「自由に分かち合える環境と、多彩なニッチ香水を一緒にできたら、どんなにいいだろう?」
— Terrence(NOSEWAY創業者)
友人に香水を差し出すと、驚く人も、感嘆する人もいる。その反応を見ることが好きだった香水収集家が、台湾で世界の香りを紹介する店を始めた。NOSEWAY(ノーズウェイ)、中国語名「迷香人」である。
台北の京站や信義地区に拠点を持ち、BDKパルファム、エタ リーブル ド オランジェ、ズーロジスト、オーモンド ジェイン、フレグランス デュ ボワなどを扱うマルチブランドの香水店だ。同名の自社香水もあるが、店の歩みを理解する出発点は、異なる作り手の香りを集め、対話を通じて紹介する仕事にある。
基本情報
- 名称:NOSEWAY/NOSE WAY(迷香人、ノーズウェイ)
- 店舗展開の開始:2019年
- 創業者:Terrence(テレンス)
- 事業:複数ブランドのニッチ香水の輸入・販売、実店舗とオンラインショップの運営
- 公式サイト:NOSEWAY 迷香人
創業者と店の成り立ち
香水収集とヨーロッパへの出張から始まった構想
テレンスは香水を集めるだけでなく、友人に作品を紹介することも楽しんでいた。仕事でヨーロッパを訪れる機会が多く、そこで目にしたのが、多数のブランドと個性の異なる香りが一つの空間に集まる香水店だった。
友人同士の気軽な香りのやり取りを、店でも実現できないか。多様なニッチ香水を、そのような環境で紹介したいという構想を、約3年かけて準備した。NOSEWAYという名にも、自分の鼻で香りをたどり、記憶や暮らしとつながる道を見つけてほしいという考えが込められている。
2019年の京站・高雄出店と、売場の拡大
2019年8月末の開店告知には、台北京站店は9月1日、高雄漢神巨蛋店は9月7日に開くと記されている。北の台北と南の高雄に、世界の独立系香水を集める売場が生まれた。初期の紹介にはピエール ギヨームやズーロジストの名があり、日常にまとう香りと、嗅覚を刺激する表現の両方を扱う姿勢が見える。
高雄店は2022年4月、99平方メートルへ増床してリニューアルした。台北だけを中心に据えた拡大ではない。2024年の高雄店長ショーンの説明でも、2019年の開店から継続して店に関わってきたことが語られている。
2023年には、台北の京站、新光三越信義新天地A11に加え、台中、板橋、高雄へと広がった販売網を通じて、ピュアディスタンスの展開が始まる。2024年には自社名を冠した香水も発表した。複数のブランドを紹介する小売店の仕事から、自ら香りを作る仕事へも活動を広げたのである。
ピュアディスタンスを5店舗へ届けるための交渉
店の選品がどのように実現するのかを示すのが、ピュアディスタンスとの交渉である。2023年、ブランドマネージャーのメンディは、作品の品質にひかれたことに加え、顧客からも取扱を望む声があったと説明した。
しかし、ブランド側は当初、店頭販売を1店舗に限るよう求めた。メンディは交渉を重ね、まず3店舗、さらに当時の全5店舗へと許可を広げた。
「遂にNoseway全5店舗に置かせてもらえることになったのよ!」
— メンディ(ブランドマネージャー、2023年)
翌2024年6月には、ピュアディスタンス創業者ヤン・エワウト・フォスが台湾を訪れた。台中で開かれた催しには30人以上の顧客が集まり、翌春発売予定だったディヴァンシェを先に試す機会も設けられた。取扱の獲得が、作り手と顧客が香りを囲む場へつながっている。
NOSEWAYの歴史年表
| 年 | 主な出来事 |
|---|---|
| 2019年 | 9月、台北京站と高雄漢神巨蛋での開店が告知される。 |
| 2021年 | 新光三越信義新天地A11の売場が台湾版VOGUEで紹介される。 |
| 2022年 | 4月、高雄店が99平方メートルへ増床してリニューアル。 |
| 2023年 | 4月、当時の全5店舗でピュアディスタンスの展開を開始。 |
| 2024年 | 6月、台中でピュアディスタンス創業者の顧客向けイベント。同年、自社名の香水コレクションも発表。 |
選品と試香を支える考え方
実験性と、日常にまとう香りを同じ棚へ
NOSEWAYは選品の考え方を「10%の実験性、20%の芸術性、70%の日常性」という配分で表している。香水の成分比率ではなく、店が届けたい作品の幅を示す言葉である。驚きを求める愛好家にも、日々使う一本を探す人にも、選択肢を用意するという姿勢だ。
