香水の捨て方・リサイクル方法・お洒落な再利用法

Q&A

お気に入りの香水も、気づけば「好みが変わった」「使い切れないまま古くなってしまった」なんてこと、ありませんか?
しかし、香水はそのまま捨てると環境に負担をかけてしまうこともあり、処分に迷う方が少なくありません。

この記事では、香水の正しい捨て方・リサイクル方法から、残った香水や瓶をお洒落に再利用するアイデアまでをまとめました。
ただ処分するのではなく、ちょっと工夫して「新しい楽しみ方」に変えてみませんか?

香水をそのまま捨ててはいけない理由

「古くなった香水をどう処分するか?」は意外と悩む人が多いテーマで、私自身も悩んだことがあります。「もう使わないから排水口へ…」と思いがちですが、これは絶対にNGです。キッチンの排水溝だけでなく、トイレから捨てるのもやめてください。

この理由を5つの観点から考えてみます。

1. 環境への悪影響

香水の主成分はアルコールや香料などの化学物質。排水口に流すと下水処理場の微生物では分解しきれず、川や海に流れ出してしまうこともあります。特に香料の油分は水面に油膜を張り、処理を妨げる原因に。これは、魚や植物に悪影響を与えるほか、油分が膜を張って処理を妨げることもあります。

さらに揮発したアルコールは「VOC(揮発性有機化合物)」となり、大気汚染の一因になることもあります。

したがって、マナーとして「流す」のは避けるのが良いでしょう。

2. 火災・爆発のリスク

香水の中身は引火性がとても高い液体アルコールです。中身が入ったまま香水瓶を捨てると、ごみ捨て場やごみ収集車の中で発火する恐れがあり、消防法でも引火性液体として危険物に指定されています。 「少量だから大丈夫」と思わず、必ず中身を抜いてから捨てることが大切です

3. 排水管や家への被害

香水に含まれる油分は冷えると固まり、排水管に蓄積し、長期的には詰まりの原因になります。
また、アルコールがゴムパッキンや樹脂部分を傷め、古い配管なら劣化を早めてしまうこともあります。

4. 悪臭や健康被害

排水口から強い香りが逆流し、部屋中に広がることがあります。特に集合住宅では近隣トラブルに発展する可能性もあります。
さらに香水にはアレルギーの原因物質が含まれる場合もあり、処理中に肌荒れを起こす可能性があるため、手作業で処理する際にはゴム手袋の着用が推奨されます。

また、小さな子どもやペットが誤飲すれば、中毒症状(嘔吐・めまい・意識障害など)を引き起こすリスクがあります。

5. 自治体ルール違反になる

香水は基本的にガラス製のため、中身の入った瓶を「燃えるゴミ」に出すのはNGの地域が多いです。ガラス瓶・金属スプレー・プラスチックキャップなど、素材ごとに分別ルールが違います。

液体は回収対象外の自治体も多く、正しく処理しないと違反になることもあります。

香水は、「液体のスプレー缶」のような存在です。中身は引火性の強いアルコール、外側はガラスや金属。見た目は美しいけれど、廃棄物としてはかなり扱いに注意が必要です。次から説明する正しい方法を知りましょう。

香水の正しい捨て方

香水を捨てる際は、中身と容器、そしてスプレー部分やキャップなどのパーツをそれぞれ適切に分別して処分するのが基本です。

1. 香水瓶を開ける

まず、香水瓶を開けるところからです。ほとんどの香水は漏れないよう、厳重に閉まっているため、工具を使いながら、作業します。

マイナスドライバーやニッパーなどの工具と軍手を用意し、新聞紙などを敷いた換気の良い場所で作業します。ボトルと金属の隙間にマイナスドライバーを差し込み、テコの原理で隙間を作り、ニッパーで金属部分に切れ込みを入れて取り外します。

怪我をしないように注意して行いましょう。

2. 中身を処分する

残っている香水は、不要な布やティッシュペーパー、新聞紙などの吸水性の高い素材に少量ずつ染み込ませます。染み込ませた布や紙は、強い匂いが漏れないように密閉できる袋に二重に入れて、可燃ゴミとして捨てます。一度に大量の香水を染み込ませようとせず、火気の近くでの作業は絶対に避けましょう。

