Q. 香水を付けてこすると、「香りの分子が壊れる」のは本当ですか?

perfume molecule Q&A

A. すべての物質(体、匂い、物体などすべて)は、分子の集まりによって作り出されています。分子は原子からなり、原子はさらに小さな陽子や中性子、電子からなるものですが、実際には、形があるもの(=球体として実在しているもの)ではありません。原子核の周りに電子が雲のようにぼんやり確率的に存在している、というのが正しい表現になります。

 さて、「香水をつけたときに、こすると香りの分子が壊れる」という表現ですが、イメージとして間違いと考えて頂いて良いと思います。そもそも、こすってバラバラになってしまうような大きなものではありません。小さすぎて見えない世界なので、イメージしにくいですが、説明を試みましょう。

 分子は熱により運動して(=飛び回って)います。温度が低ければ低いほど分子の運動は遅く、分子がたくさん運動していればしているほど温度は高くなります。熱エネルギーは運動エネルギーに変わり、運動エネルギーは熱エネルギーに変わるということです。

 つまり、腕をこすると、その部分が熱をもつ(=分子の運動が早くなる)ことになります。これにより、トップノート(の分子)がそれだけ早く飛んでしまうことになり、香りの変化を味わうことができなくなってしまいます。また、腕には香水以外に、汗や皮脂、皮膚常在菌などもあるので、これらが混ざり合ったにおいも出て、変なにおいが出る可能性があります。

 こういう理由で、「香りの分子が壊れる」のは間違いですが、香りが変になってしまうのは確かなのです。

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この記事を書いた人

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

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