基本情報
- ブランド名:SHEGREEN(シーグリーン)
- 設立:2025年4月22日(アースデイ)
- 創設者・代表取締役:野田義宗(のだ・よしむね)
- 法人名:SHEGREEN株式会社
- 本社所在地:東京都渋谷区猿楽町7-1
- 公式サイト:https://shegreen.jp/
- Instagram:@shegreen_official
ブランド名は「SHE=地球や自然」「GREEN=再生と調和」を組み合わせた造語である。タグラインは [ No Form ] まとうほど、自由に。 ── かたちにとらわれず、変わりつづける感性を重ねるという思想が凝縮されている。
創設者・ブランドの成り立ち
オーガニックビューティーの旗手──野田義宗という人物
シーグリーンの創設者・野田義宗は、日本のオーガニックビューティー市場を語るうえで欠かすことのできない人物である。彼の名前が最初に広く知られたのは、ジョンマスターオーガニック(john masters organics)の日本導入を通じてであった。
ジョンマスターオーガニック(以下、JMO)は、1991年にニューヨーク・ソーホーのヘアスタイリスト、ジョン・マスター氏が創業したオーガニック化粧品ブランドである。野田義宗は、妻の野田まい子とともに株式会社スタイラを共同創業し、2007年にJMOの日本・東アジアにおける総販売代理店として、このブランドを日本市場に導入した。「地球に敬意を払うラグジュアリーなビューティーラインを」というコンセプトのもと、植物由来100%を謳うプレミアム・オーガニック製品は日本で急速に支持を拡大し、オーガニックコスメという概念を日本に根付かせる一翼を担った。
グローバルブランドの経営へ
2013年には、野田が率いるスタイラインターナショナルが米国JMO社の株式の過半数を取得し、野田はJMO社のCEO兼取締役に就任した。ピーク時のグローバル年間売上高は約200億円に達し、そのうち3~4割を日本の売上が占めていたとされる。
2016年には、英投資会社ペルミラの子会社がスタイラおよびJMO社の過半数の株式を企業総価値370億円で取得。ジョンマスターオーガニックグループが設立され、野田は代表取締役に就任した。ペルミラはヒューゴ・ボスやバレンチノ、ドクターマーチンなどのグローバル展開を支援してきた投資会社であり、JMOのさらなるグローバル化を目指すものであった。
しかし2017年9月、JMOにとって大きな試練が訪れる。「植物由来100%」を標榜していた製品群の一部から、成分表示ラベルに記載のないシリコーンなどの合成成分が検出され、38品目の自主回収が実施されたのである。米国の製造委託業者に起因する問題とされたが、消費者からの批判は大きかった。
その後、2019年4月には野田がジャパンカンパニーのプレジデント(社長)に就任し、2020年にはスタイラがペルミラ保有のJMOホールディングスリミテッドの全株式を取得。野田は代表取締役CEOとして、日本をはじめとするグローバル組織全体を束ねることとなった。
アースデイに生まれた新ブランド
長年にわたりオーガニックビューティーの世界に身を置いてきた野田が、次に手がけたのがフレグランスの領域であった。
2025年4月22日──地球環境について考える国際的な記念日「アースデイ」に、シーグリーンは誕生した。ブランド設立にあたって野田は、公式サイトにこう記している。
「長年、organic beautyや感性の世界に携わり、多くのブランドと向き合ってきた中で見えてきたのは、美しさとは、誰かに示すものではなく、自分自身とつながる時間の中に宿るということ。SHEGREENは、そうした感性を大切に、新しい自分が、やわらかく芽吹いていく余白となれることを願っています。」
── 野田義宗
そして2025年11月21日、まずはオンラインのみで静かに始動。自社ラボで調香した全20種のフレグランスコレクションとともにローンチされた。同年12月には、ホテル・スパ向けリチュアルコレクション「The Stillness Ritual(ザ・スティルネス・リチュアル)」をリリースし、2026年2月14日にはブランドビジュアルのアップデートとアロマティックミスト全10種の同時発売をもって「グランドローンチ」を迎えている。
さらに、2026年3月14日にはブランド初の直営拠点「SHEGREEN Gallery & Store Ebisu」が東京・恵比寿にオープンし、同年3月20日から4月7日までは代官山蔦屋書店でブランド初のポップアップも開催される予定だ。わずか1年足らずで、オンラインから実店舗、ホテル向け、そしてヘアケアやライフスタイル雑貨へと急速に展開する軌跡は、野田のブランドビルディング経験を如実に物語るものといえる。
ブランドのこだわり
“時間のデザイン”としての香り