2026年10月時点の公式サイトでは、BDKのグリ シャーネル、エタ リーブル ド オランジェのユー オア サムワン ライク ユー、ズーロジストのラビット、オーモンド ジェインのヨン ローズ、フレグランス デュ ボワのブリュム デュ マタンなど、ブランド名だけでなく具体的な作品の掲載を確認できる。ピエール ギヨーム、パルファン ド エンパイア、MDCI、ピュアディスタンスもブランド分類に並ぶ。
ここでは、自社の香水だけを中心に体験するのではなく、異なる調香師やブランドの仕事を横断して探せる。同じ店で比較する意味は、作品名の多さだけではない。あるブランドの表現が好みに合わなくても、別の作り手へ話を進められるところに、マルチブランド店の役割がある。
対面で香りを伝えるための社員教育
2023年、運営側のダヴィナは、当時の販売の96%が対面だったと説明している。オンラインがある一方、顧客が自分で香りを試し、実物を手に取ることが事業の中心にあった。
「社員教育にはとても力を入れているの。」
— ダヴィナ(2023年)
担当者が不在でも、別のスタッフが対応できるようにする。その言葉は、作品知識を一部の人だけに集中させないという店の運営につながっている。また当時は、すぐに渡せる商品が欠品すると、そのテスターを展示から下げる方針だった。店頭で試せる香りと、店が実際に届けられる香りを近づける判断である。
2024年の高雄での訪問記には、スタッフが試香紙を差し出し、込み入った説明は翻訳アプリを介して複数人で伝える様子が残る。ただし、過去の接客事例が、すべての拠点での外国語対応や、現在の運用を保証するわけではない。公式通販に掲載されている作品も、各店舗の在庫やテスターの有無とは別に確認する必要がある。
台北で訪ねられる2つの拠点
台北で訪ねるなら、京站と新光三越A11が候補になる。以下は2026年10月に公式サイトと各商業施設の案内を照合した所在地である。
| 店舗 | 所在地 | 立地の特徴 |
|---|---|---|
| 台北京站店 | 台北市大同區承德路一段1號、京站時尚廣場1F | 台北駅に接続する商業施設内。駅周辺の滞在や移動に組み込みやすい。 |
| 台北新光三越A11店 | 台北市信義區松壽路11號、新光三越信義新天地A11・2F | 信義地区の百貨店内。市政府駅などから訪ねられる。 |
2023年の訪問記では、A11店の中央にソファがあり、座って試香紙や肌につけた香りを確かめる様子が紹介されている。京站店はそれより広い売場として記録された。これは当時の空間の様子であり、現在の内装や広さの案内とは区別したい。
公式案内には、このほか高雄漢神巨蛋、台中大遠百、板橋大遠百も掲載されている。訪問前には公式の販売拠点案内を確認し、目当ての作品があれば訪問先へ尋ねるとよい。台北駅近くで立ち寄るか、信義地区で時間を取るか。旅程に合う場所で、複数の作り手の香りを比較できる店である。
参考文献
- 創業者Terrenceの構想と選品 — VOGUE Taiwan「信義區又一全新香水聖地…」(2021年、Special企画)
- 京站・高雄の開店告知 — BEAUTY美人圈「找到專屬於妳的香味!NOSE WAY迷香人專櫃登場…」(2019年)
- 高雄店長へのインタビューと訪問記 — La Parfumerie Tanu(2024年)
- メンディ、ダヴィナへの直接インタビュー — ピュアディスタンスジャパン「世界のピュアディスタンス取扱店【台湾編】」(2023年)
- 創業者の台湾訪問と台中イベント — Puredistance in Taiwan(2024年)
- 同名香水コレクションの発表 — VOGUE Taiwan「藉香氣尋找與記憶…」(2024年、Special企画)
- 公式理念・ブランド分類・店舗所在地 — NOSEWAY
- グリ シャーネルの商品掲載 — NOSEWAY
- ユー オア サムワン ライク ユーの商品掲載 — NOSEWAY
- ラビットの商品掲載 — NOSEWAY
- ヨン ローズの商品掲載 — NOSEWAY
- フレグランス デュ ボワの作品掲載 — NOSEWAY
- 京站店の現行フロア案内 — 京站時尚廣場
- A11店の現行フロア案内 — 新光三越
- A11へのアクセス — 新光三越日本語案内
- 台北2店舗の空間と試香の記録 — La Parfumerie Tanu(2023年)
- 公式販売拠点・来店予約案内 — NOSEWAY


