Scentrique(セントリーク)|バンクーバーの香水店の歴史と選品・試香

セントリークの紹介。温かな光の中の試香紙と無地のサンプル瓶、英名と日本語の読み方 香りの世界を広げる

実店舗を開くことは、いつも私たちの目標だった。

イリーナ・ノヴァク=カルキ

Scentrique(セントリーク)は、カナダ・バンクーバーで生まれた香水専門店である。始まりは2019年のオンライン販売。翌年、外出や対面での買い物が制限されるなかで、自宅に届くサンプルと、実際に香りを比べられる店の両方を育てていった。

扱うのは、香水を創作の中心に据えるニッチ・パフューマリーのブランド。セントリークの歴史をたどると、知らない香水を輸入するだけではなく、それを自分の鼻と肌で確かめる機会をカナダに届けようとした、二人の女性の仕事が見えてくる。

基本情報

  • 名称:Scentrique(セントリーク)
  • 創業:2019年。バンクーバーの実店舗は2020年開業
  • 共同創業者:イリーナ・ノヴァク=カルキ(Irina Novak-Calki)、マリア・フロロワ(Maria Frolova)
  • 業態:ニッチ香水・ホームフレグランス専門店、オンラインストア
  • 所在地:466 Granville Street, Vancouver, British Columbia, Canada
  • 公式サイト:Scentrique

二人の創業者と、バンクーバーの店の成り立ち

資金調達と会計の仕事から、香水の店づくりへ

イリーナは、全国規模の医療・健康分野の慈善団体で、企業からの資金調達に携わっていた。仕事を大切にしながらも、創造性や働き方の自由、ヨーロッパとのつながりを求めていた。店の構想につながったのは、バンクーバー、そしてカナダで、大手の香水以外の選択肢が限られ、手に入れにくいと感じていたことである。

マリアは財務管理を学び、長年会計の仕事をした後、地元のクリニックの管理職へ転じた。そこで小さな事業の運営を学んだ。起業家の家族に育ち、自分の事業を持ちたいという思いもあった。イリーナから誘われたとき、その提案を受け入れたのである。

マリアにニッチ香水を教えたのは、ロシアで香水店を開いた親しい友人だった。それまではデザイナーズブランドの香水を使っていたが、紹介された香りを好むようになった。イリーナが惹かれたものも、単なる希少性ではなかった。

香りの意外な組み合わせ。

イリーナ・ノヴァク=カルキ

驚きのある構成や、一つひとつの作品とブランドの背景。その関心を、自分たちの街で実際に試せる品ぞろえへ変えたのがセントリークである。

2019年のオンライン創業と、自宅での試香

セントリークは2019年、バンクーバーを拠点とするオンラインの香水店として始まった。実店舗ができる前から、香水の小さなサンプルを届けることが事業の一部だった。

2020年6月13日付の発表では、テーマに沿って組んだセットと、自分で選ぶセットの両方が案内されている。「Floral Bomb」「Sweet Dream」「Man Cave」といった名前から入口を選び、自宅で自分の肌につけて試す仕組みである。当時は、サンプルセットの注文にボトル購入へ使える還元も設けていた。

対面の買い物が難しくなった時期にも、知らない香りとの出会いまで止める必要はない。オンラインの文章や写真だけで大きなボトルを選ぶ代わりに、まず少量を試す。セントリークは、遠方の顧客に香水を届ける方法を、試香の段階から用意していたのである。

2020年、グランヴィル通りに実店舗を開く

それでも、実店舗は当初からの目標だった。自宅で試すサービスを利用する地元の顧客から、訪ねて香りを比べられる場所を求める声が寄せられていた。新型コロナウイルスの流行で計画は遅れたが、2020年にはダウンタウンのグランヴィル通り466番地に店を構えた。

グランドオープンの催しは9月3日から7日まで。入店人数の制限と清掃の手順を設けた開催だった。香水に加えて、キャンドル、ホームフレグランス、香りのあるボディケアも扱い、身にまとう香りと部屋の香りを同じ場所で紹介した。

通販から店舗への展開は、販売経路を増やすだけの出来事ではない。届いたサンプルを一人で試す時間に、店員と話し、複数のブランドをその場で比べる機会が加わったのである。

