Gucci(グッチ)── 記憶に残るクオリティ。香りが生み出すグッチネス。

ブランド創業者

「クオリティは、値段が忘れられた後も、ずっと記憶に残る(Quality is remembered long after price is forgotten)」
── アルド・グッチ(グッチオ・グッチの長男)


基本情報

  • 設立年:1921年
  • 創設者:グッチオ・グッチ(Guccio Gucci、1881–1953)
  • 本拠地:イタリア・フィレンツェ
  • 親会社:ケリング(Kering)
  • 香水ライセンス:現在コティ(Coty)が保有(2028年まで)。その後ロレアル(L’Oréal)が50年間の独占契約を締結済み
  • 公式サイトhttps://www.gucci.com

創設者・ブランドの成り立ち

サヴォイ・ホテルで見た”もうひとつの世界”

グッチオ・ジョヴァンバッティスタ・ジャチント・ダリオ・マリア・グッチ──これが創設者の正式な名前である。1881年3月26日、イタリア・フィレンツェに生まれた。父ガブリエッロ・グッチはサン・ミニアート出身の革職人、母エレナ・サンティーニはラストラ・ア・シーニャの出身であった。トスカーナの革職人の家系に生まれたことは、後のブランドのアイデンティティに深く影響を与えることになる。

しかし、若きグッチオの人生を一変させたのは、故郷フィレンツェではなく、遠くロンドンでの体験であった。1897年(一説には1899年)、まだ10代のグッチオはフィレンツェを離れ、ロンドンへ渡った。彼が職を得たのは、当時ヨーロッパ屈指の高級ホテルであったザ・サヴォイ(The Savoy)。ここでリフトボーイ(エレベーター係)として働き始め、後にポーター(荷物係)へと昇進した。

サヴォイはクロード・モネやウィンストン・チャーチルらが常連客として訪れるような場所であった。グッチオは毎日、裕福な客人たちの荷物を運びながら、彼らのファッション、品質へのこだわり、旅行用品の美しさをつぶさに観察していた。とりわけ、英国の高級トランクメーカー、H.J. ケイヴ&サンズ(H.J. Cave & Sons)の優美なラゲージに深い感銘を受けたという。グッチの公式サイトは、この時期について次のように記している。

「若きグッチオはロンドンに移り、1897年からザ・サヴォイ・ホテルでポーターとして働き始めた。そこで上流社会の人々を観察した彼は、いつか自分の名前が刻まれたラゲージを作るという夢を抱いてフィレンツェに戻った」

サヴォイの後、グッチオはヨーロッパの高級鉄道会社、コンパニー・デ・ワゴン=リ(Compagnie des Wagons-Lits)で約4年間勤務した。かの有名なオリエント急行を運行する会社であり、ここでもラグジュアリーな旅行スタイルへの理解を深めていった。

フィレンツェへの帰還とグッチの誕生

ロンドンでの経験を胸に帰国したグッチオは、まずイタリアの老舗ラゲージメーカー、フランツィ(Franzi)で革製品の技術を磨いた。第一次世界大戦への従軍を経て、1921年、ついに40歳のグッチオはフィレンツェのヴィア・デッラ・ヴィーニャ・ヌォーヴァに自身の最初のショップを開いた。「アジエンダ・インディヴィドゥアーレ・グッチオ・グッチ(Azienda Individuale Guccio Gucci)」と名付けられたこの小さな店は、輸入革製ラゲージの販売と、地元の職人たちによるオリジナルレザーグッズの制作を行った。

サヴォイで見た英国的な洗練さと、トスカーナの職人技を融合させること──それがグッチオのヴィジョンであった。やがて工房は拡大し、60人もの職人を抱えるまでに成長した。

逆境がもたらしたイノベーション

1930年代、国際連盟のイタリアへの制裁により革の輸入が困難になると、グッチオは危機を創造力で乗り越えた。1935年頃、ナポリ産の特別に織られた麻布を開発し、後のGGモノグラムキャンバスの原型となるダイヤモンド柄のファブリックを生み出した。

1938年には、長男アルド(1925年から会社に参画)の強い勧めでローマのヴィア・コンドッティに2号店を出店した。アルドの参画はブランドに新たな息吹をもたらし、初のピッグスキンバッグの開発など、製品ラインの拡大に貢献した。

