Blackcurrant(Cassis)
ブラックカラント(カシス)

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私がブラックカラントに思うのは、不完全な美です。そして、ひとたび加えれば、その香水のシルエットにパーソナリティを、豪華な飾りを、シグネチャーを与え、忘れることをできなくさせるのです。

クリスティーヌ・ナジル

 ブラックカラントのカラント(currant)とは、コリント地方のレーズンに由来します。クロスグリカシス(フランス語)とも呼ばれる濃紫色の果実を持つこの植物は、ベリーの一種で、温帯地方で採取されます。フランスのブルゴーニュ地方(バーガンディ)が全世界の80~90%の生産量を誇ります。
 実にはわずかに苦みがあるため、リキュールにも使われ、クレーム・ド・カシスは、特に有名です。

 グリーンで、ミント調、グレープフルーツやパッションフルーツを思わせるフルーティな香りがする一方で、猫の尿や人間の汗のような悪臭があり、アニマリックな側面もあります。ブラックカラントのつぼみや葉のアブソリュートは特にBourgeons de cassis(Blackcurrant Buds)という名で知られます。

 初めてブラックカラントを香水に使用したのは、1969年ゲランのシャマード(Chamade、Jean Paul Guerlain)です。

 1970年代の香水業界では、グリーン調はおしゃれで、エルメスのAmazoneのように、ブラックカラントは、ガルバナムと一緒にアコードに使われていました。

 次に、ヴァンクリーフ&アーペルのFirstでフローラルアルデヒドとして高濃度で使われ、ランコムのマジ―ノワールではグリーンレザーシプレとして使われました。それからは、フルーティーな方向性として、イブサンローランのインラブアゲイン、ゲランのパンプルリューヌに使われるようになりました。

 コロンに対してはよりインパクトを与えることができ、蒸発時間が近いローズマリーやバジル、共通の香気成分を持つグレープフルーツとベチバーなどと一緒に使われます。ガルバナムの代わりにもなったり、ラズベリーやレッドベリーの代わりにもなったりできるブラックカラントは本当に驚くべき香料です。今ではバニラアブソリュートよりもはるかに使われている香料なのです。

ジュリエット・カラグーゾグー(Juliette Karagueuzoglou

代表的な香水

 分類は、主にBlackcurrant(Nez Editions、2021)を元に、場合によって追加等しています。詳細をご覧になりたい場合は、この本がオススメです。
 自分がどういうタイプのカシスの香りが好きなのか、発見の一助になれば幸いです。

主流の香水

シャマード(ゲラン、1969)

オリエンタル

デューン(ディオール、1991)Si(アルマーニ、2013)

シプレー

マジ―ノワール(ランコム、1978)、スブリームバルキス(ディファレントカンパニー、2008)

フルーティ

フルーティウッディ

パルコパラディアーノⅩⅣ:Melagrana(ボッテガヴェネタ、2018)

フローラル

Amazone(エルメス、1974)、ファースト(ヴァンクリーフ&アーペル、1976)、ミュールエムスク(ラルチザン、1978)

フローラルグリーン

ロンブルダンロー(ディプティック、1983)、L’Heure folle(カルティエ、2009)

フローラルフルーティー

インラブアゲイン(YSL、1998)、ローズイケバナ(エルメス、2004)オードゥルバーブエカラット(エルメス、2016)、カシスルバーブ(ロクシタン、2018)、サイガ(クヴォンデミニム、2019)、La Cautiva(フエギア1833、2010)

シトラス

オードゥランジュベルテ(エルメス、1979)、パンプルリューヌ(ゲラン、1999)、オードゥジャルダン(クラランス、2010)

アロマティック

ラヴァンドゥローマン(ぺリスモンテカルロ、2020)

レザー

ギャロップドゥエルメス(エルメス、2016)

この記事を書いた人

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

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