シーグリーンのものづくりにおいて一貫しているのは、香りを「時間のデザイン」として捉える姿勢である。公式サイトには次のように記されている。
肌にのせた瞬間の立ち上がり(トップノート)、1時間後の奥行き(ミドルノート)、そして数時間後にふと蘇る余韻(ベースノート)── この一連の変化そのものを「一つの物語」として設計するというのが、ブランドの調香哲学の核心である。
代官山のフレグランスラボ
その思想を形にするのが、東京・代官山の静かな一角に構える自社のクリエイティブラボ「Fragrance Lab. Daikanyama(フレグランスラボ・代官山)」である。ここでは調香師とクリエイターが、香りの企画・開発・検証を一貫して行い、思想と品質を自社の手でコントロールしている。
特筆すべきは、フレグランスの構成デザインや素材選定、持続性検証にとどまらず、「感情や音・光などの刺激との関係性」まで総合的に研究しているという点である。AI香り診断システム「IRIP(アイリップ)」の連動開発もこのラボで進められている。
シーグリーンには「Perfumer Team(パフューマーチーム)」と呼ばれる調香師チームが存在する。香料会社で十数年以上の専門キャリアを積み、2000種以上の香りを嗅ぎ分けることのできる調香師を中心に構成されており、日本市場向けの香料開発を得意とするメンバーや、海外向けの香料開発を軸に世界中の香りを処方してきたメンバーなど、多様なバックグラウンドを持つプロフェッショナルが集結している。
独自のフレグランスホイール
香りの「選び方」にもシーグリーンの独自性がある。「フレグランスホイール」と名付けられたこのツールは、香りの構造(トップ/ミドル/ベース)と印象(EDGY/SENSUAL/NOBLE)を交差させた設計で、「香りを視覚的に選べる」新しい体験を提供する。利用者は自分の感情・時間帯・シーンに合った香りを直感的に選択でき、さらに相性の良い香りの「重ね使い(レイヤリング)」も提案される仕組みとなっている。
Japanese Accordを軸にした創香
シーグリーンが掲げる「5つの約束」のなかに、「Japanese Accord(日本の調和)を軸に創香します」という項目がある。JFFMA(日本フレグランス・フレーバー製造者協会)やIFRA(国際香粧品香料協会)の基準に準拠し、賦香率(ふこうりつ)・使用香料数・カテゴリを製品ごとに明示する透明性も重視している。天然香料と合成香料の双方を厳選して使用し、肌適合性を検証するという姿勢は、JMO時代の「100%天然由来」から一歩踏み込んだ、より現実的で誠実なアプローチともいえる。
ノイズレスなデザイン
パッケージやボトルのデザインにおいても「引き算の美学」が貫かれている。2026年2月のグランドローンチに際してビジュアルが刷新され、そのコンセプトは「空間に静寂をもたらす、オブジェのような佇まい」と表現された。従来の「容器」としての枠を超え、現代の住空間に溶け込む「ノイズレスなデザイン」を追求しているという。
恵比寿の旗艦店もまた、単なる物販の場ではなく、日本人作家のアート作品とフレグランスが共鳴する「ギャラリースタイルの体験拠点」として設計されている。内装には淡路島のタイル「DANTO」をはじめとする自然素材が多用され、都市の喧騒を忘れる「余白」のある時間が設計されている。
香水ラインナップ
フレグランスコレクション(全20種)
シーグリーンの核となるのは、ローンチ時に一挙にリリースされた20種のフレグランスコレクションである。オードパルファム(EDP/賦香率20%)は50mLおよび9mLで展開、一部の香りにはさらに高濃度のパルファム(25%)も15mLサイズで用意されている。価格は4,200円(税込)からとなっている。
20種の香りは、ウッディ、シトラス、フローラル、マリン、オリエンタル、グリーン、ムスクなど多彩なファセットを持ち、それぞれに詩的なネーミングとストーリーが添えられている。以下はその全ラインナップである。
| 香水名 | カテゴリ |
|---|---|
| Herbalcode(ハーバルコード) | アロマティック |
| Aurum(オーラム) | シトラス |
| Quietude(クワイエチュード) | ウォータリー |
| Eaudore(オードレ) | モダンシトラス |
| Rhymedrop(ライムドロップ) | グリーン |
| Figgy Pop(フィギーポップ) | フィグ&ウッディ |
| Queendy(クィーンディ) | フローラルブーケ |
| Pinkhaze(ピンクヘイズ) | フルーティフローラル |
| Quietleaf(クワイエットリーフ) | ソフトフローラル |
| Floatune(フロアチューン) | マリン |
| Moonpetal(ムーンペタル) | フローラルオリエンタル |
| Ghostin(ゴースティン) | ムスク |