3. 容器・パーツを分別して捨てる:

中身を空にした香水瓶は、最後に、香水の残留物や油分を取り除くために、ボトルを温水と中性洗剤で徹底的に洗浄します。頑固な匂いには、温かい白酢を使用すると効果的です。ボトルは完全に乾燥させてからリサイクルに出してください。

多くの場合、外側はガラス製なので、自治体のルールに従って「不燃ごみ」や「ガラスごみ」として処分します。スプレー部分やキャップなどのパーツは、金属製なら「金属ごみ」や「不燃ごみ」、プラスチック製なら「プラスチックごみ」または「可燃ごみ」として、それぞれの素材に合わせて分別します。自治体によってルールが異なるため、必ず事前に確認をしましょう。

ちなみに、不用品回収業者にお金を出して、依頼するのもありかもしれません。

残った香水・使い切った香水瓶の活用アイデア

香水を今すぐ捨てたい、整理したいという方は、ここまでの捨て方を参考にして、正しく廃棄してください。ここからは、「残った香水がもったいない!」「何か再利用する方法はないのか?」という方のために、いくつかの方法をご紹介します。

ルームフレグランスなど身体以外につけるものとして活用

一番分かりやすい使い方はこれでしょう。香水は必ずしも身体につけなければならないというものではありません。ルームフレグランス代わりに、空間にプッシュするのも良いですし、ヘアコロンやバスアロマとして使うのも素敵です。

  • ルームフレグランスとしての使い方
    ネットで調べると「香水の蓋を取り外し、竹串やリードスティックを瓶に挿せば簡易的なリードディフューザーになります。無水エタノールで薄めてスプレーボトルに入れ、ルームフレグランスとして空中に吹きかけたり、コットンボールに染み込ませてクローゼットやシューズボックスに入れたりすることもできます」というような記事が出てきますが、正直、香水の蓋を取り外すのはちょっと手間ですし、無水エタノールを買うのも面倒くさいです。

    そんなときは、香水をそのまま家具にかける方法をオススメします。カーテンにかけたり、トイレのマットにかけたり、少し色艶を出すならベッドの枕やシーツに少し離してプッシュしておくと寝る前に良い香りに包まれて寝ることができます。
    ※高級な家具や汚したくない場合は、大丈夫かどうかを端で試したり、調べたりしてから行ってください。
  • バスアロマとしての使い方
    湯船に数滴プッシュしたり、シャワーを浴びる前に空間に吹きかけてみてください。香水は熱によって気化し、香り立つため、お風呂とは相性が良いです。
  • ヘアコロンとしての使い方
    直接髪にスプレーするとアルコールでダメージを与える可能性があるので、ブラシにスプレーしてからブラッシングするか、ベビーオイルと混ぜて使うのがおすすめです。空間に香水を吹きかけてから、その下をくぐるという方法もあります。
  • 練り香水としての使い方
    医療用白色ワセリン5gに対し香水5~10滴を混ぜることで、固形の練り香水として楽しむ方法もあります。香りが穏やかに広がり、保湿効果も期待できます。

フリマアプリやネットオークションでの売却や譲渡

未開封や残量が多ければ、フリマアプリやネットオークションで買い手が見つかる可能性があります。自分で価格を設定でき、お小遣いになることもメリットです。また、XなどのSNSで買ってくれる人や欲しい人を募集するのもたまに見かけます。売ったり、譲ったりするのは、香水にとっても自分にとっても良いことだと思います。

日本ではあまりいませんが、昔の香水や廃盤の貴重なものだと世界にはコレクターが多く存在し、100万円以上で購入してもらえる可能性もあります。

ただし、発送には注意が必要で、配送業者によってはアルコールを含む香水を発送禁止品としている場合や、空輸ができない場合があります。

ちなみに、絶対にやってはいけない違法行為は、海外で(オンライン含む)購入した商品や日本のものであっても自分で小分けした商品を、フリマアプリなどで販売する行為です。前者は関税法違反となり、各フリマアプリでも注意喚起されていますし、後者は、化粧品製造業許可・販売業許可が必要なため、個人では基本的に薬機法違反となります。

