「祖母の裏庭のローズゼラニウムの、あの匂いを今もはっきり覚えています。」
— ステファニー・マシュー(創業者)
ホノルルのチャイナタウンにあるAaila(アイラ)は、世界のニッチ香水と独立系の作り手を集めるマルチブランドの香水店である。アルキスト、エタ リーブル ド オランジェ、エッセンシャル パルファンといった名前から、小さな新しいブランドまで。その幅を、実際に香りを嗅ぎながら知ることができる。
店を始めたのは写真家のステファニー・マシュー。香水への個人的な関心と、ハワイでそれを試す難しさが、店づくりにつながった。
基本情報
- 名称:Aaila(アイラ)
- 創業者:Stephanie Matthew(ステファニー・マシュー)
- 拠点:アメリカ・ハワイ州ホノルル、チャイナタウン
- 業態:ニッチ・独立系香水を扱うマルチブランド店
- 公式サイト:Aaila
写真家がホノルルに香水店を開くまで
幼い頃の匂いと、取り寄せを待つ日々
マシューは幼少期をカリフォルニアで過ごし、その後、家族とハワイへ移った。祖母の庭のローズゼラニウムに加え、サンタアナの風、塩素、カモミールも、幼い頃を思い出させる匂いである。写真家として仕事をするようになっても、香りが呼び起こす記憶は身近にあった。
ノースショアを拠点に暮らす彼女がニッチ香水に惹かれると、島で試すことの不便が見えてきた。気になるブランドのサンプルを注文しても、届くまで何週間もかかる。そもそもハワイへ発送しない店もあった。
2025年、カリフォルニアの香水店を訪れたことが構想のきっかけになった。自宅には届かない香水が目の前に並ぶ。その場で嗅いで選べる体験を、ハワイにも持ち帰ろうと考えたのである。2026年8月には、チャイナタウンで営業するアイラと創業者の考えが紹介されている。
チャイナタウンの古い建物を選ぶ
「ここでなければならなかったんです。」
— ステファニー・マシュー
立地を選ぶとき、マシューが求めたのはチャイナタウンの歴史、レンガ、古いドアノブ、大きな窓だった。その街並みが、店を置く理由になった。
公式の店づくりにも、ハワイに足りないと感じていた「ニッチ香水と独立系香水を直接体験する場所」という出発点が示されている。アイラの仕事は、遠くの香水を島へ運ぶことと、それを急がず確かめる場所をつくることの両方にある。
南国風に限定しない、複数ブランドの選品
自分が知り、愛用する香水から選ぶ
「私が知っていて、好きで、すでに持っているブランドを仕入れています。」
— ステファニー・マシュー
選品では、南国らしい軽快な果実だけに偏らず、重さやスパイス感のある香りも取り入れた。島で暮らす人の好みを、一つの気候イメージに収めないためである。
2026年10月時点の公式取扱一覧には、Arquiste(アルキスト)、Etat Libre d’Orange(エタ リーブル ド オランジェ)、Essential Parfums(エッセンシャル パルファン)、Imaginary Authors(イマジナリー オーサーズ)、Liis(リース)、d’Annam(ダナム)、Marissa Zappas(マリッサ・ザッパス)、Room 1015(ルーム1015)、Une Nuit Nomade(ユヌ ニュイ ノマド)などが並ぶ。特定の自社製品を中心にした店ではなく、異なる作り手の香水を横断して選ぶ専門店である。
シカゴのClue(クルー)とニューヨークのROAN(ロアン)も、ブランド側の公式販売店一覧にアイラを掲載している。店側の紹介と作り手側の案内の両方から、複数ブランドの取扱関係を確かめられる。
米の香りから海賊の物語まで
マシューが紹介するダナムの米の香りは、米を思わせる始まりから花、ムスクへと変化するという。同ブランドの「ホワイトライス(White Rice)」は、ベトナムの食卓にあるジャスミン米を題材に、パンダン、ジャスミン、ホワイトムスクを重ねた作品である。一方、マリッサ・ザッパスの「チン・シー(Ching Shih)」は、南シナ海の女性海賊を題材に、火薬、オリス、オスマンサスを組み合わせた作品である。ここでのオリスはアイリスの根茎に由来する香料、オスマンサスはキンモクセイを指す。
身近な食の記憶と、歴史上の人物の物語。香水の題材の違いを、一つの店の中でたどれることが、この選品の面白さである。
慣れた香りから好みを広げる接客と試香
「先入観を持たずに来てください。」
— ステファニー・マシュー
接客では、来店客が慣れ親しんでいる香りから始め、反応を見ながら範囲を広げる。好みを最初の言葉だけで固定せず、嗅いでみたときの反応を次の提案に生かす方法である。
「歩き回って、全部嗅いでみてください。」
— ステファニー・マシュー
公式サイトも、香りを嗅ぎ、時間をかけて、自分の好きなものを見つけるよう呼びかけている。ブランドを知ってから訪れる人にも、まだ名前を知らない人にも、実物を前に好みを探す余地がある。
ホノルルの店舗
所在地は7 North Hotel Street, Honolulu, HI 96817。2026年10月時点の公式案内では、水曜から土曜は11〜18時、日曜は12〜17時、月曜と火曜は休業である。最新の案内は公式の店舗ページで確認できる。
参考文献
- New Fragrance Boutique Aaila Curates Uncommon Scents — HONOLULU Magazine、Brie Thalmann(2026年9月1日)
- Our Houses:公式取扱ブランド一覧 — Aaila
- Meet Aaila: Honolulu’s First Niche Fragrance Boutique:創業者Q&A — The Edit Hawaii、Jasmine Chagnon(2026年8月14日)
- About:店の出発点と試香の考え方 — Aaila
- Stockists:ホノルルの公式取扱店 — Clue Perfumery
- Store Locations:ハワイの公式取扱店 — ROAN Fragrances
- White Rice:着想と制作説明 — d’Annam
- Ching Shih:題材と香りの構成 — Marissa Zappas
- Visit:所在地・営業時間 — Aaila


