「私たちは、香水選びをバーテンダーが飲み物をすすめることにたとえている。」
— サルット・タントラトーン(共同創業者、2024年)
バンコクのSKONX Perfumery(スコンクス パフューマリー)は、タイと海外のニッチ香水を横断して紹介するマルチブランド店である。店が掲げるのは「フレグランス・バー」。さまざまな材料からカクテルが生まれるように、香水にも異なる作り手と表現がある。その違いを、会話を通して一人ひとりに手渡そうとしている。
ジョヴォイやMDCI、ソラ ドラと、PRIN、ストレンジャーズ パフューマリー、サイアム1928が同じ店の取扱に並ぶ。タイの香水を知る入口であると同時に、国外の独立したメゾンへ視野を広げられる場所でもある。
基本情報
- 名称:SKONX Perfumery(スコンクス パフューマリー)
- 始動:2022年半ば。ゲイソンの実店舗は2024年1月の紹介記事ですでに営業している。
- 共同創業者:サルット・タントラトーン(ศรุจ ตั้งธราธร)。販売を担う共同経営者に、フェームことナット・ムアンメーン(ณัฐ เมืองแมน)がいる。
- 拠点:タイ・バンコク
- 業態:タイと海外のニッチ香水を扱うマルチブランド店・オンラインショップ
- 公式サイト:SKONX Perfumery
創業の背景とバンコクでの展開
海外から取り寄せる苦労が店の構想へ
スコンクスの出発点には、香水に関心を深めた友人たちの不便があった。フェームによれば、計画が始まったのは2022年半ば。仲間の一人がフランスで香水を学んで帰国し、魅力的な作品を紹介してくれたものの、タイでは手に入れにくかった。海外からの到着に数か月かかり、瓶が割れることもあったという。自分たちと同じ苦労をする人に、世界の香水を届ける店を作ろうと考えたのである。
最初の店舗はゲイソン・ビレッジ。2024年1月、共同創業者のサルットは、世界のニッチ香水をバーの形で紹介する構想を説明した。当時は120を超える香りを扱い、海外のメゾンとタイの作り手をともに紹介していた。L’Orchestre Parfum、MDCI、JUL ET MAD Paris、SORA DORA、HUNQと、サイアム1928やタダ パフューマー、PRINなどを組み合わせる選品は、この段階ですでに形になっていた。
「店内のブランドから5つの香りを選ぶ。」
— サルット・タントラトーン(2024年、当時のSkonx Clubについて)
この言葉は、当時発表された会員プログラムの説明である。テーマを月ごとに変え、自宅へサンプルを届ける仕組みだった。また、ブランドの創業者や調香師と話す催し、ワークショップ、新作発表も構想に含まれていた。店頭の一本を売るだけでなく、香水を知り、試す機会を継続して作ろうとしていたことが分かる。
商業施設からソンワットの通りへ
その後、セントラルワールド、ソンワットへと接点が広がった。2025年9月には3店での接客が現地取材に登場する。フェームは、ソンワットでは商業施設内とは異なる人々に出会えることを歓迎していた。香水を目当てに来た人に加え、通りを歩く人も入ってくる場所である。
2026年10月時点の公式サイトは、ゲイソン、セントラルワールド、ソンワットを案内している。サイアム1928の公式販売店一覧にも、この3拠点が載る。ゲイソンからソンワットへ店全体が移ったということではなく、異なる立地に店舗を展開してきた歩みとして捉えたい。
スコンクスの歴史年表
| 時期 | 主な出来事 |
|---|---|
| 2022年半ば | 友人たちによる店の計画が始動。海外の香水を入手する不便が構想の背景にあった。 |
| 2024年1月 | ゲイソン・ビレッジの店舗と、当時のSkonx Clubが紹介される。120を超える香りを扱っていた。 |
| 2025年9月 | 現地の独立取材で、ゲイソン、セントラルワールド、ソンワットの3店舗と接客・研修の仕事が紹介される。 |
| 2026年10月 | 公式サイトと取扱ブランド側の販売店一覧に、上記3拠点を掲載。 |
海外のメゾンとタイの作り手をつなぐ選品
ブランド名だけでなく、実際の作品が並ぶ
