CORETERNO(コレテルノ)――70年代のロックンロール×古典芸術の香り

ブランド創業者

「私たちは錬金術師、彫刻師、反骨者、神秘主義者、詩人の家系から来ている。私たちは何世紀にもわたる計り知れない美の秘密を守っている。シンボルと言葉の救済的な力を賢く使うよう、私たちは訓練されてきた。私たちの物語は、古代の知識と唯一無二の手仕事への真の愛と燃えるような情熱についてだ。無生物に命を吹き込み、人々がそのメッセージの中に謎と魂を癒す力を発見できるようにしたい。」

— コレテルノ公式サイトより(ブランドマニフェスト)

基本情報

設立年: 2015年

創設者: Michelangelo Brancato(ミケランジェロ・ブランカート)、Francilla Ronchi(フランチッラ・ロンキ)

公式サイト: coreterno.com

創設者・ブランドの成り立ち

ローマという揺りかご

コレテルノの世界観を理解するためには、まずローマという都市の持つ磁力を知る必要がある。創設者のミケランジェロ・ブランカートは、ローマで生まれ育った。 芸術に深い情熱を持つ父親は、日曜日になると幼い息子を教会へ連れて行き、ミケランジェロ(かの巨匠)、カラヴァッジョ、ベルニーニの絵画や彫刻を前にしながら、美の見方を語り聞かせた。 人物名と天才芸術家が偶然にも同じ「ミケランジェロ」であることは、もはや偶然とは思えないような必然性を帯びている。[2]

やがてミケランジェロは成長し、ローマで「先見性のあるアートギャラリー」を主宰するようになる。 その空間で彼は、古典的な美しさと反骨的なエネルギーを共存させようとしていた。ローマの歴史的な路地裏に佇む18世紀の城の中にスタジオを構え、自分たちの創造物を生み出す拠点とした。[2][1]

「ローマに生きていると、私たちが過去の夢と仕事の産物であることを常に思い出させてくれる。そのスピリットの一片を、猛烈で時に速すぎるニューヨークに届けたい。」

— Francilla Ronchi & Michelangelo Brancato[1]

フランチッラとの出会い

ブランドのもうひとりの柱、フランチッラ・ロンキは、ローマ大学サピエンツァで文化人類学の修士号を取得した後、イタリアのテレビ界で長年にわたりキャリアを積んだ人物だ。 RAI(イタリア国営放送)やMagnolia S.p.A.で番組の著者・司会・プレゼンターとして100本以上の番組を手がけた。 彼女がミケランジェロのギャラリーにテレビ取材として訪れたことが、ふたりの出会いとなった。 複数回の再会を重ねるうちに、多様性への愛、美しいもの、非順応、魂の優しさ、他者への忠誠という価値観を共有していることに気づき、結婚した。[3][4][2]

「私たちの結びつきは、多様性への愛、美しいもの、非順応、魂の優しさ、そして他者への忠誠心に基づいている。」

— Michelangelo Brancato & Francilla Ronchi[2]

ニューヨーク、マンハッタンの路上での啓示

コレテルノというブランドの種は、ふたりがニューヨーク・マンハッタンのロウアーイーストサイドの街を歩き回っていたある日に宿った。 「夢のようだった、予兆のようだった、今は現実になった」とふたりは振り返る。 ブランドはローマの魂を体現しながらも、生まれる場所はニューヨークでなければならないと直感した。[1]

ブランド名「CORETERNO(コレテルノ)」は、ローマ方言で「心(核)」を意味する core と、イタリア語で「永遠」を意味する eterno を組み合わせた造語である。 日本語に訳せば「永遠の心」。創設者ふたりのローマっ子としての気質への敬意が込められている。

2015年、ふたりはスタジオアパートで最初のコレクション「ヴィクトリアン・ロックス(Victorian Rocks)」の制作を開始した。柱型のキャンドルとTシャツをすべて手作りで仕上げていくうちに、アパートにはキャンドルがあふれ、ベッドを置く場所さえなくなったという。 この逸話がブランドの体質を端的に物語っている。ハンドクラフトへの執着、熱狂的な没入、そして空間すら侵食するほどの創造衝動。[2]

