香りの祭典サロンドパルファンを真剣に考える

 この記事では、去年から始まる香りの祭りラッシュを踏まえた上で、これから香りの祭典サロンドパルファンがどうすれば、さらに大きくなり、日本の香水文化拡大に貢献していくのかを真剣に考えてみたいと思います。「なんだその上から目線」と思われた方は多いと思いますが、このサイト自体は趣味のもので、自分の趣味が誰かの役にたてればという上から目線で始まっているので、申し訳ございません。しかし、私は、非難ではなく、批判を行い、建設的に香水業界が良くなるように発信したいと考えています。

注:業界向けの話のため、香水を何も考えずに楽しみたい方は読まないことをオススメします。(むしろ下記の記事の方が楽しめるかもしれません)

2023年から始まる香りの祭りパレード

阪急梅田フレグランスフェスティバル

 2023年、百貨店業界における西の巨頭、阪急梅田が2015年「ギャラリー・ド・パルファン」以来の香水のイベント「フレグランスビューティーフェスティバル」を開催しました。NOSE SHOPのポップアップを開催させ、「新しい香りの体験と楽しみ方を伝える様々なフレグランスを紹介」すると打ち出したこのイベントは、関西の香水好き勢を刺激し、少し話題になりましたが、インスタのハッシュタグを見る限り成功はしなかったようです。
 しかし、2024年、次こそはと、再度フレグランスビューティーフェスティバルを開催した阪急梅田。2階のスペースから9回の祝祭広場に場所を移し、「新感覚の“香り”のフェスティバル」を行いました。興味深いのは、クラシック音楽を香り化することを打ち出しているラニュイを中心に据え、音楽も楽しめる企画を組んだことでしょう。ゲランやジョーマローン、フランシスクルジャンなどその時々のトレンドや香水玄人をメインにし、香料会社やブランド創設者の講座を開く新宿伊勢丹に対し、西の雄は日本の創業間もないブランドを選んだことは、前衛的な取り組みであり、音楽に関心のある人が香りに興味を持つのに良いきっかけになったと考えられます

 残念ながら、2024年のフレグランスビューティーフェスティバルも伊勢丹サロンドパルファンよりは話題にならず、人も疎らな時間の方が多かったようです。さらに、18ブランドしか体験できないことは、フェスティバルと呼んで良いかも微妙なところであり、伊勢丹の59ブランドに対して、約30%という少なさです。「新感覚」と打ち出していることから既存の有名なブランドではなく、何かしら新しいことをしているブランドかと思いきや、蓋を開けてみると、韓国のコスメブランドRboW、サウンドとともに作られた香りを楽しむことがコンセプトのアーレス、伊勢丹メンズ館のサロパでしか見たことの無いサンタマリアノヴェッラ、ドットールブラニエス、この4ブランドぐらいしかサロパと異なるブランドはありません
 メンズ館では、アンリジャックが登場し、山本香料の社長や香水ディレクター白石氏のコンサルなどのイベントもあったようですが、伊勢丹に勝つには、まだまだ弱い企画でしょう。総じて疑問に思うのは、フレグランスフェスティバルと名を打っているにも関わらず、公式サイトでのワクワク感が少なく、「新感覚」とか「五感で楽しむ」と言っているにも関わらず、音楽以外の新しい要素が分かりにくいことです。香りと音以外で楽しむ要素が公式サイトからは分からず、お客様に向けたゴールがどのように達成されるのかというイメージが湧きづらくなっています。つまり、香水のイベントをやろうという考えから始まったはいいものの、コンセプトが固まらず、見栄えを良くするために、このような形になったのではないかと推測します。そして、売上予測もたたず、各ブランドからは断られ、残ったブランドで最善を尽くした結果が、音楽との融合だったのではないか

 なぜ、上記のような推測をするかというと、もし音楽というコンセプトが決まっていたなら、なぜノーズショップのオーケストラパルファムやArt Meets Artというブランドを呼ばないのか?グーグルで検索すれば、さらに出てきます。では、仮に呼べなかったとして、音楽をベースに、何か会場の工夫をしていなかったのかという疑問点も残ります。音楽をかける、イベントを行うのは当たり前ですが、ブランドの垣根を超えて、音楽のイメージから香水を選ぶとか、歴史上の音楽家が愛した香りを展示するとか、恐らくそのようなことはやっていないでしょう。

 これらから邪推するに、香り業界の売上が年々数%で上がり、SNS上での話題性が高いという理由で再度始めたはいいものの、担当者は困り果ててるのではないか、と考えます。