2026年10月の公式通販には、ジョヴォイの「リメンバー ミー」、MDCIの「インヴェイジョン バルバル」「シプレ パラタン」、ストレンジャーズ パフューマリーの「ソルテッド グリーン マンゴー」「キラ キラ」などが掲載されている。ソラ ドラにも独立した商品一覧があり、ドゥシタ、PRIN、パルファン プリッサナ、ロルケストル パルファン、ジュル エ マッドも取扱ブランドに含まれる。自社名の製品だけで構成された店ではない。
たとえばジョヴォイは、パリの香水専門店としても知られる名前である。スコンクスで扱われるのは、その名を冠した香水コレクションだ。MDCIのようなフランスのメゾンと、バンコクの作り手の作品を一つの取扱の中で見比べられることに、この店の幅がある。
ただし、公式通販の商品掲載は、各店舗の在庫やテスターの有無と同じではない。目当ての作品がある場合は、訪問先に確かめるとよい。
店名に込めたスカンクの発想
SKONXという綴りは、スカンクに由来する。公式の紹介は、その際立った匂いを、個性のある香りの集まりになぞらえている。心地よさを一つの基準に揃えるより、記憶に残る違いに目を向ける名前である。バーという比喩も、単に内装の趣向を指すものではない。異なる香りの背景を伝え、相手の好みを聞きながら提案するという、店の役割を表している。
原料を嗅ぐ研修と、会話から始まる試香
2025年のフェームの説明では、スタッフは約1週間、香水を構成する原料や物質を嗅ぎ、香りの系統と特徴を学ぶ。完成品の説明を覚える前に、匂いそのものを理解するための研修である。
「でも、私たちはフレンドリーなんです。」
— フェーム(ナット・ムアンメーン、2025年)
詳しいスタッフを前に来店客が身構えないことも、フェームが重視する点だった。ソンワット店の接客では、スタッフが作品の背景を語り、試香紙に吹き付け、肌でも試すよう促している。知識を伝えることと、相手が自分で確かめる余地を残すことが、一つの接客につながっている。
「Dusk till Dawn」が表す夜のバンコク
店と作り手の関係を示す作品に、タダ パフューマーの「ダスク ティル ドーン(Dusk till Dawn)」がある。公式商品ページは、眠らないバンコクの夜、その光と活気を題材に掲げる。文化、宗教、自然とは異なる角度から、タイの都市を香水で伝える作品である。
その表現の中心に置かれたのが、アンバーとマンダリン。光を感じさせる柑橘と、夜の濃密さを担うアンバーを組み合わせ、都市のエネルギーを描こうとしている。透明な角瓶には夜の街を思わせる黒と黄緑のラベルが付き、「Skonx Exclusive」と記される。スコンクスが複数ブランドを集めるだけでなく、店固有の作品を作り手と紹介する場でもあることを示している。
この作品には、スコンクスとタダ パフューマーの接点が残る。その隣では別の作り手が、違う土地や題材を香水にしている。店の棚を横断することが、香水を通して都市や文化の捉え方を見比べることにもなる。
バンコクの3つの拠点
2026年10月時点の公式案内では、ゲイソンは2階、セントラルワールドは2階エデン・ゾーン、ソンワットは1210–1211番地である。サイアム1928側の公式一覧からも、それぞれの店舗への地図リンクを確認できる。商業施設で立ち寄るか、ソンワットの街歩きに組み込むか。違う場所から、タイと海外の作り手の仕事に触れられる。
参考文献
- 共同創業者の発言・当時の取扱・Skonx Club — SIAMRATH VARIETY(2024年1月30日)
- 取扱ブランド一覧 — SKONX Perfumery
- Skonx Perfumery「バーフレグランス」とニッチ香水への橋渡し — Thairath Plus、タッサナー・プッタプラサート(2025年9月20日)
- 店舗所在地 — SKONX Perfumery
- 公式販売店一覧 — SIAM1928
- Jovoy Parisの商品掲載 — SKONX Perfumery
- MDCIの商品掲載 — SKONX Perfumery
- Strangers Parfumerieの商品掲載 — SKONX Perfumery
- SORA DORAの商品掲載 — SKONX Perfumery
- 店名とフレグランス・バーの考え方 — SKONX Perfumery
- Dusk till Dawnの題材・構成・公式画像 — SKONX Perfumery


