香りを表現するとき、どのような言葉を使いますか?香水業界で使われる表現は少し特殊です。ここでは、英語での表現も合わせて、香りを表現する言葉をまとめてみました(私の主観なのであしからず)。あくまで抽象的な表現のため、実際に表現するときは自身の経験に照らし合わせ、記憶と香りが一致するもので表現することが多いです。重要なのは、1つの香料が必ず1つの表現になるというわけではなく、それぞれ様々な側面を持っているという理解をしておくことです。
そして、このページは、香りの表現を言語化するのが苦手な方・販売職だがどのように香りを表現すればいいか分からない方・香りを嗅いだはいいがどう言っていいのか分からない方、そういった人たちにとって訓練にもなります。そして、ここにある表現を知ることで、あなたの香水ライフに新たな視界が広がることは間違いありません。
しかし、すべての人が同じように1つの香りを知覚しているかどうかは不明であり、その感じ方を明確に定義することは難しいため、あなたと私の香りの表現が同じだとしても同じように感じているかどうかなど分からないのです。
- アーシー(earthy)
- アクアティック(aquatic)
- アニマリック(animalic)
- アルデヒディック(aldehydic)
- アロマティック(aromatic)
- ウッディ(woody)
- オゾニック(ozonic)
- カンファーみたいな
- コスメティック(cosmetic)
- クリーン(clean)
- グリーン(green)
- シトラス(citrus)
- スパイシー(spicy)
- スモーキー(smoky)
- セクシー(sexy)
- ゼスティ(zesty)
- センシュアル(sensual)
- ソーピー(soapy)
- パウダリー(powdery)
- バルサミック(balsamic)
- フルーティ(fruity)
- フローラル(floral)
- マリン(marine)
- ミステリアス(mysterious)
- メタリック(metalic)
- ミルキー(milky)
- ムスキー(musky)
- モッシー(mossy)
- ラクトニック(lactonic)
- レザリー(leathery)
アーシー(earthy)
土(earth)っぽい香り。乾いた土から湿った土まで様々だが、鼻を地面に近づけたときのような香りが想起される。アーシーと表現される場合、例えばパチョリが入っている場合があり、墨汁のような濃厚さと土っぽい香りを感じる。
アクアティック(aquatic)
水っぽさ、塩っぽさ、水のように滑らかな香り。
アニマリック(animalic)
動物的な香りで、動物園を想起させたり、動物を飼っているような香りを想起させたりする。一般的には不快に感じる糞尿のような強烈な香りが多く、長時間肌に残る香りが多い。アニマリックという名の通り、動物性香料であるムスク(ジャコウジカの腺から採取)やシベット(ジャコウネコの腺から採取)など動物から採取するものに特徴的ですが、ジャスミンやチュベローズなどの花にもアニマリックな香りの成分が含まれており、これがないとそれらの花らしい香りになりません。
アルデヒディック(aldehydic)
アルデハイドの金属のような冷たさとキーンとした刺すような香り。石鹸を思わせるような香りも感じ、フローラルやフルーティな香りとの相性が良い。
アロマティック(aromatic)
植物やハーブの香りで、気持ちを落ち着かせ、気分転換になるような香り。ラベンダーやペパーミント、バジルなどが代表的。
ウッディ(woody)
木々の香りや森林・湿った苔、土など、木に関連する香り。木の削れた表面に鼻を近づけたときに感じる香り。シダーウッドやサンダルウッド、ベチバーがよく使われている。
オゾニック(ozonic)
みずみずしく、冷たさを感じる海の風やプールで感じる塩素系の香り。
カンファーみたいな
カンファーとは樟脳のことで、防虫剤に使われているクスノキから抽出される物質です。医療品を思わせるフレッシュで清潔感のある、病院や湿布のような香りです。パチョリやユーカリなどの香料を使用した際に感じます。
コスメティック(cosmetic)
百貨店のコスメ売り場で感じる粉っぽさとバイオレットのようなフローラルの香りを組み合わせた感じの香り。
クリーン(clean)
清潔感!主に合成ムスクが使われているときに感じる。「洗い立てのシャツ」とか「石鹼の香り」と一般的に言われると、大体合成ムスクが使われているためクリーンな香りがする。
グリーン(green)
草を潰したときの苦味や葉っぱの香りを感じさせるときに使う。青臭い香りでもある。代表的なグリーンを感じさせる香料と言えば、ガルバナム。
シトラス(citrus)
