Violet
バイオレット

バイオレット 香料た行な行は行

 英語でViolet(バイオレット)、スペイン語でVioleta(ビオレタ)と呼ばれるスミレは、ギリシャ語の「イオン(ion)」が語源という説があります。

 ある説では…ギリシャ神話の最高神ゼウスは、あるとき水の精イーオー(Io)という少女に惹かれ、この娘を無理に犯してしまいました。しかし、ゼウスにはオリンポスの最高位の女神ヘーラーという正妻がおり、彼女はゼウスの浮気に勘付きます。ヘーラーに現場をおさえられることを恐れたゼウスは、イーオーを牝牛へと変身させます。イーオーを憐み、スミレの草を食べさせました。しかしそれがヘーラーに再びバレ、妻の仕打ちを恐れたゼウスはイオを星にしました。その後、彼女の瞳と同じ紫色の花をスミレに咲かせたのでした。ここから、この花の名が、ion→violetへと変化したという説です。
 別の説では…ゼウスの息子アポロンが、イオの姿を見て恋に落ち、彼女にアプローチしましたが、婚約者のいたイオは断りました。それに対して怒ったアポロンは、彼女を瞳の色と同じ紫色の花に変えてしまいました。
 他にも複数の説がありますが、可憐で、美しいイオを反映していることに変わりはありません。 

ちなみに

バイオレットは、ナポレオン1世の好きな花で、彼の2番目の妻であるマリー・ルイーズはあまりに愛するがあまりに自身の周りの物の色から模様にいたるまですべてバイオレットにしたという逸話もあります。彼女は、パルマ公国にバイオレット産業を生み出し、繁栄させました。

 バイオレットは、1~4月に収穫され、花は切り花として使われ、のみが香水に使われます。これは花のエッセンスが合成香料で代替可能だからです。このため、香料でバイオレットが使われた場合、バイオレットリーフと表記されることが多いです。

 元々、花のエッセンスは、温浸法(warm enfleurage)や溶剤抽出法によって抽出していましたが、コストがかなりかかる方法でした。1893年に化学者であるTiemannとKrugerが、イオノンを発見すると、この分子だけでバイオレットの花の香りをかなり忠実に再現することができることが分かり、今では花の香りは基本的にイオノンが使われます。葉の香りは、キュウリを思わせる瑞々しい緑色の野菜の香りがします。

 バイオレットリーフを使用した代表的な香水は、ファーレンハイト(Dior)、ダンテブラ(フレデリックマル)、ヴェルテヴァイオレット(ラルチザン)、ヴィオレッタ(サンタマリアノヴェッラ)になります。

ちなみに…

ロジェガレ(Roger&Gallet)は、イオノンが発見された際に、Tiemannを雇っていたハーマン&ライマー社のパートナー企業であったDe Laire社に独占販売権を交渉し、Vera Violettaという香水を発表しました。

この記事を書いた人

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

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