Q. 賦香率とは?トワレとかオードパルファムって何?

A. 賦香率(ふこうりつ)とは、アルコールに溶かした香料の割合のことを言います。言い換えれば、「香りにおける香料の濃度」のことを指しますが、「賦香率=香りの強さ」ではありません。香りの強さは、むしろ香料によって決まってきます。

 また、アルコールによって、香料は揮発(きはつ)しやすくなり、空気中に香りが拡散しやすくなります。そのため、香料の濃度が高くなる=アルコールが少なくなる=香りが揮発しにくくなり、肌に残りやすくなります。

 香りの持続時間は、以下のように、大まかに賦香率によって決まってきますが、香料の質やベースノートにどれだけ揮発しにくい香料が使われているかも大きく影響してきます。例えば、シトラスが多いものとウッディやバニラを多く使っているものでは、持続時間が全く異なります。そして、オーデトワレやオードパルファムといった言葉は、単に濃縮度の違いを示す用語ではなく、「香水の表現のかたちを示す用語」であります(新間美也『香水のゴールデンルール』より)。したがって、オーデトワレをつけて「持続時間が短い!」と批判するのは、実はお門違いになります。至極当然なのです。

持続時間

オーデコロン(Eau de Cologne)→1~2時間
オーデトワレ(Eau de Toilette)→3~4時間
オーデパルファム(Eau de Parfum)→5~6時間
パルファム(Parfum)→7時間以上

オーデコロン

 Eauとは、フランス語で「水」という意味です。したがって、オーデコロンは、「Cologne(ドイツのケルンの英語読み)の(de)水」となります。ドイツからフランスに持ち込まれたため、このような呼び方になりました。元々、身体の衛生のための製品・身体の不快を癒すための飲用万能薬として使われていました

ちなみに

ナポレオンは、初期のオーデコロンを1週間で30L以上使っており、島流しにあった際にもオーデコロンはないのかと言っていたという逸話が残っています。

 オーデコロンは、最高に爽快な感じを短時間に生み出すことが目的のため、トップノートが80%を占め、持続時間は最も短いです。シトラスの代表的な柑橘類(レモン・オレンジ・ベルガモットなど)やオレンジフラワーネロリプチグレンなどがメインで使われます。賦香率は、2~4%です。シャワー後やリフレッシュしたい時に使うと良いでしょう。

オーデトワレ:

 オーデトワレは、「Toilette(トイレ)の水」になりますが、ここでのToiletteは、「身繕いをする」という意味になります。したがって、身繕いをするために使う水のことをさします。
 また、「織物」の意味もあるため、香りの織物に由来するという説もあります。何百年も前には、何か月もかけて織物に香りを染みこませ、スポンジ状にしたのちに乾かし、それで体を清めたり、香りづけをしたりしていました。時代を経て、アルコールに溶かしたものが作られるようになっていったのです。

 オーデコロンに比べて、アルコールの量が少なくなっており、その分、肌に残り持続しますが、コロンと同じで香りを楽しむというより、気持ちをリフレッシュしたり、清潔感を出したりするときに使うときにオススメです。賦香率は3~8%で、香りの80%は4時間で揮発します。

オーデパルファム:

 オーデパルファムは、賦香率が7~14%で、持続時間がさらに長くなります。コロンやトワレに比べ、豊かなシヤージュ(香りの跡)があり、香りをエレガントに纏うことができます

パルファム(香水):

 名香と呼ばれる香りは、歴史上、パルファムタイプで発売されてきました。特に香りが強いと誤解されることが多いですが、実際には強いわけではなく、むしろ最高にソフトで、絶対的な品格を持ち、フォーマルな場面、パーティなどで使うことができます。賦香率は、20~40%で、香りの構成の50%にものぼるベースノートは、24時間香ります。

この記事を書いた人

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

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