みんな大好き柑橘系。レモンのような酸味のある香りからスイートオレンジのようなみかんの甘味のある香りまで様々。どれも瑞々しく、ジューシーなのが特徴的で、皮の苦味や皮から飛び出すエキスが思い浮かぶ。
スパイシー(spicy)
スパイスの持つ複雑な辛みや鼻を刺激するような香り。ブラックペッパーやクローブのような鼻を刺激を感じさせる香り、シナモンやアニスのような甘みを持ちながらも少し刺激を感じさせる香り、サフランやカルダモンのような冷たさも感じさせる香りなど、多岐にわたる。
スモーキー(smoky)
タバコの煙や燃やした木の煙を感じるドライな香り。バーチタールやベチバーなどを使用したときに感じる。
セクシー(sexy)
文化や人によって何をセクシーの基準とするかは異なるだろうが、性的魅力を感じることをセクシーと言うのだろう。セクシーな香りといった場合、よく入っている香料が合成ムスクの洗剤のような香り、動物性香料(やはり臭さを感じる中に何かしらのエロスを感じるのか?)、バニラのような甘みのある香りである。日本海外問わず、男性であればフゼア系の香水は、一般的にセクシーと思われ、今でも男性香水の上位は多くがフゼアに分類されるような香りである。
ゼスティ(zesty)
シトラスやフルーツとしゅわしゅわした感じが融合したときに使う。フィズ(fizz)のように炭酸飲料を感じる。
センシュアル(sensual)
日本語では「官能的な、肉感的な」という意味でセクシーとはまた微妙に異なる。どちらかというと、女性向けの香りで使われることが多いように感じる。夜の暗闇でちらっと見せるエロティックな一面、ファムファタールのイメージにこのワードがぴったりです。チュベローズが代表的な香料です。
ソーピー(soapy)
石鹼調の香りを表現する時に使う。アルデヒドやムスク、フローラルが組み合わさった香りを嗅ぐと石鹼のように感じる。
パウダリー(powdery)
粉っぽい香り。コスメティックと同じでアイリスやバイオレットが入っていると感じる場合が多く、祖母が使っていた化粧品、というようなイメージを想起する。
バルサミック(balsamic)
甘く、柔らかく、温みがあり、スパイシーな香りで粘り気を感じるときにバルサミックと使う。樹脂系の香料を使用したときにこの表現を用いることが多く、バルサムやミルラが代表的な香料である。
フルーティ(fruity)
シトラスとはまた違った、果実の甘みやエキゾチックな果実の香りを感じる場合に使う。アップルやピーチ、フィグなどフルーツの香りが当てはまる。これらは多くの場合、合成香料で生み出されている香りだが、果実をかじったときのジューシーさも感じる。
フローラル(floral)
花の香り、というと抽象的だが、想像上の花の香りをフローラルと表現していることが多い。どういうことかというと、バラやジャスミンなどの花の香りを直接嗅いだことが無くても、ローズっぽいイメージの香りやジャスミンっぽいイメージの香りを人生のどこかで経験しているために、実際とは異なったとしてもそのイメージを想起させる香りに出逢えば、ローズの香りだ!となるということである。そして、特定の花は思い浮かばないが、なんかお花っぽいイメージが湧いたとき、それはフローラルという言葉で表される。つまり、フローラルとは花という概念をイメージさせる抽象的な香りを表現している。そのため、特定の花の香りを表した香水は、モノフローラとかソリフローラと呼ばれる。
マリン(marine)
海を想起させる塩と磯の香り。アクアティックやオゾニックよりも塩っぽさがあり、夏の海!って感じ。スイカやメロンのような水っぽくグリーンな香りもします。この香りを生み出す代表的な香料はカロンになります。
ミステリアス(mysterious)
香り全体として、何かしらの直感的イメージが湧きずらく、靄がかったような、謎めいた雰囲気が感じられるときに使う。日常生活であまり嗅がないような香りや煙っぽい香り、バニラやスパイスを使用したオリエンタル(アンバー)の香りで感じやすい。
メタリック(metalic)
金属やステンレスを思わせ、鼻腔を突き抜けるような冷たさと鋭い針のような感覚を覚える香り。基本的にはローズオキシドやアルデヒドなど合成香料を使うことが多いです。
ミルキー(milky)
砂糖の入ったミルクのような甘みとねっとりした香り。
ムスキー(musky)
ムスク調の香りがするときに使う。
モッシー(mossy)
苔(モス)が生えている湿気を感じさせる香り。
ラクトニック(lactonic)
ミルキーと似ていて、クリーミーで、フルーティのあまさを感じる香り。ピーチやアーモンド、フィグ、ココナッツのようなラクトンの香りを感じるため、ラクトニックと言う。
レザリー(leathery)
革を感じさせるような乾いた木と煙のような香り。
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