香水好きの間ではもはや当然の如く「サロパ」と略される、通称「サロンドパルファン」。2013年伊勢丹新宿本店から始まったこの香水の祭典は、今やホリデーシーズンの定番イベントに。レポやオススメなどは他の多くの人が書いているので、当サイトでは、サロパの歴史と分析、2023年のブランド解説などより客観的視点から楽しめる内容をどこよりも詳しく書いていきます。過去を知り、今年の注目・楽しみ方を考えてみましょう。
今年もサロパまで定期的に更新予定!(2024年6月15日更新)
歴史と分析
ファーストサロンドパルファン
2013年11月6日、伊勢丹新宿本店は、初めて香水に本気で取り組むイベント「香りの祭典イセタンサロンドパルファン」を本館7階催事場で開催しました。この開催には、「欧米に比べ、香りの文化に馴染みのなかった日本において、近年、香り入りの柔軟剤が当たり前になってきたことなど、香りの文化が浸透してきたこと」が理由になっているようです。このとき、全館の香りをすべて終結させ、限定製品や刻印サービス、フレグランス協会とコラボした予約制のイベントを開催したようです。
この時はまだ実験的かつSNSが今ほど盛んでなかったためか、今のようなアンバサダーによる宣伝や香水好きのレポートはほとんどありませんでした。
製品だけでなく、イベントやサービスを充実させ、今後、伊勢丹の名物催事になることを目指したい。当店から、日本に香りの文化を浸透させたい
伊勢丹バイヤー
阪急の幻のイベント
伊勢丹がイベントを成功させ、毎年続けることになると、阪急が関西で同じようなイベントを試みます。それが2015年8月30日から阪急うめだ本店9階祝祭広場で開催されたギャラリー・ド・パルファンでした。阪急ファッションウィークスと同時開催したこのイベントには14のメゾンから300種の香水が集結し、ゲランのフレグランス講座やラリックのかつての香水瓶の展示販売などが行われました。限定品はなんと1,684,800円のルールブルー(490ml)でした。
しかし、思ったよりも上手くいかなかったのか、まだその時期ではないと考えたのか、次の年に続くことはありませんでした。2020年に阪急メンズ東京にて復活を果たしていますが、それのみになります。
サロンドパルファン2014~2022
第○回 | 年 | 期間 | テーマ | 出店ブランド数 | 特記事項 |
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第2回 | 2014 | 6日間 | 50ブランド | ・ヴェルサイユ125ml 36,504円(ゲラン) ・ピオニーヴ エクストレパルファン30ml×2つ 162,000円(ペンハリガン) | |
第3回 | 2015 | 6日間 | 香り、弾む、こころ | 35ブランド | ・モデル前田典子氏がアンバサダーに就任 ・ファッショントレンドに合わせ、香りのクローゼットとして4つの香りのスタイルを提案 ・エリーサーブの先行発売 ・本格的な宣伝開始により売上前年比150%達成 |
第4回 | 2016 | 7日間 | 繋がる、私の香り | ・アンバサダーは前田典子氏と日比野玲氏夫妻 ・ゲランのディレクターであるシルヴェーヌ・ドゥラクルトが来日&イベント開催 ・アラローズエキストレドゥパルファム 216,000円(フランシス・クルジャン) | |
第5回 | 2017 | 6日間 | 香りと、であう。香りと、過ごす。 | ・モデル加藤夏希氏がアンバサダーに就任 ・オーダドリアンムラノボトル 320,004円(アニックグタール) | |
第6回 | 2018 | 6日間 | わたしを彩るのは、この香り。-香りに魅せられ、香りに出逢う6日間ー | 55ブランド | ・レキャトルセゾン2,484,000円(ゲラン、1点もの×4種) |
第7回 | 2019 | 4日間 | 深まる、高鳴る、香りの新世界。 | 40ブランド | ・エイベックス所属のモデル加治ひとみ氏がアンバサダーに就任 ・公認サポーターが選ばれる ・日本フレグランス協会と連携したイセタンフレグランスアワード初開催(オンラインの一般投票により決定) ・フレデリックマル、キリアン、バイレード、フエギア1833などニッチフレグランスの王たちが初登場 ・ゲランが脳波から好みに合わせたフレグランスを提案するマインドセントをお披露目 |
第8回 | 2020 | 7日間+7か所開催 | 私を変える、香りとの出会い | 60ブランド以上 | ・コロナ禍により初の全国開催 ・全国各地で開催により、地方の百貨店ごとにイベント内容や見せ方に変化が。 ・オーデフルールセドラ 1L 1,540,000円(ゲラン) |
第9回 | 2021 | 7日間 | 運命の香りに、いくつ出会うか。 | ・全国開催&新宿伊勢丹メンズ館同時開催 ・リベルタパフュームがフルオーダーメイドの受注会やワークショップを開催 ・キャディーヌ30ml 101,200円(ゲラン) ・ジッキー1L 130周年ボトル 1,100,000円(ゲラン) | |
第10回 | 2022 | 5日間 | 香りは、わたしに、刻まれる | 44ブランド | ・ジャン=クロード・エレナが来日 ・大阪での開催 |
日本に香水文化は広まっているのか?