第二次世界大戦中も素材不足に直面したグッチは、麻、ジュート、リネンを駆使してバッグやアクセサリーを制作し続けた。そして1947年、戦後の物資不足から生まれたのが、あの伝説的なバンブーバッグである。軽量で耐久性のある竹をハンドルに用いるという発想は、まさに必要が生んだ天才的アイデアであった。

グッチオの死と息子たちの時代

1951年にはミラノ店を開業。そして1953年1月2日、グッチオ・グッチはミラノで死去した。奇しくもその死のわずか2週間前、息子のアルド、ロドルフォ、ヴァスコの手によって、ニューヨーク初のグッチブティックが開店していた。

グッチオは自身のブランドが世界的名声を得る瞬間を見届けることはできなかったが、その後の1950〜60年代、グレース・ケリー、ジャッキー・ケネディ、エリザベス・テイラーといった国際的なセレブリティたちがこぞってグッチを愛用し、ブランドは不動のラグジュアリーブランドとしての地位を確立していく。

1960年代にはグッチオのイニシャルを重ねたダブルGロゴが導入され、1966年にはモナコ王妃グレース・ケリーへの贈り物として、イタリアの画家ヴィットリオ・アッコルネロが37色、43種以上の植物と昆虫を描いたフローラ(Flora)プリントが誕生した。このスカーフは後にグッチの最も象徴的なモチーフのひとつとなり、やがて香水のインスピレーション源ともなるのである。


香水の誕生と歴代クリエイティブ・ディレクターの時代

第一章:グッチ No. 1 と初期の香り(1974〜1990年代前半)

グッチが香水の世界に足を踏み入れたのは1974年のことである。記念すべき処女作グッチ No. 1は、巨匠調香師ギィ・ロベール(Guy Robert)によって創られた。ロベールはエルメスの「カレーシュ」やロシャスの「マダム・ロシャス」の生みの親として知られる伝説的な調香師であり、グッチ No. 1はフローラル・アルデヒドの構成を持つ、深みのあるウッディかつパウダリーな香りであった。

この最初の香水はフレグランスライセンスの形で開発され、当初はドイツのウエラ(Wella)傘下のコスモポリタン・コスメティクス社がライセンスを保有していた。このライセンス契約は1978年に結ばれた25年間の契約であった。

その後、1976年にグッチ プール オム(Gucci Pour Homme)、1985年にグッチ No. 3、1988年にノビレ(Nobile)、1995年にアッチェンティ(Accenti)と、コンスタントに香水がリリースされていった。

第二章:トム・フォード時代──官能の復興(1994〜2004)

1990年代初頭、グッチは深刻な経営危機に瀕していた。ブランドイメージの低下、売上の減少、そして家族間の確執。この窮地を救ったのが、1994年にクリエイティブ・ディレクターに就任したトム・フォード(Tom Ford)であった。

当時33歳だったフォードは、瀕死のブランドを鮮やかに蘇生させた。アメリカン『ヴォーグ』誌はグッチのイメージを「ロゴまみれ」から「洗練されたセックスアピール」へと変貌させたと評している。フォード自身はその時代をこう振り返っている。

「私は、20世紀半ばの快楽主義的なグラマーを再発見する上で大きな役割を果たしたと思う。そしてそれを現代の感性と融合させた。グッチでの最初のいくつかのヒットコレクション、そして店舗のリデザインや広告キャンペーンを通じて、服やアクセサリーだけでなくそれを実現した」
── トム・フォード

フォード時代のグッチの香水で特筆すべきは、まず1997年のエンヴィ(Envy)である。調香師モーリス・ルーセル(Maurice Roucel)が手がけたこの香りは、革新的なグリーンフローラルで、スズラン、ヒヤシンス、そしてメタリックなニュアンスが絡み合う、都会的でエッジの効いた作品であった。ルーセルはこの香りのアイデアについて驚くべきことを明かしている。

「完璧を求めたからだ。エンヴィが世に出たのは1997年だが、私はこのアイデアに1984年から取り組んでいた」
── モーリス・ルーセル

そして1999年にはトム・フォードの美学を決定的に刻印したラッシュ(Rush)が登場した。調香師ミシェル・アルメラック(Michel Almairac)によるこのシプレ・フルーティは、フリージア、ガーデニア、ピーチのトップノートからダマスクローズ、ジャスミンを経て、バニラ、パチョリ、ベチバーへと展開する官能的な香りであった。鮮烈な赤いフラットボトルのデザインは、ポップアートを思わせる大胆さで、発売から四半世紀以上を経た今も処方を変えることなく生産され続けている。