東京大丸カレドパルファン

 ついに大丸松坂屋も乗り出した香水イベント。2024年5月8日~という、なぜかゴールデンウィークを外したイベントは、東京大丸1階で開催されました。サロンドパルファンに対抗し、フランス語で「香水の広場」を意味するカレドパルファン(carre de parfum)という名前で催されます。阪急や伊勢丹のようなキャッチコピーはなく、「日本をはじめとするアジアや、世界のニッチなフレグランスブランドが集結します。参加するのは、独自の個性と魅力を持ち、香りを愛する人々に支持されているブランドばかり。創造性と情熱が詰め込まれたアイテムの数々が、新たな香りの世界を広げていきます。」というのが公式の案内になっています。

 さて、こちらも蓋を開けてみれば、看板に偽りがあると言いたくなるようなイベントで、まさかの5メーカーしか出店していないという事態です。アジアや世界のニッチなフレグランスブランドはどこに行ったのか、出店ブランドは、日本が生んだ宝パルファンサトリ、調香師ジャン=ミッシェル・ドゥリエと日本人クリエイターの渡辺氏によるブランド「サノマ」、口コミで広まりつつあるNo Brainer、元々日本香道のブランドがリブランディングした結果生まれた「サウザンドカラーズ」、そして賛否湧き上がる香水ベンチャー企業「香りの定期便カラリア」、という全部日本ブランドにしか見えないチョイスでした。
 恐らく、大丸側が言いたいのは、カラリアが色々なブランドをカバーしているから、その中に「アジアや世界のニッチ」が含まれており、伊勢丹がブルーベルや川辺の香水たちをそれぞれのブランドとして出しているのと同じということなのでしょうが、そうなのであれば、そのブランドたちをもっとアピールしてほしかったですね。

 しかし、このイベントの一番の凄さは、香りを小分けして定期販売しているカラリアをほぼメインのように扱って、イベントを開催したことでしょう。香水玄人や香水の販売員の中に批判する人が感覚的に多いにも関わらず、採用したということは、やはり伊勢丹にはできないことを行い、新客層を取り入れるためでしょうか。興味深いのは、接客というコストがかなりかかることをせずに、小分けでのし上がったカラリアが、接客をしていたという現象です。これは下手をすれば、カラリアにとってただの赤字事業にもなり得、上手くいけばこれまでにない何かができる、そのような感じのする分け目だと個人的に思います。

 さて、このイベントも正直、コンセプトが固まりきらず、売上予測もできず、担当者が準備もままならないまま開催されたと考えられます。なぜラニュイやエディットが参加していないのか?他にもコスメブランドであれば、日本のブランドはあるでしょうし、ルシヤージュやノーズショップなど世界のニッチを取り扱う会社はカラリア以外にもあります。そして、公式サイトの内容の薄さは何なのか?人手が足りないのは分かりますが、委託もできないのか?委託してこれなのか?香水の広場のワクワク感がないのは非常に残念です。

 来年開催されるならば、期待したいところです。

第一回 香展 by ルシヤージュ

 2023年12月1日から3日間開催された香展と呼ばれるイベントがありました。これは、京都東山に店を構え、現在の香水販売に待ったをかける新進気鋭の香水店ルシヤージュ主催のイベントでした。百貨店のように自分のテリトリーで企画をするのではなく、表参道で場所を借り、23ブランド約300種類を取り扱った伊勢丹もビックリの企画でありました。このイベントが前出の2つおよび伊勢丹のサロパと異なる点は、コンセプトが明確かつ「お客様・出店者・自身の売上」の三方良しとなる企画であった点です。つまり、一般客だけではなく、取引希望業者へのブランド紹介というエキスポ(展示会)のような側面も持っているという点です。わざわざ分かりにくいカタカナのネーミングではないことも加点対象ではないでしょうか。

 さて、この香展のコンセプトは下記です。

「香展」では、食事やお酒、音楽、芸術鑑賞などを楽しむことと同様に香りの世界に触れ、美術展を楽しむかのような感覚で香りの世界を楽しんでいただきたいと考えています。素晴らしい香りの作品との出会いによって、流行、人気、万人受けなどといった言葉とは無縁の、自分にとっての本当の好みの香りをぜひ見つけてください。気になる香りやブランドがございましたらゆっくりとお試しになってみてください。もちろん、お試しいただいた香りをその場でご購入いただくこともできます。先行販売品や特典につきましては香展公式インスタグラムにて更新しております。

