Parle Moi de Parfum / Michel Almairac
パルルモアドゥパルファム / ミシェル・アルメラック

パルルモアドゥパルファムとミシェル・アルメラック 調香師名鑑

調香史

生い立ちと香りとの出会い

私は常に、グラースの生活での一部である、香りと匂いに囲まれて育ちました。自然の香りの1つは、フィールドで育った花を収穫する時の香りです。商業的な匂いは、香水工場からのものでした。

ミシェル・アルメラック

 ミシェルは、1953年にフランスのグラースで生まれました。グラースの豊かな自然と花の栽培をする農家に囲まれる日常、そして香水のメッカとして多くの香水工場に囲まれる生活を送っていました。
 そして、13、4歳のときに香水の工場を訪れ、その空間で研究者たちが白衣を着て、香りを混ぜている姿にとても惹かれて、調香師になる決意をしたようです。

1972年ルール社の調香師学校に入学します。1978年からは、ピエール・ブルドンとともに高砂香料のパリ支部を立ち上げます。その後、ジャン・ルイ・シュザックがヘッドパフューマーを務めるFlorasynthに入社。この時代に、シュザックと一緒にファーレンハイト(Fahrenheit、ディオール、1988)を調香しています。この時、ちょうどドミニク・ロピオンもおり、親交を深めています。

私は常にシンプルで、短いフォーミュラを使います。もし間違って、途中からやり直さなければならないときも、簡単です。

前の上司は私に、なんでそんな短いフォーミュラを使うのか尋ねてきました。私は、短ければミスを見つけるのが簡単だからだと答えました。若いとき、だるく感じたときから始めたのです。300の成分より、30の成分を計る方が簡単ですしね。

ミシェル・アルメラック

1995年にはCreations Aromatiques(現シムライズ社)に移り、バーバリーやエスカーダの香水を創っています。その後、Drom社を経て、1998年からはロベルテ社に入社し、グッチのラッシュ、ボッテガヴェネタのエクスクルーシブライン、クロエオーデパルファム、と様々な素晴らしい香りを生み出していきます。

 ちなみに、自身に大きな影響を与えたのは、ルール社(現ジボダン社)の経営者であったジャン・アミックと調香師エドモン・ルドニツカだと言っています。この2人の影響がシンプルな調香に大きく関与しています。

パルル モア ドゥ パルファムの創設

私がメジャーなブランドで香水を作る時というのは、これを変えてあれを付け加えてと言われ、最終的な作品は、よく私が本当に作りたかったものとは全く似ても似つかないものになっていました。

ミシェル・アルメラック

 2016年、ミシェルは、ロベルテ社で働く2人の息子ベンジャミン(Benjamin)とロマン(Romain)、妻のエリザベスとともにパルルモアドゥパルファム(Parle Moi de Parfum)を立ち上げます。「私と香りについて語りましょう」というブランド名の通り、香り以外のイメージ・マーケティングは排除し、香水の色も人工的につけることはしていません

実は…

ミシェルの息子たちは、ちょうどルラボ(Le Labo)がローンチした時にロベルテ社に入社しており、ミシェルがアンブレット9を調香した初期の頃は、ロマンもルラボで仕事をしていました。その時から、ミシェルもロマンもブランドを作りたいという想いがあり、マネジメントの経験を持つベンジャミンによってパルルモアドゥパルファムは誕生しました。

 最初にローンチした8つの香水は、ミシェルが45年間、業界で働く中で、ブランドに採用されず、本当は世に出したかった15の香水の中から選ばれています。
 ボトルのこだわりとして、ミシェル・アルメラックが最終的なバージョンに辿り着くまでにどれくらいの試行を行ったのかという数字が記載されています。また、すべてのオーデパルファムは、20%濃度となっています。

 ブティックでは、各フレグランスの構造をお客様により理解してもらうために、それぞれ3つのメイン香料が嗅げるように置かれています。

(パルルモアドゥパルファムでやりたかったことは)どのようにパフューマリー(香水業界)が動いているのかを見せることです。ラボの中に入って、すべての原料を見て、その場で買う。私たちは、その場では調合しません。なぜならそれは工場で行っているステップだからです。しかし、ろ過や組み立て作業というのはお見せしています。