アーティスツ&フリーズ、そしてメディアの洗礼

転機は、ブルックリン・ウィリアムズバーグで毎週末に開かれるクリエイター向けマーケット「アーティスツ&フリーズ(Artists & Fleas)」への出展だった。 ここはファッション、ヴィンテージ、アート、デザインのバイヤーやトレンドスポッターが集まる国際的な発見の場だ。 コレテルノのキャンドルとTシャツはたちまち注目を集め、なんとあの ニューヨーク・ポスト に半ページの記事として取り上げられた。その紙面でコレテルノは、オバマ大統領とニューヨーク・ジャイアンツの記事に挟まれて紹介されたという。[5][6][2]

続くTシャツライン「Dis.Order(ディス・オーダー)」は音楽・映画業界のVIPたちに愛用され、たちまち社会現象となった。イタリア人ラッパーのJ-Ax、Fedez、シンガーのEmma Marrone、そして俳優・映画監督のAsia Argento(アジア・アルジェント)もファンとなり、アルジェントはカンヌ映画祭のレッドカーペット用衣装の製作をコレテルノに依頼した。 アメリカ市場での反応を確かめたふたりは、ニューヨーク・ジャヴィッツ・センターで開かれる展示会「NYNOW」にも出展し、ヒーリングキャンドルの全コレクションをアメリカ市場に正式に披露した。[1]

70年代の反骨精神

ミケランジェロがブランドの精神的支柱として挙げるのは、1970年代への深い愛着だ。 自由、官能性、トランスグレッション(transgression=慣習の逸脱)という理想に支えられた巨大な反骨的クリエイティブエネルギーが、その時代には溢れていた。 ローリング・ストーンズ、ビースティ・ボーイズ、ラモーンズ、レッド・ツェッペリン……これらのバンドが体現したエネルギーがコレテルノに宿っている。 もしブランドがひとつのコンサートを選ぶとしたら、1979年バークレー大学シアターにおける「ザ・クラッシュ」のライブだとも語っている。[2]

「自分の無限の可能性を信じよ。」

— Michelangelo Brancato(お気に入りの言葉)[2]

ミケランジェロは哲学や積極的思考へのこだわりも持ち、マイナーアーティストを支援し、世に出ていない才能に光を当てるというコミットメントも、このブランドの根幹を成している。[2]

2019年、ピッティ・フラグランツェでの香水デビュー

ライフスタイルブランドとして世界各地にファンを増やす一方で、ふたりが次に踏み出したのが香水という領域だった。ブランドはまずTシャツ、次にキャンドルという順で展開し、香水はより後の段階で本格的に着手した。 2019年9月、フィレンツェのスタッツィオーネ・レオポルドで開催された国際香水展示会「ピッティ・フラグランツェ(Pitti Fragranze)」に初めて出展し、オードパルファン4作品を世界デビューさせた。 その4作品は、イタリアの若手人気調香師ルカ・マッフェイ(Luca Maffei)の手によるもので、いずれも70年代のロック・ポップ・アンダーグラウンドの世界観とクラシックアートへの情熱を融合させた意欲作だった。[7][8][9]

ブランドのこだわり

香りづくりの哲学

コレテルノのフレグランスは単なる「いい匂い」ではない。「使う人の心の中にあるロックスターを目覚めさせる」という意図のもとに設計されたオルファクトリー・マニフェスト(香りの宣言書)である。 各作品は、創業者ミケランジェロ・ブランカートのアーティスティックディレクションのもと、70年代のロックンロール、パンク、アンダーグラウンドカルチャーのエネルギーと、古典芸術の永遠の魅力を融合させた独自の解釈で創られている。[8][10][11]

「私は人々にロックスターのような気分を味わってほしい。エネルギー、感情、変容についてのことだ。」

— Michelangelo Brancato[12]

調香の役割を担うのは、著名な鼻(=パフューマー)たちだ。中心となるのはミラノのアトリエ・フラグランツェに所属するルカ・マッフェイで、コレテルノの多くの作品を手がけている。 もうひとりの重要なパートナーがアルトゥレット・ランディ(Arturetto Landi)。ブランドとの長年の交流から生まれた作品も存在し、公式SNSではブランカートが「伝説的な鼻、長年の友人、心で香りを生きている人物」と称している。[13][14][11]

香水のコンセプトは、インストラクション(指示書)のようにパッケージに印刷されたストーリーでも語られる。 全製品はイタリア国内で製造されており、すべてのサプライヤーはイタリアの職人的ノウハウを持つ企業から厳選されている。 また全フレグランスはビーガン仕様かつクルエルティフリー(動物実験不使用)だ。[15][9][2]