香水を使ったことが無い人も、使ってみたい人も、香りが大好きな人も、皆同様に香りを楽しみながら、香りをより深く知って楽しむための「試香力と思香力」を身に付けていきましょう。すべてはあなた自身の記憶と経験への終わりの無い旅です。

 さすがルシヤージュと言っていいほど皮肉めいた切れ味の鋭い内容をコンセプトにし、無知の知を分からせるかのようになっています。さらに公式サイトは、サロパですら下に見えてしまう完成度です。サロパに毎年行っている人が、次はこれくらいやってほしい!という内容がすべて詰まったかのような、行く前からワクワクする企画になっていることは間違いないでしょう。

 ルシヤージュと知り合いだから批評ができない、というよりは、これまでの2つを見れば、どの方も批判できなくなることは分かるでしょう。なぜ百貨店はこれを企画できず、1人で店を運営しているルシヤージュが企画できるのか?それは一重に香水への情熱と、お金目当てではなく、どうすれば香水を広められるか?を常に考えているからでしょう。百貨店の企画をメーカーが聞いた場合に気になるのは、常に出店するメリットであり、そこに割く人件費やコストになってきます。結局のところ販売が目的になってしまいますが、香展のように入場料を受け取ることで最低限の担保もできます。そして入場料をもらったからには、期待以上の内容を行う必要がありますが、そこにメーカーとともに力を入れれば、顧客がつき、ファンになっていくことは間違いないでしょう。つまり、中長期的に見て、売上が上がっていく可能性があるのは香展であり、百貨店のこれまでの企画では一時的な売上にしかならず、その場しのぎにしか見えない(限定品を出すなど)のです。

 ちなみに、インスタのハッシュタグは初回にして161件。伊勢丹が2020年にやっと達成したことを初回にてやり遂げており、どう見ても成功したと考えられるでしょう。

仙台三越フレグランスパーティ

 2024年6月12日から約1週間開催されている仙台三越の香水イベントフレグランスパーティ。伊勢丹グループとしては、サロンドパルファン2023も開催しているので、よほど売れ行きが良かったのか?それとも湿気のある時期だからこそ売れると予測したのか?いずれにしても、面白い試みを行っています。

 サロンドパルファンの形式をベースに作られている公式サイトによれば、

「陽射しがきらめく夏にフレグランスをさっと纏ってお出かけも楽しく爽やかに。」をコンセプトに9ブランドが名を連ねているようです。サロパと比べてしまうと見劣りはしますが、この規模のイベントにマッチしたコンセプトであり、パルファンサトリやサノマ、クヴォンデミニムなど、夏に軽やかに使えそうなのが想像に難くないブランドをチョイスしています。控えめに言って、企画した人はセンスが良いかもしれません。売上は厳しいかもしれませんが、3ヶ月に1回このような小さなイベントを季節ごとに行い、毎回ブランドが変わるというやり方をしても面白そうです。ネーミングのパーティーは、あまりイベントに則したように見えませんが、シーズナルな名前にすれば、徐々に仙台に香水が根付きそうな気もします。これが成功し、地方百貨店のイベントになることを切に願います。

新宿伊勢丹サロンドパルファンを真剣に考える

ただのダメ出し

 さて、今年開催されれば12回目となるサロンドパルファン。例年から考えるに、もう開催まで4ヶ月を切っているため、出店ブランド交渉中で、企画は7割ほどは決まっているかもしれません。

 サロパの詳細は上記の記事に譲るとして、サロパの批評を行うと、これまでの11回は年々売上も上がり、出店ブランド数もほぼほぼ頭打ちの約60ブランドとなっています。この規模は、前述の阪急や大丸では成し得ておらず、ルシヤージュやノーズショップだけでも絶対に不可能な伊勢丹新宿ならではのイベントとなっております。そして、何よりも評価できるのは、2020年より伊勢丹新宿に留まらず、全国の三越伊勢丹の百貨店の恒例行事にしたことでしょう。コロナ禍の影響で新宿に来れないと見るや、全国展開したのが功を奏し、恐らく全体での売上を合わせれば、それまでとは比にならないのではないかと考えています。

 しかし、一方で、批判されるべき点もここにあります。全国展開したはいいものの、本部からほとんどケアされていないのではないかと思わせる開催規模やイベントで、たしかに他の百貨店のイベントよりは大きいかもしれませんが、あまり成功している感じがしません。地方への丸投げになっているのは明らかで、京都はここ数年ルシヤージュを中心にサロパの開催を行っているようです。ここに新宿伊勢丹のエゴが見え隠れしています。つまり、ブランドに対しても地方に対しても、サロンドパルファンを開催させてやってるんだぞ、という感じです。