ベンジャミン・アルメラック

適切なフォーミュラを保証する情熱、正しい名前を見つける情熱、そしてクリエイティブの過程を進める情熱。私の毎日の仕事は自然を拡げることです。

ロマン・アルメラック

活躍する多くの弟子たち

 ベートーヴェンのような見た目を持つミシェル・アルメラックは、弟子を多く持ち、それぞれがとても活躍していることでも有名です。以下に、著名な弟子たちを書き出してみましょう。

ベルトラン・ドゥショフール(Bertrand Duchaufour)…ラルチザンの全盛期を築き、多くのニッチフレグランスを生み出してきたドゥショフールは、自身のメンターにジャン・ルイ・シュザック、ドミニク・ロピオン、ミシェル・アルメラックを挙げています。恐らく、Florasynthで出会ったと思われます。

クリスティーヌ・ナジル(Christine Nagel)…エルメスの現専属調香師。ミシェルがCreations Aromatiquesにいた時に出会っています。ナジェルの最初の香り(恐らくアランドロンのサムライ)は、ミシェルのサポートがありました。ミシェルはニコスのスカルプチャーオムを調香していたので、サムライが人気になったのも納得かも?

アニック・メナード(Annick Menardo)…ナジルと同じくCreations Aromatiques時代にミシェルに師事したアニックは、ブルガリブラック(1998)、ヒプノティックプワゾン(ディオール、1998)、ボワダルメニ(ゲラン、2006)、パチョリ24&ガイアック10(共にルラボ)を調香していることで有名です。

アン・フリッポ(Anne Flipo)…今やフレデリック・マルからも認められ、IFFの調香師として様々なブランドで活躍する彼女は、ロベルテ社時代に10年近くミシェルに師事し、一緒に働いています。

アマンディーヌ・クレール・マリー(Amandine Clerc Marie)…クロエオーデパルファムを一緒に調香したことでも有名なマリーは、2001年あたりからミシェルに師事していました。

ジェローム・エピネット(Jerome Epinette)…2003年にロベルテ社に入社し、今やバイレードのほとんどの香水を調香し、ニッチからファッションブランドまで引っ張りだこの彼は、入社後からミシェルに師事し、最初のモンブランの香水は手伝ってもらっています。

シドニー・ランセッサー(Sidonie Lancesseur)…2006年に調香師となり、ミシェルの元で修行していた彼女は、すぐに才能を開花し、2007年からはキリアンの香水をカリス・ベッカーの次に多く調香しています。

香水というのは、料理のようなものです。同じ成分(材料)でもマヨネーズも作ることができるし、ホイップクリームも作ることができます。香水でも同じ奇妙な現象があります。これがブレンディングの芸術なのです。成分の相互作用というのが最も大事なのです。

私の師匠がかつてこう言いました。「もしそれを嗅いで識別できないなら、それは必要ないのだよ。でも、私はシンプルなフォーミュラに固執するわけでも、執着しているわけでもない。私が使うのは必要とされているものなのです。私の創造をかきたてるのは、原料なのです」と。

ミシェル・アルメラック

調香作品

私は沢山のこうすいを創る機会を持ってきましたが、それは沢山の子供を持つことと同じです。もし、15人でも20人でも子供を持っていたとしても、その中から他よりあなたが愛する1人を選ぶというのはできないはずです。すべて私の子供なのです。

