『新しい香水の教科書』(監修:小磯良江)

新しい香水の教科書 香水関連の書籍

書籍情報

書籍名:『新しい香水の教科書』
監修:小磯良江
出版年:2022年6月30日
出版社:マイナビ

書籍レビュー

 まず、本書は「少数であっても必要とされている情報や知識を提供すること」を目的とし2015年に設立された株式会社マイナビ出版によって出版されたものであり、同社の香水書籍の2冊目であります。1作目は『香水図鑑』で、マイナビ編集部によって書かれたもので、2作目の本書は百貨店などにラトリエデパルファムという香水売り場展開するブルーベルジャパンのトレーナー小磯良江氏が監修を務めています。つまり、小磯氏が著者ではないため、小磯氏の知識や経験が反映された書籍というよりは、小磯氏の言葉がたまーに入りながら一般的な香水に関する情報を綺麗にまとめた、正に教科書という言葉が当てはまる書籍だと思います。ただし、「新しい」とか「最先端のトレンド」がどこに反映されているのかは不明なため、ただの教科書の方が良かったのではないかと思います。

 さて、内容についてですが、予想を遥かに超え、恐らく日本語で発売され、入手できる本の中では最も読みやすく、かつ網羅的に香り全般の基礎が学べる教科書だと思います。220ページ弱の中に、基礎知識、香りの選び方・楽しみ方、香料解説がそれぞれ30%ずつくらい掲載されており、ボリュームも満点です。これはラトリエデパルファムの販売員全員が読むべきであり、販売員たちはお客様はこれくらいの内容を知っている前提で今後接客しなければならない可能性もあります。かなりのプレッシャーですね。

 残念な点は、ブルーベルジャパンならではの部分が少なすぎるという点です。本書の目的ではないのでしょうが、「探せば見つかる情報をまとめた書籍」になってはしまっているような気がします(他人のことは言えないが。)。それはそれで有難いのですが、地引由美氏や新間美也氏の本のようなプロならではの視点・ブルーベルという大手外資ならではのコネを使った情報が入っていれば最高だったでしょうね。しかし、それを差し引いても、教科書として1冊は持っておきたい本だと前向きに香水好きに推すことができます。

 香水を好きになり始めた人、販売員になりたての人、香水の本を読みたいけど何から読めばいいのか検討のつかない人。まずはこの本を読んでみてください。読破して、もっと知りたいとなったら、『香水の歴史』を読んでください。そして、さらに知りたいとなったら当サイトの各記事を読んでみてください。この3ステップで恐ろしいほど香水業界の全体像が包括的に見えてくるのではないかと思います。

購入情報

この記事を書いた人

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

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