 穿った見方に聞こえますが、サロンドパルファンをよくよく見てみると、毎年の内容が大きく変わらず、テーマだけが変わっているのが分かります。そして、そのテーマも誰も記憶にないかのように、ただ出店して、販売するだけ。お客様にとっても、販売員にとっても、ほとんど真新しいことは無く、年に1回のイベントとは言え、やる気が感じられませんそして、あれだけ力が入っているサロンデュショコラがあるにも関わらず、公式サイトは内容が薄く、ただブランドと企画を並べているだけです。ここに愛はありません。香展のサイトを見た方なら分かるでしょう

 言い訳をすれば、マンネリ化、悪く言えば、怠慢です。毎年のように限定品を出させ、先行販売をしてもらい、インフルエンサーを採用したり、特別イベントを行ったりすることは、たしかに評価に値しますが、やはり香水イベントのリーディングカンパニーとしては、もっと力を入れてもらいたいです。そもそも、毎年6階の催し場に行かなければならないことも大変です。6階でやっても新客がくる、イベントを知らない人も立ち寄るというデータが取れているならば良いと思いますが、恐らく場所が無いからと言う理由と借りるよりも催事場を使った方が安い、ブランドの売り場も設置しやすい、会計が明朗などの理由があるのでしょう。しかし、もうサロパにとってあの場所は狭いです。今すぐに外商イベントと同等の場所を押さえ、かつてない大規模のイベントを行うべきではないでしょうか?

新しいイベントの提案

 予算の問題もあるかもしれません。しかし、外商イベントと同等の場所を押さえるということは、ハイブランドにとっても参加しやすい環境が整います。なぜ1年に1回の祭典なのに、ディオールやシャネルが参加していないのか?ルイヴィトンやエルメスは嗅げないのか?普通に香水初心者ならそう思うはずです。知らないブランドばかりのところに行って試す人もいるでしょうが、祭典だからこそ、ファッションフレグランス、ニッチフレグランス、そして日本を盛り上げる新しいフレグランスブランド、すべてが揃っているべきだと思います。ハイブランドは恐らく売上重視なので断ってくる可能性も考えられます。しかし、初日から2日間(金・土)を外商特別イベントにし、メゾンディオールやシャネルのレゼクスクルージフ、アンリジャックなど単価の高いものを確実に販売し、同時にファッションも販売してもらう。そして3日目から3日間(日・月・火)を一般イベントとし、香水中心にする。これを行えば全員にうまみがないでしょうか?

 そう簡単にはいかないでしょう。問題は現状のサロパはインフルエンサーが話題にしたいと思うくらい魅力的なコンテンツではないため、おそらく拡散もせず、上記をこのままやれば、来場者も例年と変わらない可能性があります。それでは採算割れの可能性もでてきます。であれば、インフルエンサーや香水に興味の無い層、香水が大好きすぎる層、とにかく多くの人が話題にしたくなるような企画にすればいいではありませんか。つまり、香水に限定するのではなく、香りという広い枠組みで捉え、今までにないコラボレーションやシナジー効果を生み出していくという考え方です。

 以下にとにかく多くのアイデアを書いていきますので、ぜひ参考にしてもらえれば幸いです。

伊勢丹アカウントで呼びかけ、消費者に企画やサロパのイベントのアイデアをもらう。
 このような参加型は、上手くやれば全員で作っている感じがあり、今のサロパのマンネリ化を打破することができます。そして、自分が参加したからには、せっかくなので採用されたかどうかを見に行きたいという心理も生まれます。例えば、当サイトのアカウントで呼びかけた結果が下記です。この程度のアカウントでこれくらい集まるので、伊勢丹がやれば言わずもがなでしょう。

テーマをもっと真剣に考え、具体性のあるものにし、数年単位で広げていけるものにする。
 例えば、
・「香りの裏側とともに楽しむ」(調香師や作品のテーマ、香料会社など香りが生まれる背景に特化した企画や展示・販売を行う)
・「香りの原点を知る」(香料や調香過程、香水が販売されるまでの経路を学びながら香水を買ってもらう。精油や花屋などを誘致するのもあり。)
・「香りの多様性を知る」(香水だけではなく、世の中に香りはたくさんあることを知り、柔軟剤はもちろん、空間の香りや食品の香り、など大手企業とのタイアップを行う。)
・「香りを科学する」(味覚と視覚や嗅覚が関わっている話がよくあるように、嗅覚にまつわる科学的なことを体験型にして、味覚コーナー、視覚コーナー、聴覚コーナー、触覚コーナー、と分けて、それぞれに関連する香りや香水を試す。)
といったことが考えられます。このようにイベントを行うと、来年は何をするんだろうという期待感も高まり、口コミが呼び水となり、世界的なイベントになる可能性もあります。

