヴ
#isolate
調合香料
スズランをはじめとして、天然の素材の精油を使用することができない香りを模倣するために作られた香料のこと。
#aroma compound
天然香料
天然の素材から得られる香料のことで、植物性香料と動物性香料に分けられます。現在では、動物から天然に採れる香料はほとんど使われないため、一般に天然香料と言うと植物から抽出された香料を意味します。
#natural ingredients
トップノート
トップノートは、ヘッドノートとも言われ、最初の数分よく香る部分になります。
ミドルノート、ラストノートはこちら。
#top note #head note
な行
ニッチフレグランス
ニッチとは、「大きくはないが特定のニーズや市場の隙間狙った部分」を意味し、香水に限らず使われる言葉です。ここ20年で増えてきたメゾンフレグランスのブランドは、ブランド規模もメインストリームに比べるとかなり小さく、多くの場合、「香水を芸術として捉える」というニッチな市場でブランドをローンチするため、ほとんどがニッチブランドに位置します。
(類義語)メゾンフレグランス
#niche fragrance #niche perfume
ノート
「音階」を意味する音楽用語に由来し、7つの音階を組み合わせて音楽を作るように、香水では「複数の香料で作ったノート」を組み合わせて香りを作っていきます。
#note
は行
パフューマー
調香師、またの名をフランス語でnez(ネ)と呼ばれます。nezとは、鼻の意味で、英語ではnoseとも呼ばれます。基本的には、perfumerと呼ばれますが、特に素晴らしい調香師をnezと呼ぶことが多いです。
調香師と言うと、日本では香水だけではなく、フレーバーを作る人(フレーバリスト)のことも指すため、使い分けが重要です。
#perfumer #nez #nose
パルファム
香りが強いと誤解されることが多いですが、実際には強いわけではなく、むしろ最高にソフトで、絶対的な品格を持ち、フォーマルな場面、パーティなどで使うことができます。
オーデコロン、オーデトワレ、オーデパルファム、賦香率はこちら。
#perfume #parfum
ファインフレグランス
香水のことを、他の製品(トイレタリー製品、洗剤、柔軟剤など)と比較して、ファインフレグランス(純粋な香水という意味)と呼びます。
ファインフレグランスの調香師はファッションの世界と関わりがあるおかげで注目を受けるが、実のところ香りを操る腕前においては、優れたポーカープレイヤーのようなことをしているトイレタリーの調香師にはかなわないよ(トイレタリーは、ひどい臭いのする化学品の上にきれいな世界を描かなければならず、テクニックがいる)。
ティエリー・ワッサー
#fine fragrance
賦香率(ふこうりつ)
「アルコールに溶かした香料の割合」のことを言います。香料の濃度によって、大きく4つの分類がなされています。濃度低←オーデコロン、オーデトワレ、オーデパルファム、パルファム→濃度高
これらの言葉は、単に濃縮度の違いを示す用語ではなく、香水の表現のかたちを示す用語です。
新間美也
#perfume concentration #ratio of alcohol
フゼア
1882年にウビガン社が発売したフジェール・ロイヤル(ポール・パルケ)から始まった系統。Fougèreとは、フランス語で「シダ(植物)のような」という意味です。主に、オークモス、ラベンダー、ゼラニウムといったハーバルな香料に、クマリン(トンカビーンに含まれる桜餅や干し草のような香りがする分子)を加えることで作られます。トップノートのゼラニウムの香り方がフゼアの決め手とも言われています。
#fougere
フラコン
ラテン語のフラスコ(flasco)を語源とするフラコンは、小さく、キャップのある装飾のほどこされたボトルを意味します。概して、香水のボトルを指します。
#flacon
フランス地図
香水について学んでいると必ず出てくるフランスの都市。知っておきたいのは大きく2つ。香りの都と呼ばれるパリとグラースです。
実は、この2つはほとんど真反対に在り、パリは内陸部の都市、グラースは地中海に面している都市になります。
グラースは様々な香料の産地であり、ロベルテ社の本拠地であることでも有名です。
さて、このグラースを含む、地方の名をプロヴァンスと呼び、プロヴァンス地方の地中海に面した沿岸をコートダジュール(英:フレンチリヴィエラ)と呼びます。
#Paris #Grasse #Provence #Côte d’Azur #French Riviera
フランソワコティ賞
現代香水業界の礎を築いた伝説フランソワ・コティの名を取ったコティ賞は、これまでの業界への貢献と実績を認められた調香師に与えられる栄誉であります。
