Q. 日本に売ってない香水を自分で仕入れて(個人輸入して)、売れば儲かるのでは?

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A. たしかに、日本で売っていない香水は欲しい人が多いでしょうし、ビジネスをしたい気持ちも分かります。しかし、これを正しく行うためには、個人輸入と法律、商用輸入について知らなければなりません。また、国内で何かを購入する時の注意にもなるのでぜひご覧ください。

 なお、以下の内容は専門家がまとめているわけではないので、自己責任かつ詳細はご自身でご確認お願いします。

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個人輸入とは

基本情報

 個人輸入とは、「個人が使用する目的のために、海外のサイトから直接購入して輸入すること」を言います。自身で直接購入するだけでなく、輸入代行業者を通じて輸入する方法もあります。

 基本的には、海外サイトとの直接の取引になるため、トラブル等はすべて自己責任で解決しなければならないリスクがあります。仮に使用したものが不良品や肌トラブルになったとして、消費者庁に言っても解決しません。日本の法律は適用されないのです。
 また、日本に輸入が禁止されているものや規制されているものがあり、それらを輸入しようとすると通関で引っ掛かり、手元には届きません。

 以下、個人輸入のメリットとデメリットを記します。

メリット

①税免除

 輸入の際には、必ず関税や消費税がかかります。個人輸入の場合、商品の小売価格の60%が課税対象額となりますが、この課税対象額が1万円以下の場合、基本的に関税および消費税が免除となります。つまり、商品計が16,666円(課税対象額×0.6≦10,000⇔課税対象額≦10,000÷0.6=16,666…)以下であれば、税がかかりません。逆に、16,667円以上購入してしまうと商品・代金に応じて関税や消費税等を払わなければならないケースが出てきます。

 ちなみに、革製品などの免税対象外の商品もあります。

②国内より安く買える場合が多い

 物にもよりますが、日本で販売されている製品よりも安く買える場合もあります。特に、日本でも販売している海外ブランドは、多くが輸入しており、そのコストが価格に反映されているため、海外の価格よりもかなり高くなっている場合が多いのです。ただし、大手ブランドになると、日本で買われなくなることを防ぐため、大体同じような価格になるよう調整されていることもあります。

③為替の影響でさらに安くなる場合あり

 メリットにもデメリットにもなりますが、円高の時に購入すればお得で、円安の時に購入すれば少し高く払うことになります。注意しなければならないのは、買ったその日の為替レートではなく、クレジット会社等により異なるということです。

④幅が広がる

 日本では販売していない今まで見たことのないブランドや商品を購入できるため、その楽しさは一度ハマれば抜け出せません。

デメリット

①外国語のストレス

 基本的に日本語のサイトは少なく、香水に関してはほとんど英語もしくはフランス語を読まなければなりません。仮に日本語翻訳の機能を使ったとしても、完璧に訳されているわけではないため、本当かどうか分からない不安が出てきます。日本語サイトで買う時以上に、神経を使うのでストレスになります。

 また、住所変更や何かをやり取りする場合、日本語では通じないため、さらにストレスは増えます。

②リスクへのストレス

 知らないサイトで買う場合、梱包や発送、何から何まで分かりません。日本でも同じですが、海外は文化も異なるので、さらなる不安になります。また、何が起きても自己責任で解決しなければならないため、すべて自身が先方とやり取りをしなければならず、そのリスクに対するストレスは大きいものだと思います。

 一般的に多くの人が使っている有名なサイトであれば、対応はかなり良く、サイトによっては日本よりも良い(気前が良い)対応をしてくれる場合もあります。

③配達時間がかかる

 海外ということもあり、サイトによりますが配達には時間がかなりかかります。2週間で到着することもあれば、1か月で到着することもあり、忘れた頃にやってくるくらいの感覚でいた方が良いかもしれません。また、その間、本当に届くのか?という疑念も常にまとわりつきます。基本的には追跡できる配送手段を使っているサイトを使うことをお勧めします。

④送料が高い

 当然ですが、日本国内どころではないので、配送料はそれなりの金額がします。もちろん、サイトによっては、いくら以上で送料無料になるところもあります。送料込みでも安い場合が多いので、大きなデメリットにはなりませんが、必ず確認した方が良いと思います。

注意点

 個人輸入は、メリット・デメリットを考えると、人によってはメリットの方が大きく、すぐにでもやりたいと思う方がいると思います。しかし、必ずこの注意点を読んでから、正しく個人輸入を行ってください。