サロンドパルファンは2013年以来、本当に成功しているのか?催事としてだけでなく、日本の香水文化に影響を与えているのか?できるだけ客観的視点から考えてみるため、まずGoogle Trendを使用し、「サロンドパルファン」と「フレグランス」のキーワードがどれくらい検索されているのか、推移を調べました。
「サロンドパルファン」は、年間行事ではないため、ミドルキーワードくらいで、検索にかなりムラがあると考えられます。そのため、2013年開始以来、各年、最も検索された月を抽出し、グラフ化しています。一方、「香水」というキーワードは歌でも検索される可能性があるため「フレグランス」にしました。こちらはビッグキーワードになるため、年ごとの平均をとっています。
※最も検索された時を100として、他の時期はどれくらい検索されたのか?というイメージになります。
#サロンドパルファン2017 | 10件 |
#サロンドパルファン2018 | 2件 |
#サロンドパルファン2019 | 133件 |
#サロンドパルファン2020 | 182件 |
#サロンドパルファン2021 | 208件 |
#サロンドパルファン2022 | 703件 |
こうして見ると、サロンドパルファンは多少、年によって上がり下がりはあるものの順調に伸びており、2017年と2019年に急激に上がっていることが分かります。ここが伊勢丹にとってもターニングポイントだったのかもしれません。特に2019年は、ニッチフレグランスにおいて非常に重要かつ世界的に有名なブランドが多数初登場したことが、より香水愛好家の刺激になったのではないかと考えられます。
インスタのハッシュタグ数を見てみると2019年に急激に増え、コロナ禍であった2020年は全国規模での開催ということもあり、さらに増えています。特に2020年において興味深いのは新宿伊勢丹が主導ではなく、各地方に任されたのか、地方ごとにある程度見せ方が自由であったようです。例えば、京都では東山の『ルシヤージュ』代表・米倉氏が自店で扱う香水を大量に引き連れ、さらにブランドの垣根を取り払って、接客を行っていました。そして、アフターコロナの2022年、爆発的なハッシュタグ数になっています。これは大阪ルクアイーレでの開催も大きかったかもしれません。
また、フレグランスは右肩上がりで、大体同じような割合で検索が増えていっているようです。強いて言えば、2020年の検索がより大きく変動しています。ちょうどこの時期に瑛人の「香水」が流行ったため、つける方の香水を調べたい人が流れたのかもしれません。
思うに、サロンドパルファン自体が香水文化を広めているわけではないかもしれませんが、10月から始まるホリデーシーズンの盛り上がりに一役買っていることは、間違いないでしょう。
第11回新宿伊勢丹サロンドパルファン2023
公式ページ:こちら
メンズ館公式ページ:こちら
テーマ:「その先に待つのは、奥深い香りの世界」
期間:エムアイカード会員特別招待日:2022年10月12日(木)午前10時~午後8時
一般会期:2023年10月13日(金)~10月17日(火)最終日午後6時終了
出店ブランド数:59ブランド(当サイトオリジナルのブランドマップはこちら)
※今年のサロパの見どころは、何と言っても京都でしょう。本家のサロパに勝るとも劣らない、いやもしかすると勝っているのではないかと錯覚するレベルの催しとなります。ブランドはルシヤージュで取り扱いがメインになるとはいえ、まさかの豪華セミナー・イベント企画。新宿伊勢丹の公式ページよりも見やすくなっている公式サイト。京都伊勢丹の社員は数年前の初サロパのときからルシヤージュの米倉さんに教育された(彼に求めたといってもいい)からなのか、新宿伊勢丹の社員以上に香水が好きで本当にサロパというイベントを成功させようとしているのかもしれません。数年後には、新宿ではなく、京都が本拠地となっている可能性もあるほど、この数年での差は目まぐるしいと評価します。
初心者向け:サロパの楽しみ方
サロパの最も重要な部分は、「実は多くの香水ブランドが揃っている」、「ホリデーに向けた小さいサイズのセットが販売されている」、「サロパでしか手に入らない限定品がある」という点ではありません。何より、各ブランドにおいて最も販売力の高い選ばれし販売員の方々が勢揃いするという点にあります。コロナによる自粛前の2019年までは、全国各地にいる接客のプロ中のプロたち(各店舗のチーフクラス、トレーナー、ブランド創業者など)が東京の新宿伊勢丹本店に一堂に会していたのです。そのレベルたるや、香水に感動するだけではなく、「こんな香りの楽しみ方、世界があるんだ!」と接客に感動する香水好きも少なくはありませんでした。運がよければ、さらにその中でも一握りの最も素晴らしいと周りから尊敬される販売員やトレーナー、調香師の接客を受けることもできます。