歴代受賞者は、以下の通り。
2000年:ジャン・ギシャール(Jean Guichard)
2001年:フランシス・クルジャン(Francis Kurkdjian)
2002年:モーリス・ルーセル(Maurice Roucel)
2003年:アルベルト・モリヤス(Alberto Morillas)
2004年:ジャック・キャヴァリエ(Jacques Cavallier)
2005年:ソフィ・ラべ(Sophie Labbe)
2006年:ロレンツォ・ヴィロレッツィ(Lorenzo Villoresi)
2007年:クリスティーヌ・ナジル(Christine Nagel)
2008年:ドミニク・ロピオン(Dominique Ropion)
2018年:エミリー・コッパーマン(Emilie Coppermann)
2019年:シャマラ・メゾンデュー(Shyamala Maisondieu)
2021年:ファブリス・ペレグリン(Fabrice Pellegrin)&クリストファー・シェルドレイク(Christopher Sheldrake)
#francois coty award
フレーバー / フレーバリスト
香りの世界では、香りは主に2つに分かれます。フレグランス(香水)とフレーバーです。フレーバーは、飲食物に幅広く利用され、その境界を広げる香料のことを言います。
つまり、近代技術の発達により、本来は必要のない(生まれることのなかった)飲食物にまで使われ、人間の食の楽しみを増やしたのがフレーバーなのです。ちなみに、日本でフレーバーが本格的に発展したのは、1947年に食品衛生法が施行されてからです。今では当たり前のオレンジジュースの清涼飲料水は、1951年頃から発売されています。
フレーバーは、フレーバリストによって調香されます。フレーバリストは、パフューマーと同じで調香師と呼ばれ、調香師学校にコースがあります。フレグランスよりも発達するのは遅かったフレーバーですが、その産業はフレグランスよりも多岐に渡っています。
#flavor #flavorist
ブロッター
匂い紙、ブロッター(英:blotter)、ムエット(仏:mouillette)、海外ではscent strip、smelling-stripとも呼ばれます。紙自身に匂いが無いのが特徴です。他の紙では匂いがするものが多く、香水の評価を正しくできないため、代替しない方が良いです。
#blotter #mouillette #scent strip #smelling-strip
フローラルブーケ
1つの香りの中に様々な花の香りを詰め込んでブーケのようにした香りのことを言います。より女性らしさを感じる香りになります。
(対義語)シングルフローラル
#floral bouquet
ま行
マスターパフューマー
調香師の中でも特に素晴らしい香りを調香していたり、香水業界に貢献したりしている調香師たちを、敬意を込めてマスターパフューマーと呼ぶことがあります。基本的には、各調香師の所属する香料会社がマスターパフューマーとして表彰することが多いです。指折り数えるほどしかおらず、とても栄誉な称号になります。(ただし、ここ数十年でできたものなので、昔の調香師はもらっていない場合がほとんどです。)
下記に代表的な3社のマスターパフューマーを記します。
- ジボダン社→Jean Martin、ジャン・ギシャール(Jean Guichard)、ナタリー・ファイツァー(Nathalie Feisthauer)、ダニエラ・アンドリエ(Daniela Andrier)、カリス・ベッカー(Calice Becker)、ロドリゴ・フローレス・ルー(Rodrigo Flores-Roux)、オリヴィエ・ギロチン(Olivier Gillotin)など
- IFF(現在8名)→カルロス・ベナイム(Carlos Benaim、2013)、ドミニク・ロピオン(Dominique Ropion、2018)、Francisco Marano(2018)、Stephen Nicoll(2018)、アン・フリッポ(Anne Flipo、2019)、Franc Schiet(2020)、Shoji Kumasaka(2020)、Drik Lauven(2021)
- フィルメニッヒ社→アニー・ブザンティアン(Annie Buzantian、1988)、アルベルト・モリヤス(Alberto Morillas、1998)、Adilson Rato、オリヴィエ・クレスプ(Olivier Cresp、2006)、ハリー・フレモント(Harry Fremont)、オノリーヌ・ブラン(Honorine Blanc、2013)、Johannes Feser(2013)、Martin Koh(2013)、ナタリー・ローソン(Nathalie Lorson、2016)、Tony Reichert(2016)、Gary Marr