注意①ビジネスはできない

 勘違いをしているのか、知っていながら、なのか、個人輸入をした商品を販売している方が多いというのが日本の現状です。改めて記載しますと、個人輸入とは、「個人が使用する目的のために、海外のサイトから直接購入して輸入すること」です。つまり、個人使用の目的以外の場合、違法になります。

 なぜ違法になるのかと申しますと、個人輸入の場合、個人で使う範囲での購入のため、免税対象となっているからです。つまり、個人輸入で免税(減税)されたにも関わらず、それを販売(=転売)したとなると関税と消費税の脱税となってしまうのです。これは、関税法第110条や第111条等に違法となり、関税ほ脱犯や無許可輸出入・虚偽申告犯となってしまいます。

 したがって、自身が海外から個人輸入した商品は、どんなに少量であっても転売することはできません。ビジネスをしたいのであれば、必ず国に申請をする「小口輸入」もしくは「輸入」になります。これは、海外へ旅行に行って購入したものも含まれます。

注意②友人や家族にあげることも違法

 実は、ビジネスだけではなく、友人や家族(つまり、第三者)に販売・譲渡することは、基本的に法律で禁じられています。つまり、ギフト用にと海外サイトで購入し、プレゼントすることも基本的に違法と考えておいた方が良いです。

 特に「食品衛生法」や「医薬品医療機器等法」に抵触するもの(食品・医薬品等)や化粧品などは、さらなる法に触れるため、絶対にやめましょう。

 上記で「基本的に」と書いたのは、実際、これらをしたところで国が取り締まれないということです。これを言ってしまうと終わりですが、海外で買ってきたお土産を友達にあげて、違法と言っていたらキリがないわけです。この辺りは、それぞれのモラルに任せられていますが、違法にはなります。

注意③個数制限がある

 ①②を予め防止するため、商品によっては個数制限があります。例えば、医薬品は2ヶ月分以内、化粧品は1品目24個以内など。これらは通関の際にチェックされるので、ため買いなどはあまりしない方が良いかと思います。

注意④輸入禁止の対象を知っておかなければならない

 偽物や日本の法律に違反するもの(覚せい剤や銃等)はもちろん、ワシントン条約により輸入が規制されているものもございます。規制対象のものを輸入してしまうと違法となります。このサイトをご覧になる香水好きの方であれば、特に注意したいのは、沈香の木片です。輸入する場合、許可書が必要になります。

輸入禁止・規制項目
ワシントン条約
ワシントン条約に関するFAQ
アロマ商品に関して

参考

 当サイトの内容は、あくまで素人が知っている範囲で書いていますので、正確に知りたい方やビジネスを考えている方は、専門の機関等へご相談されることを強くオススメします。

関税法詳細(e-gov)

関税法の罰条(税関)

輸入と関税についてもっと知りたい方はこちら

輸入ビジネスを考えている方はこちら

簡単なパンフレットはこちら

分かりやすいケーススタディがあるサイトはこちら

商用輸入

 輸入ビジネス(個人も含む)を大なり小なりしたい方は、すべて商用輸入しなければなりません。これはメルカリで売ろうが、アマゾンで売ろうが、例外なく、必ず商用として届け出をしなければ、違法になります。

 さて、商用輸入の場合は、法人であれば当然行っているはずですが、個人であっても輸入の申告や許可・届け出が必要になります。これを行って、税をきちんと納めることで、ビジネスを行うことができます。

詳細は、税関等からご覧ください。

 また、輸入商品には、法定ラベル(法律で定められた日本語ラベル)が必要であり、輸入者名が必要になります。

法定ラベルについて

まとめ

・個人輸入をする際は、自分しか使わないという認識を持っておくこと。自分以外が使用した時点で違法と知っておくこと。

・個人輸入した商品を販売しないこと。1つであっても違法は違法。

・日本で売っていない香水を販売して儲けようというのは良いが、販売したいのなら、輸入の届け出を含め、正規の方法で輸入を行うこと。

国内で海外製品を買う際は、その商品を輸入しているのかどうか調べること。個人で販売していたり、ラベルに日本の法定ラベルが入っていなかったり、会社概要等を調べた際に「輸入業務」が事業内容に入っていなかったりする場合、「少し怪しいかも」と思うこと。これが1つの目安になります。

この記事を書いた人

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

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