ミシェル・アルメラック
YearBrandNameWith
1982GucciEau de Gucci Concentree
1984RochasLumiere
1985Jil SanderJil Sander Woman III
1986DavidoffZino Davidoff
1987Joop!Joop! Femme
1988DiorFahrenheitJean-Louis Sieuzac
1989Joop!Joop! Homme
1990EscadaMargaretha Ley
1990Jil SanderJil Sander No. 4
1992ChopardCasmir
1992Laura BiagiottiVenezia
1992Paloma PicassoMinotaure
1993GucciEau de Gucci
1993L’Artisan ParfumeurVoleur de Roses
1994KareEau de Murano
1995BurberryBurberry Men、Burberry Women
1995NikosSculpture Pour Homme
1999GucciGucci Rush
2000DunhillDesire for Men
2001GucciGucci Rush 2
2002Calvin KleinTruth Men
2002GresCabaret
2002MontblancPresence d’une Femme
2003DunhillDunhill
2003EscadaIbiza HippieRichard Ibanez
2003GucciGucci Pour Homme
2003RochasLui RochasAmandine Clerc-Marie
2004EscadaMagnetism for Men
2004Giorgio ArmaniBois d’Encens
2005Andy WarholPop Pour Femme
2005Anna SuiSecret Wish
2006Giorgio ArmaniCuir Amethyste
2006Jette JoopBy Night Jette
2006Le LaboAmbrette 9
2006Naomi CampbellCat Deluxe
2007Parfums AilleursEncore、Ici
2007ShiseidoZen
2008AzzaroTwin for MenSidonie Lancesseur
2009JaguarPrestige Spirit
2010Marc O’PoloMarc O’Polo Men
2011Acqua di ParmaGelsomino Nobile
2011BurberryBody
2011CharriolImperial RubySidonie Lancesseur
2011CharriolRoyal Gold Eau de Toilette IntenseRichard Ibanez
2011Porsche DesignSport
2012BalmainIvoireJacques Flori
2012CharriolImperial SaphirMylene Alran
2012CharriolShow Off
2012Jil SanderThe Essentials Woman III
2013Mercedes-BenzMercedes-Benz for Her
2014Anna SuiLa Nuit de Boheme Eau de ToiletteJerome Epinette
2014JaguarInnovation
2014LaliqueAzaleeMylene Alran
2014LaliqueHommage a L’Homme Voyageur
2014Terry de GunzburgBleu Paradis、Fruit Defendu、Rose Infernale、Rouge Nocturne
2015GivenchyDahlia Divin Eau de ToiletteFrancois Demachy
2016Zadig & VoltaireThis is Her!Sidonie Lancesseur
2017Jimmy ChooMan Ice
2017Les Bains Guerbois1885 Eau de Cologne
2017Marc CainMysteriously No. 1、Mysteriously No. 2、Mysteriously No. 3
2017Zadig & VoltaireJust Rock! Pour ElleSidonie Lancesseur
2018JaguarStance
2018Les Bains Guerbois2015 Le Phenix
2019AddictionEau d’Addiction
2019BoucheronQuatre En RougeMylene Alran
2019Len FragrancesCrystal Bomb、Jeux Dangereux、Just Roulette、Privarot、She&Male、Try to follow me
2019Les Parfums de RosineBois Fuchsia
2019Van Cleef & ArplesSantal Blanc
2020Jimmy ChooTempting RoseClement Marx
2020Jimmy ChooVanilla Love
2000~2005GhostCherish、Ghost、Serenity
2005~2017Salvador DaliDalilight with Sidonie Lancesseur、Eau de RubyLips、Fabulous 3, Eau de RubyLips、Fabulous 4, Salvador for Men、Fabulous Mandawa、Fabulous Marudhai、ITISDREAM、ITISLOVE、ITISLOVE Intense、Salvador、Sea & Sun in Cadaques
2007~2020Bond No.9Coney Island、Fire Island、Gold Coast、HTTP://WWW.BONDNO9.COM、Saks Fifth Avenue for Her、Saks Fifth Avenue for Him、The Scent of Peace、Tribeca、West Side、Bryant Park、My New York
2008~2020ChloeChloe Eau de Parfum with Amandine Clerc-Marie、Chloe Absolu de Parfum、Chloe Eau de Toilette、Chloe Fleur de Parfum with Mylene Alran、Chloe Rose Tangerine with Sidonie Lancesseur、L’Eau de Chloe、Lisy、Roses de Chloe with Mylene Alran、See by Chloe、See by Chloe Eau Fraiche
2011~2018Bottega VenetaBottega Veneta、Bottega Veneta Eau de Velours、Bottega Veneta Eau Legere、Bottega Veneta Eau Sensuelle with Mylene Alran、Bottega Veneta Essence Aromatique、Bottega Veneta L’Absolu、Parco Palladiano I Magnolia、Parco Palladiano VI Rosa、Parco Palladiano VII Lilla
2016~2020Parle Moi de ParfumCedar Woodpecker、Chypre Mojo、Flavia Vanilla、Gardens of India 79、Guimauve de Noel、Milky Musk、Orris Tattoo、Papyrus Oud 71、Tomboy Neroli、Totally White、Une Tonne de Roses、Woody Perfecto、Haute Provence 89、Mile High 38
主要作品年代順

もっと見たい方はこちら

この記事を書いた人

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

Rootをフォローする
調香師名鑑
ルシェルシェアする
Rootをフォローする
Le Chercheur de Parfum

コメント