A. 至る所で議論になるこの話題。「自分の好きな香りを纏えばいい。そこに良いも悪いも存在しない」という意見もあれば、「あのブランドの香水には愛が感じられない。香りも面白くない。逆にあそこのブランドは素晴らしい」という意見もあります。香水に限らず、他の芸術分野でも起こる議論でしょう。
個人的には、どちらも正しいと思いますし、どちらも間違っているとも思います。そもそも、人それぞれ、香水への目的が違うからです。これは香水の使用者だけでなく、作り手、メーカーによっても変わってきます。
ここでは、香水を創っている調香師や香水業界の人がどのような発言をしているのか、ご紹介します。
大事なことは、彼らが顧客に向かって言っているというだけではなく、香水を芸術として捉え、メーカーやブランドに対する提言としても発言しているということです。彼らは業界にどっぷりと浸かっているからこそ、どのような背景で香水が生まれるのかを知っています。これこそ、ニッチフレグランスが台頭したきっかけではないかと考えます。
※香水は芸術なのか、などの他議論はまた別のところで。
よい香水は私たちに＜衝撃＞を与える。最初の接近で私たちの気分を揺さぶる感覚的衝撃があり、ついで、心理的衝撃がやってくるが気化が減速するとともに、香水がそのかたちをゆるやかに展開するので、それだけ持続的な衝撃である。（中略）
エドモン・ルドニツカ
つまりすぐれた香水というのは、＜工業技術＞の結果ではなく、芸術的な感性を働かせて何十種類もの匂いの材料を混ぜ合わせ、美しく特徴的な香りのかたちをつくり出す美学的な探究の結果得られるものなのである。美しく特徴的な香りのかたちは、必ずや調香師の個性をとどめていよう。
真に創造と呼べる香水だけが、動揺を引き起こし、予期せぬものを与えることができる。そして顧客が疑問を抱き、習慣を捨てるきっかけとなる。創造的な香水は、顧客の知覚能力を広げるのだ。
ジャン=クロード・エレナ
重要なことは、あなたがそのフレグランスを嗅いだ時に感じる感情です。
マチルド・ローラン
美しい香水はその中にハッとする新しさを持たなければならないが、簡単に理解できるものでもなければならない。
ラルフ・シュヴィーガー
素晴らしい香水というのは、美しい香りのハーモニーのはるか前に、まず素晴らしいストーリーがあると私は信じています。
キリアン・ヘネシー
すべての偉大な香水の背後には、素晴らしい物語があります。
マイケル・エドワーズ
失望と満足を永遠に繰り返し、それでも飽きずに続けられるとすれば、それこそが日々私たちを夢中にさせるものだ。
タニア・サンチェス
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