Sandalwood
サンダルウッド

サンダルウッド 香料あ行か行さ行

基本情報

サンダルウッドは、シダーウッドイソEスーパーのように明るくて、輝いている木の白い側面を表現する香りです。パチョリベチバー、パピルスは逆に乾いていて、土っぽく、木のダークな側面を表していると思います。

フランク・フォルクル

 日本では白檀とも呼ばれるサンダルウッドは、インドやハワイを原産とし、約15種類あります。4000年前のインド、エジプト、ギリシャ、ローマで使用されたという文献が残っており、サンダルウッドで建てられたお寺も存在します。お香(インセンス)としてもよく使用されます。

 香水でサンダルウッドと言った場合は、Santalum albumSantalum spicatum・Santalum austrocaledonicumの3種類を指します。共通しているSantalumとは元々、サンスクリット語→アラビア語と変遷を経て、ラテン語でついたサンダルウッドの木を表す名前になります。大人の木になって、精油が抽出されるまでには、おおよそ25年から30年かかると言われています。

3種のサンダルウッドの違い

Sanatal album

 albumとはラテン語で白を意味し、木の断面の中心部が白いことから名づけられました。通称ホワイトサンダルウッドと呼ばれるこの種はインド南部Karnataka(カルナータカ)州に生息しています。世界で精油となっている白檀は、ほとんどがカルナータカ州産と言われるほど、白檀の生産が多かった場所になります。
 カルナータカ州には、かつてマイソール王国が存在しました。そうここの白檀こそが、伝説のMysore(マイソール)産サンダルウッドです。しかし、20世紀後半の過剰な伐採により絶滅の危機に瀕し、現代香水界では使われなくなりました。

 マイソール産サンダルウッドの枯渇の問題から、一部はスリランカやオーストラリアに植林することで、2000年代前半には再びこのホワイトサンダルウッドを使うことができるようになりました。初めてその倫理的なサンダルウッドを使った香水がドリスヴァンノッテン(フレデリックマル、2013、ブルーノ・ジョヴァノヴィック)になります。

Santalum spicatum

 spicatumとはラテン語でspiky(穂状の)という意味で、恐らく穂状に花・実をつけることからついた名になります。オーストラリアンサンダルウッドとも呼ばれ、1990年代からプランテーションが始まりました。主にオーストラリアの西部・南部で育てられます。

Santalum austrocaledonicum

 austrocaledonicumとはこの木が生えている土地であるニューカレドニア(New Caledonia)のラテン語になります。バヌアツでも生息しています。別名イエローサンダルウッドと呼ばれています。マイソール産が使えなくなった際に窮地を救ったとされるサンダルウッドです(植物学的には異なるものの、精油はマイソール産とかなり似ているとされる)。ただし、栽培が上手くいかない場合もあるらしい。
 年間1t~2tのエッセンシャルオイルは、このサンダルウッドになります。初の女性用ウッディフレグランスと呼ばれるシャネルのレゼクスクルジフラインのボワデジル(1926)は、エルネスト・ボーが作ったバージョンはマイソール産でしたが、ジャック・ポルジュがリフォーミュラしたものは、マイソール産の絶滅により、ニューカレドニア産を使用しています。

 日本では概して白檀と呼び、お香や香道で古くから使われてきた素材になります。まずは日本香道をチェックしてみると良いでしょう。

香料サンダルウッド

 サンダルウッドは、面白いことに、根から土壌の栄養分を吸収できないため、近隣の植物の根から樹液を取り込む半寄生植物です。精油は、主に水蒸気蒸留によって収率5%(200kgから10kg採れる計算)で抽出されます。
 揮発時間がかなり長いため、香水を皮膚に留めるための保留剤として最適な香料になります。ねっとりとし、まろやかで、ミルキーさがあり、ウッディさと甘さ、バルサム調の香りがします

良質なサンダルウッドの匂いは、ウッディノートというよりもむしろムスク、アンバー、パウダリー、フローラル・ノートで構成されます。ミルキーな甘さと艶があるがしつこくはありません。

大沢さとり

 サンダルウッドの香りの構成成分は80%がα-サンタロールとβ-サンタロールになります。最初のサンダルウッドの合成香料は、1947年ジボダンの化学者が発明したイソボルニルシクロヘキサノールです。分子構造自体はサンタロールに近く100倍くらい安いのですが、香りに奥行きが無く、サンタロールとは香りが比になりません。それ以降、様々なサンダルウッドの合成香料が開発され、香水や石鹼など様々な香りに使用されています。
 「ゲランのサムサラは天然と合成のサンダルウッドが美しいバランスを保っている香水*」だと言われます。

若い頃はよく使っていたのだが、サンダルウッドの精油が私のお気に入りの香料になることは決してありません。香りはフラットで、挑発的、怠惰で、深みに欠けます。合成にいたっては玉ねぎのような香りがします。

ジャン=クロード・エレナ

代表的な香水

サンダルウッドを香水に入れれば、心地良さのある華やかさや深み、構造を与えることができ、さらには香水を肌の上で驚異的に持続させることができます。

ティエリー・ワッサー

 サンダルウッドを使用した香水はシャネルのボワデジル(1926)が古くは有名ですが、主に90年前後を境に増えていきます。
 分類は、主にSandalwood(Nez Editions、2020)を元に、場合によって追加等しています。詳細をご覧になりたい場合は、この本がオススメです。

オリエンタル&フローラル

サムサラ(ゲラン、1989)

オリエンタル

サンタルロイヤル(ゲラン、2014)、サンタルノワール(ディオール、2018)

オリエンタルバニラ

ドリスヴァンノッテン(フレデリックマル、2013)

スパイシー&ミルキー

エゴイスト(シャネル、1990)、サンタルドゥマイソール(セルジュルタンス、1991)

スパイシー

サンタルブラン(セルジュルタンス、2001)、サンタルブラッシュ(トムフォード、2011)、サンタルマジュスキュール(セルジュルタンス、2012)、コンクリート(コムデギャルソン、2017)

ミルキー

サンタルマソイア(エルメス、2011)、サンタル33(ルラボ、2011)、セイクリッドウッド(キリアン、2014)、ミルキームスク(パルルモアドゥパルファム、2016)、サンタルブラン(ヴァンクリーフ&アーペル、2019)

ウッディバルサミック

サンダロ(エトロ、1989)、タムダオ(ディプティック、2003)

この記事を書いた人

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

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Le Chercheur de Parfum

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