NOSE 調香師 ‒ 世界で最も神秘的な仕事

映画情報

映画名:『NOSE 調香師 ‒ 世界で最も神秘的な仕事』(原題:NOSE – The most secret job in the world)
公開:2021年2月22日
監督:クレモン・ボーヴェ、アルチュール・ド・ケルソゾン
出演者:フランソワ・ドゥマシー

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ムッシュディオールは、スズランのような花々を愛しました。だから私は花の香りを維持しなければならないのです。シャネルは花々を好きではありませんでした。だからシャネルの香水は花よりも抽象的な香りなのです。

フランソワ・ドゥマシー

映画レビュー

香水は感情がすべてだ。感情から始まり誘惑などを含むものだ。だから欲望はもちろん根底にあるテーマだ。

フランソワ・ドゥマシー(本映画より)

 クリスチャン・ディオールが、メゾンの専属調香師の仕事をドキュメンタリーフィルムとして明かした本映画は、ディオール初代専属調香師フランソワ・ドゥマシーが調香師としてどのような仕事を行っているのかにフィーチャーしています。また、同僚のルイヴィトンの専属調香師ジャック・キャヴァリエやローズメーカー、ハーパーズバザーやマリークレールの元ディレクターErin Flaherty、フレグランティカでライターもしているEddie Bulliqi、ロベルテ社もドゥマシーについてを語ります。

フランソワと私は何か非常に特別なもので結ばれている。私たちの会社のために最高の香水を作る。共有するのは情熱と原材料に関する知識と、2人ともグラース出身なので嗅覚教育も共有している。

ジャック・キャヴァリエ(本映画より)

 字幕を見ずとも、映像だけ見て楽しむこともできるため、香水の知識が無くても見れます。一方、3種アンバーグリス(漂流時間によって色が変わる)の映像も見れたり、手摘みの瞬間を見れたりと香水マニアにとっても垂涎の映画となっています。

 ただ、残念なのは、誤字脱字が多く、日本で一般的に使われている訳を使用していない(ex. ロベルテ社が通常の日本語訳だが、ロバーテットと訳している)場面があったことです。これほどのメゾンがドキュメンタリー映画を世界各国で有料配信するというのに、スクリプトの確認や香水に精通している翻訳者を採用しなかったのはなぜなのか?メゾンディオールではこのように素材もこだわっているのだというアピール自体はいいのですが、結局低コスト(実際そうじゃないと思うが)で収入を増やしたいの?と思われても仕方ないです。この映画が2年もかけて作られた割に訳が粗かった部分は非常に残念で勿体ないという評価です。

 この映画が発表された半年後に、フランソワ・ドゥマシーが専属調香師を辞め、今をときめくフランシス・クルジャンが2代目専属調香師に就任することは誰も予測していないのでした。

この記事を書いた人

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

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