A.
結論:店頭ではムエット→肌→時間経過の順で試す
香水を正しく試すには、まず新しいムエット(ブロッター)に吹きかけて第一印象を確認し、候補を絞ってから肌で試します。つけた直後だけで決めず、時間がたってから香りがどう変化するかも確認しましょう。
- 来店前は香水や香りの強い化粧品を控える
- 新しいムエットに吹きかけ、数秒待ってから嗅ぐ
- ムエットをこすったり激しく振ったりせず、近づけたり離したりして確認する
- 気に入った候補だけを肌へつけ、こすらずに待つ
- 15分後、2時間後、4〜6時間後を目安に香りの変化を確認する
一度に多くを試すと違いが分かりにくくなります。判断しづらくなったら無理に続けず、店外の新鮮な空気で休憩してから再開してください。時間による香りの展開は、トップ・ミドル・ラストノートの違いでも解説しています。
なお、香水を試すことは「試香(しこう)」とも呼びます。香りを試す紙は「ムエット」「ブロッター」「テストストリップ」などと呼ばれます。店頭では「この香水をムエットで試香できますか?」と伝えれば通じます。
実に大雑把なチェックで事足りたとする怠惰な習慣をもつ人が多すぎるようである。こういう人々は鼻を瓶の先にもっていったり、一滴を手の甲に垂らして皮膚をこすったりするのであるが、こうするとアミノ酸反応を引き起こし、むかつくような匂いにしてしまわないまでも、少なくとも香水を変質しかねない。
エドモン・ルドニツカ
一流の香水にはアトマイザー(注:ここではスプレー付きのボトルの意)を使うべきである。瓶口から漏れる香りは判断を誤らせるもので、それを嗅ぐだけというのでは、奥行きのまるでない浅薄な印象を味わうだけであって、その後に生じ持続するすばらしい効果を発見するにはいたらない。香水というのは、香りの映画とでもいえるものであり、初めから終わりまで味わいたいものである。
消費者に試してもらうさいのもう一つの大きな誤りはどんな香水店でもみられることだが、互いに対照させられるのではなく、別々に嗅ぐべき幾種類もの香水を次から次へと十分な間を置かずに、試させることである。感覚の相対性の法則は、この間違いをけっして受け付けることはない。
香りの試し方
重要な注意事項
まず初めに、絶対にしてはならないのが、香水瓶のスプレー部分に鼻を近づけることです。店頭にあるテスターは、毎日、何度も、長期間使用されているものであり、スプレー部分には香水を出したあとのカスしか残っていません。香りはしますが、空気にかなり触れて酸化しており、その酸化した液体が毎日積み重なるわけなので、実際の香りからは程遠い可能性が高くなります。
また、すでに香りのついたムエットやお店独自の香りのついたプラスチックの何か、で試すこともオススメしません。なぜなら、「いつ香りがついたものなのか」が分からず、「過去につけた香り」と混ざっている場合が多々あるからです。その香水の香りを正しく判断できないのは当然ですよね?
この2点は、購入した香水の香りが試したときと違うと感じる要因の一部になります。したがって、店頭で香りを試す際には、新しいムエットを店員さんにお願いするのがベストになります。
試し方(つけ方)
香水をまとった時、肌から3cmの距離と30cmの距離では香り立ちが違います。
村井千尋
香水をつけた直後、鼻の近くに腕を持って行きがちですが、鼻から30cmの距離でかぐと新しい発見があるかもしれません。
ちなみに私は肌から30cmの位置に立ちのぼる香りを意識して創ります。
ムエット(肌)につける際は、約20~30cmほど離してつけます。特に、スプレーした際にでる霧が面でつくように意識します。なぜなら、距離が近いと点でつき、液体が紙(肌)から垂れたり、アルコールが強く残ったりし、香りが分かりにくくなるからです。
逆に離しすぎると、香りがつかないので、適度な距離になるよう調整します。
ムエットにつける場合、多くても2プッシュまでにし、アルコールを数秒飛ばしてから嗅ぎます。このアルコールを飛ばす間に、販売員側がつけた香水の名前を記入しておくと試す時にちょうど良い塩梅になります。ムエットを嗅ぐ際には、パタパタ扇がず、ゆっくりと鼻に近づけたり、遠ざけたりしながら嗅ぎます。パタパタ仰いでも香りの奥に潜むものが分かりづらくなるだけです。
肌の場合、つけたあとは絶対にこすらないことに留意します。これは熱によって、香りが変質してしまうからです。したがって、こすらずに、軽く手と腕を使って仰いであげるとよいでしょう(お客様に行う場合は、美しく見えるように手首でするのではなく、腕を使って大きい動作でします)。
より正確な判断のために
普段、食べることを避ける特定の食材はあまりないが、ガーリックは特に気をつけています。また、重ための食事は、嗅覚に影響が出るため控えています。
フレデリック・マル
香りを試すときは、前日の日中にブロッターに付け、夜や朝のドライダウンまで香り比べています。ドライダウンにはその作品が持つたくさんの情報が現れるからです。
朝に香りを試す際は、朝食を食べる前の、最も嗅覚の優れている時に香ります。
・1回の試香では、5~10種類の香りまでにすることを頭に入れておくことが大事です。調香師レベルのプロでも、正確に判断できるのは、1日10種類までと言われるくらいなので、真剣に判断したい場合は、嗅ぎすぎないことが肝要です。
・香りの違いが分かりにくくなったら、無理に試し続けず、気になった香水を記録して休憩しましょう。店内の香りから少し離れ、必要なら別の機会に試し直すのも一つの方法です。コーヒー豆を嗅げば鼻が元どおりになる、と考えるのは避けたいところです。63人を対象とした研究では、コーヒー豆・レモン・空気を比べても、新しい香水を見分ける成績に有意な差はありませんでした。ただし、十分な嗅覚疲労を起こせていなかった可能性があり、どんな場合にも効果がないとまでは言えません。研究の内容は、試香の合間のコーヒー豆は、鼻をリセットする?で紹介しています。
上の引用にある朝の試香は、フレデリック・マル自身の習慣として参考になります。休憩や試し直しも含め、自分が落ち着いて比べられる条件を見つけましょう。これらが誰にとっても最良の方法だと、この研究で確かめられたわけではありません。
・時間によっても香りは変化するため、その香りを学びたい場合は、15分に1回の割合で嗅ぎ、ノートをつけると良いでしょう。
少量サンプルを使う場合は、1mlで試せるプッシュ数も目安になります。





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