A. 香りとは、1つの”もの”として存在しているわけではなく、「無数の分子が集まった集合体」になります。例えば、バラの香りを構成しているのは、1900年には8つだと考えられていましたが、最新の技術では400以上の分子から成ると分かっています。これらが嗅覚に反応することで、私たちは香り・匂いを知覚します。
匂いを嗅いでみれば、純粋な天然の原料は化学的な香料よりもおもしろみがあることがわかる。なぜなら、ほとんどの天然香料は数十あるいは数百もの分子が混ざり合っていて、我々の嗅覚がそれをコクや深みとして認識するからだ。
ルカ・トゥリン
同時に、香りとは、私たちの記憶を呼び起こすものでもあります。つまり、□□の匂いを嗅ぐ→脳に伝達される→過去の経験から○○と△△の匂いだと感じる→それが□□の香りと認識する、というイメージです。したがって、嗅覚というのは経験によってより鋭いものにすることができるのです。
一般に、調香師の嗅覚の能力は一般人のそれの100倍と言われます。嗅覚を鍛えるためには、香水だけではなく、様々な香りを嗅いだ時に、何の香りかを考える訓練が長期間必要になってきます。また、単体の香料をある程度嗅ぐことも重要です。
技術は覚えることのできるものであり、香水の世界では苦労して覚えるものである。香水の批評が即興でなしえないのは、音楽、絵画、文学の批評に劣らない。
エドモン・ルドニツカ
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