歴史年表

年・時期 出来事
2019年 イリーナとマリアがセントリークを創業。オンラインでニッチ香水を紹介する。
2020年6月 自宅で試すサンプルプログラムを発表。テーマ別と自由選択のセットを案内する。
2020年9月 バンクーバーの466 Granville Streetに実店舗。3〜7日にグランドオープンの催しを開催。
2024年6月 創業者の公式インタビューを公開。香りのタイプと価格帯のバランス、実際に試して決める選品を説明。
2025年12月 地元誌Vancouver Magazineが、共同オーナーのイリーナを香水選びの専門家として取材。
2026年10月確認時点 バンクーバーの店舗とカナダ向け通販を継続。米国公式サイトではデンバー圏の店舗と米国向け通販も案内。

選品と接客で、知らなかった香水を身近にする

香りのタイプと価格帯を、偏りなくそろえる

選品では、香りの要素や全体の性格、価格帯のバランスを取る。来店した人が、好みと予算の両方に合うものを見つけられる構成を目指している。

私たちの選品の過程は、かなり主観的です。

マリア・フロロワ

新しく届くラインや香水は自分たちで試し、扱うかを決める。一方で、顧客のリクエストや香水愛好家の間の動向にも耳を傾ける。二人の好みだけでも、流行だけでも完結しない選び方である。

現在の公式ブランド一覧には、エタ リーブル ドランジュ、ピエール ギヨーム、ニコライ、メゾン クリヴェリなどが並ぶ。カナダのUntamedも掲載されている。ヨーロッパの香水に触れる入口でありながら、棚の構成はその地域だけに閉じていない。

話題の一本を、肌で確かめる一本へ

イリーナは2025年12月31日のVancouver Magazineの記事で、インフルエンサーの推薦だけで買うことに慎重な姿勢を示している。画面上で魅力的に見えるボトルでも、自分に合う香りかどうかまでは分からないからだ。

香水は決して一つの香りだけではなく、肌の上で変化していく旅なのです。

イリーナ・ノヴァク=カルキ

この言葉は、試香の意味をよく表している。最初に嗅いだ瞬間の印象を知ることと、身につけた後の変化を知ることは別である。店頭で候補に出会い、自宅では時間をかけて確かめる。実店舗とサンプル販売を持つ店だからこそ、その二つを行き来できる。

愛好家が挙げる、実際に嗅げる場所とサンプル

Redditで、バンクーバーでニッチ香水を探す相談にセントリークの名前が挙がるとき、目立つのは「近くで実際に試せる店」という役割である。デザイナーズブランド以外を対面で嗅ぎたいという相談には、グランヴィル通りの店を薦める返信がある。別の地域の愛好家の相談でも、同店でサンプルを集めている利用者がいる。

ただし評価は一様ではない。カナダからサンプルを探す過去の相談には、価格や香水自体を評価する一方、容器のにおいを気にした利用者もいた。匿名の投稿は個々の経験として読むべきものだが、店に期待されているのが、希少な香水の販売だけでなく、試すための具体的な手段であることが分かる。

現在の店舗とオンライン、カナダから米国への広がり

2026年10月確認時点で、カナダ公式サイトは引き続き466 Granville Streetのブティックを案内している。営業時間は月〜土曜11〜19時、日曜12〜17時。初めての人からコレクターまでを迎え、スタッフが香り選びを手伝う場としている。

オンライン注文はバンクーバーで梱包・発送され、カナダ全域へ届ける。現在のFAQにもサンプルの郵送が案内されている。店に足を運べる人には対面の相談を、離れた場所の人には少量を試す入口を用意する。バンクーバーという一都市の売場を、国内の香水好きへ開いているのである。

取扱ブランド側のエタ リーブル ドランジュの店舗一覧には、同じ所在地と公式サイトが「Scentrique Enterprises」の名で掲載されている。カナダ公式の紹介は、現在もイリーナとマリアが始めた店の物語を掲げている。

一方、米国向け公式サイトは、第三のパートナーであるジャンナ(Zhanna)の参加と、デンバー圏の店舗への展開を説明している。案内される所在地は、コロラド州ローンツリーのPark Meadows内である。カナダ向けFAQも、米国からの注文は米国サイトへ案内する。バンクーバー店と米国店、それぞれの配送窓口は区別しておきたい。

セントリークの出発点は、身近な場所で出会える香水の選択肢を増やすことだった。その仕事は、棚に新しい名前を加えるだけでは終わらない。選び手自身が試し、使う人の予算や関心を受け止め、店頭から自宅へ香りの体験をつなぐ。カナダで同店が担う役割は、この小さな出会いの積み重ねにある。

参考文献