| Slowkiss(スロウキス) | バニラフローラル |
| Noirium(ノイリウム) | レザーウッド |
| Whisperfire(ウィスパーファイア) | ウッディオリエンタル |
| Shinra(森羅) | ジャパニーズボタニカル |
| Kazane(風根) | フローラル |
| Phantom(ファントム) | スモーキーウッド |
| Incensia(インセンシア) | ウッディインセンス |
| Nobliss(ノーブリス) | ホワイトフローラル |
グランドローンチ時点で人気No.1とされるのが ファントム ──「影と光。甘さとスパイスが交差する、幻のようなウッディ」と謳われるスモーキーウッドの香りである。クローブとカルダモンのスパイシーな立ち上がりから、ローズとオレンジブロッサムのミドル、そしてパチョリ、サンダルウッド、バニラ、アンバーの煙のような余韻へと沈んでいく。香料構成は35種、賦香率25%のパルファムとして仕上げられている。
人気No.2の オーラム は、ラテン語で「金」を意味する名を冠したシトラス。レモン、ガルバナム、グリーンのトップから、ローズとオレンジブロッサムのミドル、アンバーとシダーウッドのベースへと展開する。香料構成は19種、賦香率20%。
The Stillness Ritual(ホテル・スパ専用ライン)
2025年12月にリリースされたホテル・スパ専用のリチュアルコレクションである。「香りのアメニティ」から「記憶に残るリチュアル(儀式)」へ、という発想の転換が根底にある。
ラインナップは 森羅(Shinra) と 風根(Kazane) の2系統。森羅は「森羅万象」をテーマに、大地と根源の静けさを抱くウッディ。風根は風と根の共鳴を描いた、軽やかで再生的なアーシーウッドの香りである。シャンプー、トリートメント、ボディウォッシュ、マルチオイル、マルチミストなどをラインナップしている。
先行導入は宮古島・池間島のラグジュアリーヴィラ「VILLA AYIN」で行われ、「海と森をイメージした繊細なブレンド」が客室に提供されている。
Aromatic Mist(全10種)
2026年2月14日のグランドローンチと同時に発売された空間・ファブリックミストのコレクションである。香りを「意識のスイッチ」として捉え、日常の3つのモーメントに特化した調香が施されている。
- For Focus(集中):仕事やスポーツ前の覚醒、クリエイティブな没入へ導くスイッチ
- For Release(解放):バスタイムや就寝前の安らぎ、ヨガ後のクールダウン
- For Switch(転換):自宅や美容室、サロンでの空間の空気を一新する演出
今後の展開
2026年春には、ヘアオイル全8種(silky & moist)、フレグランスヘアミスト全6種などを含む約30SKUを追加し、計78SKUへと拡大する計画が発表されている。プライベートからパブリックまで、空間の香りをトータルコーディネートできるライフスタイルブランドへの進化を目指しているという。
ちなみに…
- ブランド名の「SHE」は「彼女」ではない。 公式によれば「SHE」は「地球や自然に向けた静かな呼び名」であり、ジェンダーではなく自然への敬意を込めたものである。
- 創設者の”次の一手”。 野田義宗のキャリアを辿ると、2007年のJMO日本導入から2017年の自主回収問題、ペルミラとの資本提携と離脱を経て、ゼロからフレグランスブランドを立ち上げるという流れが見える。ヘアケアからフレグランスへ、そして空間設計やアートとの融合へ。オーガニックビューティーの旗手が次に向かったのは、「香り」を起点としたライフスタイル全体のデザインであった。
- アースデイ生まれのブランド。 シーグリーンの法人設立日は2025年4月22日──世界最初のアースデイが誕生した1970年4月22日と同じ日付である。ブランド名に込められた自然への敬意と再生の思想が、この日付の選択に凝縮されている。
- AI調香師「IRIP(アイリップ)」。 シーグリーンが独自開発したAIフレグランス診断システムで、ユーザーとの対話を通じて感情・気分・環境を解析し、最適な香りの組み合わせをレコメンドする。MBTIなど様々な診断を通じて、香りを感覚的に選ぶ体験を再現するものである。
- SHEGREEN株式会社プレスリリース「日本発フレグランスブランド『SHEGREEN』ローンチ」(2025年11月21日) – https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000172510.html
- 繊研新聞「2026年2月14日にグランドローンチ。新作『Aromatic Mist』全10種」 – https://senken.co.jp/prtimes/…