インバウンド向けエリアの増設。
 このような大規模開催を行えば、インバウンド向けの売上も上がるに違いありません。彼らが来ることが分かれば、インバウンド向けエリアもしくはインバウンド向けの日を作り、すべてを英語で開催すると言うことも可能かもしれません。今では話せなくてもAIがすべてを解決してくれます。

攻めたイベントの開催
 日本でよく話題になるのは、香水は臭いから柔軟剤を使っているという意見です。しかし、実際のところ、柔軟剤もかなりキツイ香りであることは間違いありません。例えば、臭気判定士にいくつかの香りを嗅がせて、分析をしてもらうとか、元をただせば香料メーカーの香料を使っていることは同じなので、香水ブランドvs柔軟剤メーカーvsお客様有志(仲裁役:香料メーカー)という形で、ヤラセでもいいので討論会をするのはどうでしょう?もしくは、コラボレーション企画として、それぞれの代表者同士で香りを試しながら解説するとか、どちらがより香りに詳しいか早押しクイズ大会をする、そんなのはいかがでしょうか。
 多くのイベントが話を聞いたり、柔和なやり取りで済んだりしてしまうので、もう少し一波乱あるような企画が1つあれば話題になると思います。香水インフルエンサーvsブルーベルジャパン20年の販売員vs小分け販売会社の5番勝負も面白いかもしれません。

価格帯の低いブランドやキャラ香水の採用
 近年は、ニッチブランドだけが取り上げられ、昔懐かしの誰もが使っていたブランドが忘れ去られていますが、エンジェルハートやサムライのようなドン・キホーテや家電量販店に置いている香水もぜひ置いてみるのはいかがでしょうか?本来香水は嗜好品なので、価格が問題ではありませんが、ニッチフレグランスしか知らない人にとってこれらの香水は衝撃的な良さもあるでしょうし、懐かしさのあまりに購入する人もいるでしょう。そして、サムライを作った人が、今やエルメスの香水を専属で調香していると知った時にはどうするでしょう?考えるだけでもワクワクします。
 そして、ジャンルは違いますが、推しの香りが流行っている今、キャラ香水の紹介エリアを作るべきだと思います。これは流行りもそうですが、キャラ香水なんてと蔑む香水愛好家をぎゃふんと言わせるためでもあります。これこそ新たな出会いが生まれる可能性を秘めています。試しもせずに非難はできないのです。

香水マニア垂涎、歴史上の名香コーナー
 貴重な名香が試せる、もしくは見るだけでもできるならこれ以上香水好きが喜ぶことはないかもしれません。ディオールやシャネルの展覧会で昔の香水ボトルがたまに展示されるように、伊勢丹の力をもってして、そのようなエリアを1つ作ってみるのはいかがでしょうか?コレクター品の販売もやれば、外商で売上が上がる可能性もあります。

当然の如く香水好きが希望しているコーナーを作る
 香料別、調香師別、季節別、香水好きになり始め用の解説エリア、香水好きになって長い人用の面白いエリア、とにかくブランドの垣根を超え、気軽に試せるエリアがあれば、それだけでもその年の企画は完璧です。

香水自販機・楽々購入エリアの設置もしくはアプリの開発
 このようなイベントで問題になるのは、長いコンサルをすると他の人が試せなかったり、購入できなかったりすることです。これを避けるためには、やはり場所を分ける、楽に購入できる方法を開発するしかありません。自分で嗅いで購入したい人用のエリア、コンサルをしっかり受けたい人用のエリア、とにかく色々試したい人用のエリア、これを分けるだけでも売り上げ効率は格段に高くなるでしょう。そして満足度も上がるはずです。meecoと連携させて、簡単にアプリでも購入でき、あとからすべて配送してくれるとか、帰りにすべて出口で受け取れるなんてどうでしょう?

 サロンドパルファンに限りませんが、香水のイベントはもっと良くなる可能性を秘めているはずです。理想に近づけるために知恵を振り絞って、もっとワクワクする企画が行われることを願って、この記事を終わりとします。

この記事を書いた人

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

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