ボトル・パッケージデザイン

コレテルノのボトルは、香り以上に多くを語る物体だ。黒いガラス瓶を使うのは実用性と審美性を兼ねた設計で、光を遮断して香料の品質を長期にわたって保護するためである。 そのボトルに施されているのが、ブランドのために老舗イタリアンラベルメーカーが専用に製作した5層の金箔エンボスラベルだ。 17世紀の彫刻、19世紀の肖像画、現代のロック&ポップを融合させたそのデザインは、ひとつのアート作品を手にするような体験をもたらす。[9][16][15]

ボトルの表面には「You create your own destiny(あなた自身の運命をつくれ)」「Choose love over fear(恐れよりも愛を選べ)」といったマントラ的フレーズが刻まれている。 このような「言葉の魔法」は創設者ふたりが共有する信念であり、「言葉には人々の気分を変える繊細な魔力がある」という考えが根底にある。[17][11][1]

キャンドルラインも同様の哲学で設計されている。天然有機ワックスと植物性ワックスを混合し、天然コットンのウィックを使用。黒いガラス容器がフレグランスの持続性を保護し、ヴィンテージチャームあふれる白黒ラベルに「気分や心の状態についてのフレーズ」を記している。 燃焼時間は60時間以上とされている。[16][17]

香水ラインナップ

コレテルノの公式サイトに現在掲載されているオードパルファンは15作品に及ぶ。 全体は「ロックスターの内なる旅」を描く一種のコンセプトアルバムのように構成されており、各タイトルはそれ自体がひとつの物語の扉となっている。[18]

創成期の4作品(2019年デビュー)

2019年のピッティ・フラグランツェで世界初公開された4作品は、コレテルノのフレグランスの世界観の原点をなす。[14][8]

  • パンク・モーテル(Punk Motel) / 調香:ルカ・マッフェイ ブランドの「アイコン的作品」とも称される一作。ホワイトローズとベルガモットの明るく繊細な幕開けから始まり、サリチル酸塩(サリチレート)が微かな塩味と砂漠を渡る海風のニュアンスを加える。ベースはムスクとバニラが包み込み、アンブレット(ムスク・マロウ)の個性が独特のハーモニーを完成させる。 ウッディ・ムスキー・フローラルの骨格を持ちながら、自由をテーマとした夜のための香り。[10][19][20][2]
  • ヒエルバ・ネラ(Hierba Nera) / 調香:ルカ・マッフェイ スペイン語で「黒いハーブ」を意味する名のとおり、禁断の響きを持つ深い森の香り。ベルガモット、カンナビス、ナツメグのトップに始まり、フランキンセンス、ラブダナム、シダー、アンバーの重層的なハートを経て、アトラスシダー、テキサスシダー、アガーウッド(ウード)、オークモスの重厚なベースへと沈んでいく。 ウッディでクリーミーな温かみを持ちながら、幻想的な霧の中にいるような浮遊感がある。[21]
  • ローズ・アンド・ミー(Rose and Me) / 調香:ルカ・マッフェイ 深みのあるブラック・ローズを主役に、ゼラニウムのシャープな歯、ジャスミン、サフラン、スチラックス、パチョリ、グアヤックウッドが重なるゴシックなローズ香水。 ダークな要素を孕みながらも、同時にどこか清々しさを保っている。[14]
  • カタルシス(Catharsis) / 調香:ルカ・マッフェイ クローブ、ナツメグ、ネロリのスパイシーな開幕から、サフラン、ローズ、イランイラン、ウィスキーが支配するハートへ。そしてアガーウッド、グアヤック、シダー、パワフルなレザーアコードが肌に刻みつけるような「宣戦布告」のベースを持つ。 意図的に攻撃的なほどの組み合わせとされている。[22]

その後の主要作品

ピッティ・デビュー以降、ラインナップは着実に拡張されてきた。 現在確認できる主な作品は以下のとおりである。[18]

