A. 動物から採取される香料であるムスク(ジャコウジカの腺から採取)やシベット(ジャコウネコの腺から採取)といった香料のことを動物性香料と言います。まさに動物的な香りで、動物園を想起させたり、動物を飼っているような香りを想起させたりし、一般的には不快に感じる糞尿のような強烈な香りが多く、長時間肌に残る香りが多いです。雌より雄からより良いものが採れるという説もありますが、真偽は不明です。
実は、ジャスミンやチュベローズなどの花にもアニマリックな香りの成分が含まれており、これがないとそれらの花らしい香りになりません。
動物性香料一覧
アンバーグリス
マッコウクジラが排泄するアンバーグリスは、海水と日光によって独特の香りが生まれ、高価な価値を持つようになります。品質は海に浮かぶ時間に比例し、最高品質のものは1gあたり3000円以上になることもあります。
カストリウム
ビーバーの香嚢から採取される海狸香は、生息域や食べ物により香りが異なり、テリトリー表示に使われます。香嚢を乾燥させ、アルコール抽出すると、バニラやフルーティー調の香りに変化し、フレーバーや香水に100年以上用いられています。特に香水では、レザー風のエフェクトを付与するために使われ、枯渇の心配がないため天然香料として利用されています。
シベット
ジャコウネコの香腺から採取されるシベットは、希釈することで妖艶で温かみのあるフローラルの香りになり、香り持続の効果があります。しかし現在、主に合成香料が使用されています。また、ジャコウネコの糞は特別なコーヒー、コピ・ルアクの製造にも使われ、消化酵素や発酵により独特の香味が加わります。このコーヒーは極めて高価で、500gで3万円以上の価格がつきます。
ムスク
ムスクは、動物由来、植物由来、合成香料の3種類があり、温かさとセンシュアリティをもたらすだけでなく、香りのバランスや持続時間を増す効果もあります。本来はオスの麝香鹿の腺から採取され、その強烈な香りは非常に希釈することで良い香りになります。現在、市場で購入できるムスクはほぼ合成ですが、できる限り天然のムスクに近い香りを再現しています。