歴史と方法
水蒸気蒸留法(distillation)は、ギリシャ人・ペルシャ人が発見したと言われる香料の抽出法になります。10世紀にはアラブ人医師のアヴィセンナが完成形(現在の基本形)にしたと言われています。英語ではHydrodistillationとかSteam distillationとも呼ばれます(hydroの方は直に水につける手法)。
水蒸気蒸留という名の通り、スチール製のタンクに入れた原料を高温の水蒸気に晒し、(精油の)沸点に達することで、精油を分離させることができます。蒸気圧があるため、通常の精油の沸点150℃~300℃よりも低い沸点で蒸留させることができ、高温による香りの変化・劣化を防ぐことができます。分離した精油は、冷却され、コンデンサーと呼ばれるところに貯まっていきます。この際、蒸留水も一緒に貯まりますが、水と油の関係のため、精油は蒸留水の表面に蓄積されます。
最初の蒸留で得られた精油は、Direct Oilと呼ばれ、一緒に得られた蒸留水はScented Water(芳香蒸留水)と呼ばれます。芳香蒸留水として有名なものはローズウォーターやオレンジフラワーウォーターです。この芳香蒸留水には、香りの成分がまだ含まれるため、さらに蒸留を行います。そうして得られた精油をIndirect Oil、得られた蒸留水をSecond Waterと呼びます。このDirect OilとIndirect Oilを混ぜることで、精油として販売されます。
すべての原料に使用できるわけではなく、ジャスミンやチュベローズなどは水蒸気蒸留では抽出されないようです。花だけでなく、葉や根からの抽出にも使われます。
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