- SHEGREEN公式サイト「BRAND」ページ – https://shegreen.jp/pages/brand
- SHEGREEN公式サイト「COMPANY」ページ – https://shegreen.jp/pages/company
- SHEGREEN株式会社プレスリリース「ホテル・スパ専用リチュアルコレクション『The Stillness Ritual』提供開始」(2025年12月3日) – https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000172510.html
- テレビ東京プラス「日本発フレグランス『SHEGREEN』がアップデートし、2026年2月14日にグランドローンチ」 – https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/external-pr/entry/44298.html
- SHEGREEN公式サイト「FRAGRANCE LAB.」ページ – https://shegreen.jp/pages/fragrance-lab
- 代官山蔦屋書店「SHEGREEN POP UP」イベントページ – https://store.tsite.jp/daikanyama/event/beauty-health/52999-1226360225.html
- Gisele web「SHEGREEN ローンチ」(全20種リスト) – https://giseleweb.com/prtimes/c172510_r1/
- Wikipedia「ジョンマスターオーガニック」 – https://ja.wikipedia.org/wiki/ジョンマスターオーガニック
- WWDJAPAN「ジョンマス導入のスタイラがJMOホールディングスリミテッドの全株式を取得」(2020年6月) – https://www.wwdjapan.com/articles/1089666
- WWDJAPAN「『ジョンマスターオーガニック』社長に野田氏が再任」(2019年6月) – https://www.wwdjapan.com/articles/852768
- PR TIMES「株式会社ジョンマスターオーガニックグループによる株式会社スタイラ及びJohn Masters Organics Inc.の株式取得について」(2016年7月) – https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000020307.html
- PR TIMES「ジョンマスターオーガニック グループ ジャパンカンパニー 新プレジデント就任」(2019年4月) – https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000109.000011608.html
- 東洋経済オンライン「『ジョンマスター』、問われる消費者への姿勢」(2017年11月) – https://toyokeizai.net/articles/-/197358
- Organic Press「john masters organics ジョンマスターオーガニック」 – https://organic-press.com/brand/johnmastersorganics/
- 繊研新聞チャンネル「日本発フレグランス『SHEGREEN』自社ラボ調香のコレクション」 – https://senken-channel.com/_ct/17804680
- ニコニコニュース「SHEGREEN、ホテル・スパ専用リチュアルコレクション提供開始」 – https://news.nicovideo.jp/watch/nw18683245
- SHEGREEN公式商品ページ「ファントム パルファム」 – https://shegreen.jp/products/phantom-parfum
- SHEGREEN公式商品ページ「オーラム オードパルファム」 – https://shegreen.jp/products/aurum-eau-de-parfum
- PR TIMES「日本発フレグランス『SHEGREEN』がアップデートし、2026年2月14日にグランドローンチ」(2026年2月13日) – https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000172510.html
- 流通ニュース「ジョンマスターオーガニック/欧州系投資ファンドと資本・業務提携」(2016年5月) – https://www.ryutsuu.biz/abroad/i052317.html
- アースデイ東京「アースデイについて」 – https://www.earthday-tokyo.org/about


