Agarwood(Oud)
アガーウッド(ウード)

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基本情報

 ジンチョウゲ(沈丁花)科に属するアガーウッド(Agarwood)は、アラビア語でOudh(ウード)とかOudとも呼ばれる香木の一種です。Wood of the godsとかWater sinking wood、Eaglewood、Calambac、Gaharuなど様々な呼び名が地域によってあります。

 木が傷つき、内部に菌が侵入してきた際、自分を守るために香ばしい樹液を分泌し、それが段々と硬く、深い茶色から黒色に変わっていきます。面白いことに、元の木・葉には香りがありません。この樹液により、それが溜まった部分の木は普通よりも重くなり、水に沈むようになります。このため、沈水香木(沈香)とも呼ばれます。
 この樹液を乾燥させ熱することで独特の芳香を放つようになります。木により香りが多少異なってきます。20kgから12mlのオイルしかとれないため、香料のなかでも最も高価なものの一つです。普通のものでも80万ぐらい、最高級のものだと最低300万円します。オイルだけでなく、パウダータイプも存在します。

 現在は、バングラデシュ、ブータン、インド、ラオスなど南アジア、東南アジアの農場で栽培されています。

伽羅と歴史と香水と

ウードは、長い間、調香師に見向きもされない香料でした。しかし、今では私たちのパレットの一部になっています。この理由は、ウードの香りの中には、私たちが20年前からアニマリックノートで使うことになれているセンシュアリティがあるからです。動物を保護するためには、我々はもはや動物性香料は使えません。ウードは良い代替香料だったのです。別の理由としては、力強く、香りがとても長持ちする香料だからです。

フランシス・クルジャン

 沈香の元になる木(学名:Aquilaria agallocha)は、大人の木になるまで約20年、沈香ができるまで50年、高品質のものになるのは100~150年かかると言われています。そして、ワインのように、樹齢が古ければ古いほど高濃度の樹脂を持ち、その樹脂が古いほど良質なものとされています
 中でも最高品質のものを「伽羅」と呼び、普通の沈香とは全く異なる特質を持ちます。それは、樹脂に粘り気があり、常温でも香りがし、しっとりしているという特徴です。

 日本におけるウードは、6世紀あたりに入ってきたと考えられており、日本書紀には、淡路島に漂着した巨大な香木が推古天皇に献上されたと書かれています。

ひと抱えもある大きな沈水香木が淡路島に漂着し、島人がそれと知らずかまどに入れて薪とともに燃やしたところ、その煙が遠くまで薫り、これを不思議なこととしてこの木を朝廷に献上した。

日本書紀

 香水の歴史上において、初めて中東から西洋にウードの香りを持ってきたと考えられている香水が、イヴサンローランM7エムセット、2002、アルベルト・モリヤス&ジャック・キャヴァリエ)です。ちなみに、このときのクリエイティブディレクターはトムフォード!
 ここから徐々に、逆輸入の形で、中東にウケるフランス風ウード香水が増えていきます。
 メインストリームでいうと、
ウードウッド(トムフォード、2007、リチャード・ヘルピン)
ヴェルサーチプールオム(2008、アルベルト・モリヤス)
 ニッチだと、
・キリアンのアラビアンナイツコレクション(2009~)
ウード27(ルラボ、2009、ヴィンセント・シャラー)。

この2010年前後から空前のウードブームが現在まで続き、市場には多くのウード香水が出回っています。

香り

①香道で焚く沈香の香りと、②「OUD香水」と呼ばれる欧米向けの香りは全く違います。そして③天然香料の沈香油、agarwood oilも、お香の香りとは異なります。

①の香炉から立ち上る沈香の香りは、甘く暖かく乾いて、スパイシーなウッディノートで、心を鎮める清浄な香りだと私は捉えています。

②一方の「OUD香水」は、アニマリックで重厚な艶のある、心を掻き立てるセンシュアルな香りです。

③またAgarwoodから抽出した天然香料はとてもパワフルで、クレゾール臭がありアニマリックでレザー。徐々にスモーキー・タバック・ウッディで、バルサミックになります。

動物由来のカストリウムにも似たところがありますが、むしろカストリウムの方がマイルド。

大沢さとり

 アガーウッドオイルの抽出法は主に3つあります。ハイドロ蒸留法、水蒸気蒸留法、超臨界二酸化炭素抽出法です。

 精油の香りは、濃厚なアニマリックさと苦味のある甘さがあり、天にものぼるような香りと言われます。香料の中でも群を抜いて高価なため、天然香料が使われることはであり、使われていてもほんの少しの場合が多いです。また、合成香料や別の香料(パチョリやアミリス、インセンスなど)で表現されることも多いです。キリアンですら、自身のブランドで使っているウードが合成香料であることを認めています。
 一般的には、価格を見れば本物を使っているかどうか、どれくらいの量を使っているかどうかが分かります。中には、全てのウードの香水で、本物のウードは使われていないと主張する人もいますが、使われている量が微量である以上、過言ではないでしょう。
 また、合成香料を使ったウードは、単なるウッディさとレザー調の香りがあるだけで、温かみのあるバルサミックで甘い香りが欠けています

 ちなみに、広告やマーケティングにお金をかけず、最高級の香料に最もお金を費やし、香料によって価格が変動するフレデリックマルのThe Nightドミニク・ロピオン)は、21%濃度のウードで、100mlあたり1600ドル(約17万円)になります。これが1つの基準になると考えられます。

ウードに関する調香師・業界人の言葉

ウードの香水というのは、一昔前のオリエンタル系の香水に少し似ています。みんなウードを求め、ウードと名付けられた香水が発売されますが、幻想なのです。オリエンタル系の香水が本物のオリエント(東洋)と関係が全くないように、本物のウードもウード系の香水に関係がないのです。

フレデリック・マル

ウードは私のとてもお気に入りの香料の1つです。私は常にウードを香水に入れたいと思っているのですが、本物のウードはとても貴重で、探すのも難しいです。初めて私が香水で使ったのは、オードゥカルティエでした。

マチルド・ローラン

香水というのは、権力やお金を持っている人柄を反映させます。だから、ウードがベースになった香水も、グルマン系が人気になったのと同じように、ウード自身で真の香りのファミリーになってきているのです。

フランシス・クルジャン

ウードを愛する人へ

 ウード系統の香りが好きな方に、ぜひお読み頂きたいのが、こちらのブログです。

 ウードを愛し、ウードが使われている香水をたくさん買い、そのレビューをしているブログです。世界を含めてもここまでウード香水のレビューをしている人はいないのでは?と思うほど、多くのレビューがあります。
 ウードの香水を探したい方、もっと世界を広げたい方にオススメです!

この記事を書いた人

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

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Le Chercheur de Parfum

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