マスターパフューマーとは、香水の分野において、大変高度な芸術的技術を体現する人物であり、香水業界の将来を形作る人物であります。
フィルメニッヒ社より
#master perfumer
マセラシオン
フランス語で「醸し」を意味し、ワインの製造工程の中でよく使われる用語です。香水においても、特に質を決める重要なステップと考えられており、熟成された香料のオイル(→マチュレーション参照)をアルコールと混ぜた際に、数週間から数か月馴染ませ、香り全体が均一になるようにします。
マセラシオンをしていることを明言しているブランドは、アムアージュ、フレデリックマル、FUEGUIA1833、ルラボなどになります。
マチュレーションやマセラシオンは、よく見過ごされやすいですが、とても重要なプロセスです。特に天然香料を大量に含んでいる作品にとっては、とりわけ大事なのです。
セシル・ザロキアン
#maceration
マチュレーション
ブレンドした香料をベースのアルコール等に混ぜる前に、エイジング(熟成)させる過程のことを言います。最低2~3週間は、フォーミュラが調和するために必要だとされています。
マチュレーションとマセラシオンの過程は私の作品と同じと言っていいくらい大切です。私は同時に異なるプロジェクトで調香していますが、少し時間をとることで、よりフォーカスすることができるのです。
ベルトラン・ドゥショフール
#maturation
ミドルノート
トップノートの後、2~4時間かけて展開する部分で、調香師が最も表現したい部分のため、ハートノートとも言われます。
#middle note #heart note
ミュートフラワー
サイレントフラワーとも呼ばれ、日本語で「沈黙の花」と訳されるこの用語は、香料がほとんど抽出されない(できない)花々のことを言います。スズラン、ハニーサックル、ガーデニア、スイートピー、ユリ、バイオレット、カーネーション、ライラックなどに使われる言葉です。これらの香りは、基本的に他の天然香料や合成香料の組み合わせによって、再構築されます。
#mute flower #silent flower
メインストリーム
本流という意味で、シャネル、ディオール、ブルガリ、グッチといったファッションブランドのフレグランスとほぼ同義。デザイナーズフレグランスとも呼ばれます。これらのブランドでは、広告や宣伝、市場調査といったマーケティング戦略に多くの予算を割き、調香師は限られた予算と時間の中で、そのブランド(もしくはディレクターの方向性)を表現することが求められます。制限の中で素晴らしい香水を作らなければならないため、調香師の腕が試されるといっても過言ではないでしょう。
なぜデザイナーフレグランスがみな同じ香りのように感じるのか考えたことがあるかい?彼らはフォーカスするグループが同じだから、似た香りになっているんだ。
不特定多数の人たちが好きな香りにしていくのが調香師の役目であり、可能な限り大きな国際市場に向けて、彼らは作らなければならないのです。もちろん、簡単な仕事ではありませんが、クリエイティブでもなければオリジナルでもないのです。
フレデリック・マル
#mainstream #fashion fragrance #designers fragrance
メゾンフレグランス
フランス語で家の意味を持ち、フレグランスメゾンなどと呼ばれます。フレグランスをメインで作っている香水専門のブランドのことです。香水の創作に特に力を入れており、お金や時間を惜しまずに香水にかけ、宣伝や市場調査をしないブランドが多いです。
#maison fragrance
メンター
指導者や助言者、師、という意味を持ちます。香水業界では、自身に大きな影響を与えた師匠として語られます。ある調香師のメンターを見ると、その人の調香にどのような影響を与えたのか、垣間見えることがあります。
#mentor
ムスク
ムスクには、動物由来と植物由来、合成香料があります。いずれも、コンポジションのバランスを取り、わずかなセンシュアリティと温かみを与える役割を持ちます。素晴らしい接着剤でもあり、蒸発率を下げ、より香りの持続時間を長持ちさせるためにも使われます。→詳細はこちら
#musk #musc
ら行
ラストノート
1日中香る部分で、ここにどれだけ高品質なものが使われているか、持続時間を長引かせる香料が使われているか、によって持続時間が決まってきます。ベースノートとかドライダウンとも言います。
#last note #base note #dry down