さて、コロナによる自粛生活が始まり、販売員の中にはこのまま販売業を続けるへの不安、そして販売員の声を全く聞いてくれない会社への不満から、大手企業からニッチフレグランスブランドへ転職するということが起こりました。さらに追い打ちをかけるように、2020年、2021年は全国各地でサロパが開催されました。これにより、全国各地の販売員は自身の百貨店から近い場所に赴き接客することになります。つまり、必ずしもすべてのスター販売員たちが東京に来るわけではなくなったのです。
しかし、2023年はもはやアフターコロナ時代。しかも今年はクリードが登場することでしょう。私たちの香水の概念を変えてくれるような接客が新宿伊勢丹本館で受けることのできる可能性は大いにあるでしょう。
個人的には、個々の香水の情報は仕入れずに、気になるブランドを探し、自分がどのような香水を目当てにするかを考え、販売員の方に選んで頂くのが贅沢で楽しいかと思います。下記の楽しみ方の手順を参考にしていただければ、さらに楽しむことができるかもしれません(かもね)。たくさんある中から好きな香りを探すのは大変だから、販売員はいます。しかし、0から一緒に探していくのは時間もかかり、大変ではあるので、予め準備しておくことも大事です。
セミナー(2023年)
サロンドパルファンの醍醐味は香水を試すだけではありません。ブランドの創業者や調香師のセミナーという貴重な体験もできるのです。2022年は日本で最も知られている調香師の1人ジャン=クロード・エレナが来日しました。2023年は、ELLA Kの調香師ソニア・コンスタン、クリードの7代目が来日し、ロベルテ社の日本マーケティング担当と香料を学ぶセミナーやサンキエームサンスジャポンのセミナーもあるようです。他にも貴重な話を聞くことのできるセミナーが多く、別会場でホールを借りてもいいのでは?といつも感じます。(注:事前予約はエムアイカード会員のみですが、当日空席があればカード会員でなくても参加が可能です。)
ブランドマップーあいうえお順(随時更新)(2023年)
今年ついにノーズショップがメンズ館でのイベントに参加し、海外では有名なピエールギヨームが上陸することが分かっています。サロンドパルファンで6F催事場に出店するブランドをまとめました。公式サイトの飛び先は基本的にブランド概要(無ければフレグランスTOPページ)にしています。インスタでブランドの雰囲気を見てみるのも楽しいと思います。
※過去にあったブランドで今回未参加ブランドは打消し線を使用しています。
ピンク→日本語公式サイト、ブルー→ブランド解説記事、グレー→解説記事待ち
アクアディパルマ
アルマーニビューティー
昨年初登場イソップ
ヴァルモン
ヴェルサティルパリ
エディット
昨年初登場エムシーエム
エラケイ
エルメティカ
オーケストラパルファム
オブヴィアス
さくねん初登場カリーヌ・ロワトフェルド
キャロン
キリアン
キャッスル・マッセイ
クヴォン・デ・ミニム(ルクヴォンメゾンドパルファム)
グタール
クリスチャン・ルブタン
クリード
クロエ
ゲラン
初登場ケルゾン
コウシ
コレテルノ
ザディファレントカンパニー
サウザンドカラーズ
サノマ
サルヴァトーレフェラガモ
ジバンシィ
ジョーマローンロンドン
シロ(CIRO)
シロ(SHIRO)
シンピュルテ
スルマントー(sous le manteau)
セルジュルタンス
19-69
ディプティック
トムフォードビューティー
ノンフィクション
パルファンロジーヌパリ
パルファンサトリ
パンピューリ
バンフォード
ピーセブン茶香水(P.Seven)
ヒドニク(HEDONIK)
Bdkパルファム
ブーディカザヴィクトリアス
フラパン
フランチェスカビアンキ
フエギア1833
ブルガリ
フレデリックマル
フローリス
ペンハリガン
ボンドナンバーナイン
ミヤシンマパルファン
ミラーハリス
メジウン
メゾンクリヴェリ
メゾンフランシスクルジャン
メンデットローザ
モスアンドラビット
ラニュイ
ラルチザンパフューム
リキッドイマジネ―ル
リベルタパフューム
Room 1015