Vetiver
ベチバー

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基本情報 

ベチバーはイネ科で、学名をVetiveria zizanoidesと言い、タムール語の「vettiveru(vettiは引き裂く、verは根を意味する)」に由来します。インド原産で、特に暖かい地域で生産され、現在の主な産地はインドネシア(ジャワ島)、ハイチ、レユニオン島(マダガスカル島の北東の島)です。湿った場所、沼や川の近くの環境で育ち、極端な気温や幅広い土壌のpHでも適応し、1~2mに成長します。現地では、日よけや編み物、薬品として使われます。

 1809年、フランスで初めてベチバーオイルが化学的に分析され、1843年KusKusという名の香水で初めてベチバーが香水に使われます(インドネシアではベチバーをkhasとはkhus、khus-khusと呼ぶ)。初めて女性用香水にベースノートとしてベチバーが使われたのはシャネルのNo゜5になります

 香料としては、近年需要が高まっており、2019年には年間100tの精油が生産されました。また合成香料では作ることができないと言われます。西洋の香水の36%に使われ、メンズ香水の20%に使われていると言われます。

ベチバーの香りを維持した香水を作るには、素晴らしい技術を持っていなくてはなりません。スタイリストで例えるなら、ベチバーは指からすり抜ける素晴らしいシルクのようなものなのです。斜めに切るのは難しいですが、それができれば煌めくのです。

セリーヌ・エレナ

香料ベチバー

 精油の抽出は、2~3年育った植物の根(正確には根茎)を乾燥させ、輪切りにし、細かく砕いて抽出されます。基本的に水蒸気蒸留で、収率は1%程度、1000kgの根から10kgの精油が採れます。より精密なベチバーの香気成分を抽出したい場合は、精油を分留することで、vetiver heartと呼ばれるウッディでよりアーシーな香りを得ます。
 最近、多くの調香師が求めるのは分子蒸留により抽出されたベチバー精油で、Vetiver oil Haiti MD(MDは、Molecular Distillationの略)のように書かれます。

 一般的に、香りは、土のついた根、新緑のアロマ、グレープフルーツのような爽やかなシトラス調、ウッディ調、温かく、バルサミックでジンジャーのような特徴も持ち、グリーンな香りになります。特に若い根は、アスパラガスのようなグリーンノートを持ちます。香水にアロマ風味を与え、蒸発を遅くさせる性質もあります。主にシプレ調、フローラル調のフレグランスに用いられます。

ベチバーをもし誰かに例えるなら、インディアナ・ジョーンズ博士だね。乾燥した土、塵、黄土色、ベチバーはエキゾチックな場所を思い出させます。

Yves Casser

 よく「青臭い」と表現されますが、それはベチバー香水で初めて成功したカルヴァンのVetiver(1957、Edouard Hache)がグリーンの化粧箱に入っており、その後、ゲラン、ロジェガレ、ランバンが同じパッケージの色にし、香りと色のイメージが重なったためと言われています。

 最高級と考えられているのは、ブルボンベチバー(レユニオン島で採れるベチバーのこと)ですが、土地が少なく、人手も少ないため使われるのは稀であり、同じくらい良質のハイチ産ベチバーの方が使われます。

ベチバーという草は香水の材料としては、以下の2点の理由で独特だ。1)同じような香りの合成香料がない。2)個性がとても強いので、ベチバーの成分が大部分を占めるフレグランスはほかの名前にしても意味がなく、たいていベチバーと名づけられる。

ルカ・トゥリン

香りの違い

ジャワ産ベチバー(Javanese Vetiver)

アーシー、苦味があり、かなりスモーキーでレザー調のノートでよく知られています。甘くウッディなノートが長続きし、ピンクグレープフルーツピールのようなエフェクトもある。

ブルボンベチバー(Bourbon Vetiver)

アーシーで根、スパイシー、レザー調、ヘーゼルナッツ風、わずかにローズ調。

ハイチ産ベチバー(Haitian Vetiver)

スモーキー、ウッディ、わずかにグリーン。フレッシュでフローラルの側面もあり、滑らか。世界で最も生産されており、ハイチの輸出品の中ではコーヒー、ココア、マンゴーよりも輸出されています。

代表的なベチバー香水

 分類は、主にVetiver(Nez Editions、2020)を元に、場合によって追加等しています。詳細をご覧になりたい場合は、この本がオススメです。
 自分がどういうタイプのベチバーの香りが好きなのか、発見の一助になれば幸いです。

シトラス&ベチバー

ベチバー(ゲラン、1959)、テールドゥエルメス(エルメス、2006)

アロマティック&ベチバー

セルドゥベチベル(ザディファレントカンパニー、2006)

ストレートなベチバー

ベチベルエクストラオーディネール(フレデリックマル、2002)、ベチベルベリタス(ヒーリー、2014)、ヴェチヴェリオ(ディプティック、2017)

スパイシー&ベチバー

ベチバー46(ルラボ、2006)、ジンジャンブル&ベチバーセンシュアル(100Bon、2016)、ヴェチヴェルソ(ラボラトリオオルファティーボ、2019)

オリエンタル&ベチバー

ベチバーオリエンタル(セルジュルタンス、2002)、シコモア(シャネル、2008)、ベチバー&ゴールデンバニラ(ジョーマローン、2020)

グルマン&ベチバー

ベチバートンカ(エルメス、2004)、バルダフリック(バイレード、2008)、ファットエレクトリシャン(エタリーブルドランジェ、2009)、ウッディパーフェクト(パルルモアドゥパルファム、2016)

この記事を書いた人

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

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Le Chercheur de Parfum

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