Q. どうやって香水を説明したらいいですか?

Q&A

A. 接客の妙は、水が入れ物によって形を自由に変えるように、相手に応じて必要な説明を変え、お客様でさえ気づいていない潜在的に求めているものを引き出す点にあります。したがって、これさえすれば良いという絶対的な答えはありませんが、上記の接客を行うためには、できるだけ多くのインプットと実戦経験というアウトプットが必要となります。ここでは、インプットを中心に、何をインプットすれば、上手に香水を説明できるようになるのかを書いてみようと思います。

①ブランドと商品の知識
 まずは自分が販売しているブランドの誕生ストーリー、コンセプト、何が他のブランドと違うのか、その香水は何を描き、どのように作られたのか(香水のストーリー)、調香師は誰なのか、自分がブランド・商品に対してどのようなところが良いと思うのかをできるだけ多く書き出し、まとめていきます。
 この際、多くの販売員にとって壁になるのが、会社の資料が少なすぎるという点です。インタビュー記事があるにもかかわらず、それを販売員には明らかにしないブランドが多く、結果として興味があって調べる一般の人の方が詳しいという状況に陥ることもあります。しかし、文句を言ってても仕様がないので、自分で調べましょう。まずは日本語で「○○(ブランド名) インタビュー」と検索し、探し終えたら英語で同様に調べます。海外ブランドの場合は、英語のインタビュー記事が豊富なので、翻訳アプリを使用して必ず調べましょう。

②香水の基本的な知識
 香水に関する基礎知識もできるだけ知っておくことに越したことはないでしょう。用語、香料、香調、よくある質問とその答え、香水の歴史など、当サイトにも載せていますが幅広く、網羅的に学ぶことをお勧めします。お客様の多くは香水に関しては素人です。そして間違った知識を持っていることも多々あります。正しい知識を伝え、多角的にアドバイスできるようになることは、香水販売のプロフェッショナルとして求められるでしょう。
 では、どこでどう学べば良いのか?多くの知識は、当サイトで得ることができます。数百記事が無料で公開されていますので、ぜひブックマークして日々の勉強に役立ててください。さらにオススメなのは、書籍から学ぶことです。色々なところから吸収することでより知識が身につくと考えます。

③歴史的名香と呼ばれる香水や他社の香水の知識
 時間があれば近くのブランドの販売員に香りを試させてもらったり、休みの日に香水を試しに出かけたりしてみましょう。香りは実際に試さなければ分かりません。もちろん、一度試すだけで理解することはできませんが、お客様からよく聞く香りや一般に人気のある香り、昔から販売され続けている香りなどは知っておくことをオススメします。歴史的名香は、昔愛用していたという方がいるだけでなく、今の香水の元になった香りも多く、香りの変遷を知る上で重要です。ニッチフレグランスだけ知っている人も最近は多いですが、ニッチフレグランスが輝けるのは、メインストリーム(王道)があるからであり、王道のフレグランスは一時代を築き、ニッチフレグランスで香水を創る調香師もリスペクトする香りです。長く売られている理由は何なのか?これを学び、考えることは自身のブランドを販売していくうえで重要でしょう。

④話す時のポイントを知る
 さて、重要なのはアウトプットの際に、「自分の言葉で話をすること」、「香水への情熱・愛を表現する」、そして、「9割の真実に、1割の虚構(=夢)を混ぜる」ということです。まずは覚えたことをそのままでも大丈夫ですが、自分らしく話すことを意識しながら、自分の言葉で話していくようにしましょう。

錯覚は現実よりも真実だ。真実らしさは真実よりも、信じられる。…錯覚は、嘘ではない。欲望にこたえるためのひとつの方法だ。

ジャン=クロード・エレナ

芸術というのは、我々に真実を認識させる嘘である。

パブロ・ピカソ
この記事を書いた人

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

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