  • ミスティック・シュガー(Mystic Sugar):オレンジ、パイナップル、カカオ、バニラ、アーモンドブロッサム、ジンジャー、カルダモンのグルマン(食べ物のような甘い香り)。ペニー・スウィートのような懐かしさと官能が共存する、陽気で大胆な一作。[23][24]
  • フリーキンセンス(Freakincense):ライム、ピンクペッパー、バイオレットのフレッシュな入り口から、エレミ、カシュメラン、フランキンセンスのスパイシーなハートへ。ベチバー、パチョリ、ラブダナムのウッディ・スパイシーなベース。[25]
  • サイケデリシャス(Psychedelicious)オーシャノワール(Oceanoir)ナイト・アイドル(Night Idol)ウルトララブ(Ultralove)ハイプノランジ(Hypnorange)ゴディメンタ(Godimenta)ノー・スリープ(No Sleep)ハードコア(HardKor)エゴサントリック(Egocentrique) が加わり、2026年3月現在、合計15作品が展開されている。[18]

ちなみに…

ローマの五つ星ホテルとのコラボレーション:コレテルノのブランド力を示す象徴的なエピソードが、ローマのザ・セント・リージスとのコラボレーションだ。2022年秋から2023年春にかけて、ホテルの「ブルー・ライブラリー」がコレテルノの手によって「シャンブル・デ・メルヴェイユ(Chambre des Merveilles)=驚異の部屋」として生まれ変わり、キャンドル、香水、クッションで彩られたポップアップ体験空間となった。 さらに2023年には「ヴィジョンズ・オブ・グレース(Visions of Grace)」コレクションが誕生。ホテルのスイートルーム用アメニティとして、アイコン香水「パンク・モーテル」にインスピレーションを得たトイレタリーや、ブランカートがホテルの古典的な建築装飾を再解釈したパターンを施したトートバッグ、バケットハット、ルームウェアが制作された。[27][2]

ブランド名の深読み:「コレテルノ」という名前には二重の意味が宿っている。Core はローマ方言で「心」を意味し、同時に英語で「核・中枢」をも意味する。Eterno はイタリア語で「永遠」。だが創設者たちは「ローマそのものへのオマージュ」でもあるとも語る。 ローマが「エテルナ・チッタ(Eternal City=永遠の都)」と呼ばれることを踏まえれば、ブランド名自体がローマという都市への愛の宣言と読むこともできる。[1]

  1. コレテルノ公式ウェブサイト「About」ページ – https://coreterno.com/about/
  2. Essencional「Believe in yourself with Coreterno’s powerful artistic expression」(2022年10月) – https://www.essencional.com/en/posts/believe-in-yourself-with-coreternos-powerful-artistic-expression/
  3. iItaly.org「Fashion That Unnerves」(2015年4月) – http://www.iitaly.org/magazine/focus/life-people/article/fashion-unnerves
  4. WSN Events「Coreterno: Perfumes and Candles Find Their Place at Who’s Next」(2024年12月) – https://wsn-events.com/en/blog/article/coreterno-parfums-et-bougies-ont-trouve-leur-place-sur-whos-next
  5. Italianity.jp「ピッティ・イマジネ・フラグランツェ2019」– https://italianity.jp/lifestyle/fashion/pitti_immagine_fragranze2019
  6. Scentedniche.com 商品説明ページ – https://scentedniche.com/products/%E9%A6%99%E6%B0%B4-c181861752
  7. The Plum Girl「Fragrances at Pitti 2019: Roses」(2019年) – https://theplumgirl.com/fragrances-pitti-2019-roses/
  8. Theorg.com「Francilla Ronchi – Co Founder at CORETERNO」 – https://theorg.com/org/coreterno/org-chart/francilla-ronchi
  9. Francilla Ronchi LinkedIn プロフィール – https://www.linkedin.com/in/francilla-ronchi-391a6020b
  10. Chiechi.it「The St.Regis Rome & CORETERNO: Visions of Grace」(2023年12月) – https://www.chiechi.it/the-st-regis-rome-coreterno-visions-of-grace/
  11. コレテルノ公式ウェブサイト「Mystic Sugar」製品ページ – https://coreterno.com/product/mystic-sugar/
  12. Candle Delirium「Coreterno Candles」 – https://www.candledelirium.com/coreterno-candles/
  13. ScentAmor.de「Coreterno – poetic, uncompromising niche fragrances」 – https://www.scentamor.de/en/blogs/scentnews/coreterno-poetic-uncompromising-niche-fragrances
  14. Madison Perfumery「Exclusive Conversations: Michelangelo Brancato」 – https://madisonperfumery.com/magazine-2/madison-exclusive-conversations-michele-brancato/
  15. コレテルノ公式ウェブサイト「Eau de Parfum」カテゴリーページ – https://coreterno.com/product-category/eau-de-parfum/