美しい香水は、肌の上の透明な衣服です。
ゾーヨミ・ジョルト
Le Parfum(ル・パルファン)は、調香師ゾーヨミ・ジョルト(Zsolt Zólyomi)がブダペストに開いた香水専門店である。世界のニッチフレグランスを揃え、客とともに香りを比べ、最後は肌にのせて選ぶ。個別の選香相談では、調香師との対話を通して、選ぶ手がかりを見つけていく。
店舗のはじまり
調香師が開いた、香水を選ぶ場所
生物学を学んだジョルトは、フランスのヴェルサイユで調香を修めた。香りをつくる仕事とともに力を注いだのが、他の調香師たちの作品をハンガリーで紹介する場所づくりだった。2008年、ブダペストのツコル通りにLe Parfumの最初の店を開く。
開業当初は、よく知られたファッションブランドの香水を求めて来店し、棚の品揃えに戸惑う客もいた。男性用と女性用の売場を探しても、そのような分け方は見当たらない。ジョルトが並べたのは、既に知っている名前から選ぶ方法をいったん離れ、目の前の香りを試せる棚だった。
店はやがてファッション・ストリートの一角へと広がる。エルジェーベト広場に面するホテル内の店舗は、2016年夏の改装後に営業を再開し、2019年12月にはMOM Parkにも新たな店が生まれた。小さな店から始まったLe Parfumは、街の中心と商業施設の両方に、香水を選ぶ場所を持つようになった。
店づくりの考え方
香りの好みを、会話のなかでほどく
Le Parfumの品揃えには、BDK Parfums、Frapin、Juliette Has A Gun、Puredistanceなどがある。作り手も香りの表現も異なるブランドを横断しながら、自分が心地よく感じるものを探していく。
そのために大切なのが、好きな香りを一つの言葉で決めつけないことだ。たとえば甘い香りが欲しいと言われたら、ジョルトは、バニラの甘さなのか、蜂蜜なのか、ココアなのかと問いを重ねる。同じ甘いという言葉でも、思い浮かべる香りは異なる。会話によってその違いが見えてくると、棚のなかから試す香水も絞られていく。
個別の選香相談は、およそ1時間。さまざまな香りを試しながら、ジョルトとともにその特徴をたどっていく。
候補となる香りの系統やアコード、原料を、一緒に分析していきます。
ゾーヨミ・ジョルト
まず好みや香水を使う習慣、どんな場面で纏いたいかを聞き、さまざまな香りを比べていく。現在の相談では30〜40種類を試し、候補を肌にのせて確かめる。香水を新たに製作するオーダーメイドとは別に、既にある作品のなかから、その人の一本を見つけるための時間である。
最後は、その人の肌で確かめる
その方自身の肌の匂いが、最も重要な要素です。
ゾーヨミ・ジョルト
ジョルトが選香で重視するのは、香りの名前や説明を読んだ印象だけではない。気になった香水を実際に肌にのせ、本人がどう感じるかを確かめる。紙の上で比較していた香りが、自分の身体に近づく段階だ。
こうした相談を支えるのは、専門知識だけではない。ジョルトは、著名な俳優にも、買い物袋を持って訪れた年配の客にも同じように接することを大切にしてきた。スタッフに求めるのも、香水の知識に加えて、親切さや開かれた態度、相手への関心である。

金色の細い枠を使った棚と、丸い木のテーブル。そのそばには椅子が置かれる。瓶の並ぶ壁面を眺める場所と、向き合って座る場所が近接している。香水を手に取ることと、じっくり話すことが、同じ空間に収まるつくりである。
訪れたい店舗
エルジェーベト広場の店
ブダペストの中心で訪ねたいのが、エルジェーベト広場とファッション・ストリートが交わる場所にある店舗だ。入居するホテルは旧ザ・リッツ・カールトンで、現在はAl Habtoor Palace Budapestという名前になっている。
この店は、作り手を迎える場にもなってきた。2017年にはPuredistanceのチームが訪れ、ジョルトとスタッフとともに時間を過ごしている。世界各地の香水を揃えるだけでなく、その作り手とブダペストの売場をつなぐ一面も持つ。
MOM Parkの店
MOM Park店は、2019年12月に開いたもう一つの拠点である。こちらでもジョルトの個別選香相談が行われる。


