Q. 香料はどのように作られますか?

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A. 香料といっても種類があるため、まずは大まかに香料の分類から始めましょう。香料を大きく2つに分けると天然香料と合成香料に分かれます。

 天然香料とは、自然の花々・木々や動物の腺や排出物から抽出した香りの原料のことを言います。
 天然の植物は、身の回りに生えているものではなく、様々な地域に生産者がおり、彼らが香料会社やブランドに提供しています。シャネルなどの大きなブランドになると、生産者から長期的に安定した高品質な香料を調達するために、生産者と契約をしています。香料植物を生産する点で非常に難しいのは、毎年同じクオリティで生産し、競争による品質の低下を生まず、世代交代を行いながら、育てなければならない点です。そして、それぞれの生産者から生まれた香料は、地域や品種によって品質が大きく変わり、ゲランやエルメスなどのブランドでは、専属調香師が直接香料を見るために、世界中を飛び回ることもあります。
 一方、動物性香料は、絶滅危機や虐待、安定性にかけるため、今では天然のものが使われることは非常に稀となります。

 さて、抽出とある通り、原料をそのまま使うことはなく、香りの成分を化学的に何らかの方法で取り出します。この方法の中で主なものが圧搾法・水蒸気蒸留法・溶剤抽出法・超臨界二酸化炭素抽出法の4つになります(アンフルラージュは現代ではあまり使用されないため省略)。

  1. 圧搾法
    主に柑橘系のエッセンスを抽出するときに使用する方法で、かつては手作業でやっていた。今では機械による冷圧搾法が行われており、果実の瑞々しい新鮮な香りを抽出するために重要な手法となっている。
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  2. 水蒸気蒸留法
    10世紀以前から使われており、高温の水蒸気に晒し、精油の沸点に達することで原料からエッセンスを分離させることができます。多くの原料がこの手法で精油として抽出されますが、一部デリケートな原料(熱に弱いなど)には使用されません。
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  3. 溶剤抽出法
    18世紀から使用されており、有機溶剤と呼ばれる化学物質の中に原料を入れ、エッセンスを溶かします。その後、溶けたエッセンスをアルコールと低圧に晒して、精油を得ます。大量の原料を一度に処理でき、高温に弱い原料でも大丈夫な点が強みです。
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  4. 超臨界二酸化炭素抽出法
    1980年代からトレンドになっており、二酸化炭素の臨界点(液体と気体の両方になっている状態)の利用のしやすさを生かした抽出法となります。臨界点が室温かつ低圧のため、最も原料を変化・劣化させずに精油を得ることができます。
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まとめると…

植物を生産・採取(動物性香料を採取)→香料会社等が精油を抽出→調香師の元へ

 合成香料は、基本的に実験室で生まれます(天然香料との違いは最初から生産になるという点でしょうか)。もちろん、無から生まれるわけではなく、化学物質を組み合わせたり、すでにある物質から抜き取ったりすることによって特定の香料を生み出します。天然植物と異なり、安定して大量に供給できることが多く、毎年新たな香料がたくさん生まれています。

 香料がどのように作られるのか、お分かりになったでしょうか?それぞれのメリット・デメリットなどは下記にまとめていますので、ぜひご覧ください。

この記事を書いた人

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

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