海外の空き瓶の活用法アイデア

海外でよく活用されているのは、DIYです。お洒落なインテリアを作ってみたいという方はぜひ挑戦してみてください。使い切るごとに、年を経るごとに味が出る・変わっていくインテリアというのも素敵かもしれません。

  • ミニ花瓶: 小さな生花やドライフラワーを飾るエレガントな花瓶として使用します。
  • キャンドルホルダー: 小さなキャンドルを中に入れるか、上に置いて、ユニークな雰囲気を作り出します。
  • 装飾品: 棚やトレイに飾ったり、ペイントしたり、ビーズ、ラインストーン、レースなどで装飾したりして、ホームデコレーションの一部にします。
  • ジュエリーホルダー: ボトルの首にリングを掛けたり、ブレスレットをかけたりして、おしゃれなジュエリースタンドとして利用します。
  • ミニプランターまたはテラリウム: 小さな多肉植物やエアプランツを植えて、ミニチュアガーデンを作ります。

かつて、あるアーティストが20本ほどの同じ香水瓶を使って作ったシャンデリアを見つけました。美しい作品を作るには、創造性とDIYの腕前が不可欠です。ゲランのランプも見ました。あの有名な「オー・デ・コロン・デュ・コック」や「アンペリアル」といった透明なボトルで作られたランプです。それぞれの香水瓶に電球が仕込まれていて、美しいボトルが光り輝き、美しく整列することで、素晴らしい効果を生み出していました。

もう一つのアイデアは、香水瓶をベッドサイドランプに改造し、ランプシェードを付けることです。有名なグラフィティアーティスト、ジョンワンズ風の繊細なグラフィティで飾るのも良いでしょう。

シルヴェーヌ・ドラクルト

シルベーヌ・ドラクルトのお洒落な使い方

ここでは元ゲランのクリエイティブディレクターであるシルベーヌ・ドラクルトのサイトに書かれているすごい使い方をいくつかご紹介します。(元記事はこちら

  • 250ml、500ml、または1リットルの空きボトルがあれば、ウイスキーなどお気に入りのお酒のデキャンタとして使えます。美しい香水を彷彿とさせながら、飲むことができます。しかし、日本には、このサイズの香水はあまり売られていませんので、それが難点です。
  • 空のフレグランスボトルに食器用洗剤を入れて、バスルームや棚に飾るのも素敵です。リフィル代わりですね。食器用洗剤はきれいな色をしており、時間が経っても色褪せないので、まるで香水がまだ残っているかのような錯覚に陥ります。ちょうどいいサイズの開け口さえ作れば、食器用洗剤としてキッチンにおいておくこともできそうです。これをボディソープやハンドソープに置き換えるのもありですね。
  • 香水のボトルを花瓶やスティックホルダーに再利用しましょう。適切な道具を使ってボトルの上部をノコギリで切り落とし、上部を広くすることで、小さな花束を飾るスペースを確保できます。例えば、1本のボトルにバラを1本、もう1本のボトルにラベンダーの小枝を3~4本など、様々なアレンジが可能です。
  • 金、銀、赤などで塗装して、装飾品としてお使いください。例えば、クリスマスツリーを飾ることもできます。小さいサイズなら、これはすてきかもしれません。電球に被せるのも面白そうですね。
  • 空になった香水瓶にホームフレグランスを入れて、戸棚や下着の引き出し、トイレなどに置いておきましょう。開けたままにしておくと、香りを存分に楽しむことができます。

リサイクル可能な香水パッケージを提供しているブランド

持続可能性への需要の高まりに応え、多くのブランドが環境に配慮したパッケージングを取り入れ始めています。Lush、Yves Saint Laurent、Byredoなどのブランドは、消費者が製品を詰め替えたり、パッケージをリサイクルしたりできるオプションを提供し、廃棄物を削減しています。

一部のブランドは、使用済みボトルを適切に処理できるよう、海外では、地域のリサイクルプログラムと連携しています。

香水を購入する際には、リサイクル可能な素材や最小限のパッケージを使用しているブランドを意識して選ぶことが、環境への配慮につながります。

この記事を書いた人

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

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