フォードは2004年にグッチを去ったが、彼がフレグランスに注入した「挑発的な官能性」というDNAは、その後のグッチの香水にも脈々と受け継がれていく。

第三章:フリーダ・ジャンニーニ時代──フローラの開花(2006〜2014)

フォードの後を継ぎ、2006年からクリエイティブ・ディレクターを務めたフリーダ・ジャンニーニ(Frida Giannini)は、グッチのアーカイブに眠るフローラプリントに新たな命を吹き込んだ。

2009年に発表されたフローラ バイ グッチ(Flora by Gucci)は、1966年にグレース・ケリーのために生まれたフローラプリントをボトルデザインに纏った香水である。シトラス、ピオニー、ローズ、オスマンサス(キンモクセイ)をサンダルウッドとパチョリの上に重ねた、軽やかでフレッシュなフローラルであった。ジャンニーニはこう語っている。

「フローラはより軽やかで、その花の香りは若いお客さまを想起させる。享楽的で大胆な一面もある。フローラがグッチ バイ グッチの『娘』だとは言いたくないけれど、『妹』のような存在かもしれない」
── フリーダ・ジャンニーニ

2012年にはフローラ バイ グッチ ガーデン・コレクションとして、アッコルネロのスカーフに描かれた花々にちなんだ5つのフレグランス──ゴージャス・ガーデニア、グロリアス・マンダリン、グラマラス・マグノリア、グレイシャス・チュベローズ、ジェネラス・ヴァイオレットが発表された。

2010年にはギルティ(Guilty)が、2015年には竹のイメージを香りに翻訳したバンブー(Bamboo)が登場し、ジャンニーニ期のグッチフレグランスは幅広いラインナップに拡大していった。

第四章:アレッサンドロ・ミケーレ時代──記憶と花の錬金術(2015〜2022)

2015年1月、ほぼ無名であったアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)がクリエイティブ・ディレクターに就任した時、業界は驚きに包まれた。しかし彼は10年以上グッチで働いてきたインサイダーであり、ブランドのDNAを知り尽くしていた。ミケーレの就任はグッチを根底から変革し、ジェンダーレスで折衷的、マキシマリスティックな美学を打ち立てた。​

そしてフレグランスにおいても、ミケーレは自身のヴィジョンを余すところなく注入した。彼はこう語っている。

「私はいつも、イメージやキャラクターを通じてファッションの意味を説明する。香りを表現するのもほとんど同じこと。それはとてもパワフルで、あなたに対する他者の印象を本当に変えてしまう力がある」
── アレッサンドロ・ミケーレ

グッチ ブルーム(Gucci Bloom):花園への招待

ミケーレのヴィジョンのもとで完全に開発された最初のフレグランスが、2017年のグッチ ブルーム(Gucci Bloom)である。マスターパフューマーのアルベルト・モリヤス(Alberto Morillas)との協業で生まれたこの香りは、チュベローズ、ジャスミン・サンバック、そしてファインフレグランス史上初めて使用されたラングーンクリーパー(Rangoon Creeper=シクンシ)という3つの花を核にしている。

モリヤスはこの香りについてこう述べている。

「美しい庭園、エデンのような場所。私はインド産のジャスミン・サンバック、チュベローズ、ムスクから始めた。そしてラングーンクリーパーが、グッチ ブルームに豊かさを加えている」
── アルベルト・モリヤス

ミケーレ自身は、この香りの着想が個人的な記憶に深く根ざしていることを明かしている。

「私は強い香りが好きだ。自然の匂い、花の香り。しばらくの間、この種の香りは流行遅れになっていたが、私はそれらを愛している。かつて流行していたものが流行らなくなっても、そこには意味が隠されているから。私はチュベローズの香りに惹かれた──それが私にとってグッチ ブルームの出発点になった。チュベローズは、午後に母と一緒に散歩した時の記憶を思い出させる花だ」
── アレッサンドロ・ミケーレ

さらに別のインタビューでは、より詳細な記憶を語っている。

「グッチ ブルームは、実は若い頃に訪れた場所の香りを取り戻すという発想から生まれた。庭や公園の独特の匂いを覚えている場所。特にローマ周辺の田園地帯に行った時、大地と葉の香りが母の香水と混ざり合っていたのを覚えている。(中略)私の街の女性たちがフリージアやチュベローズのような香りをまとっていた記憶がある。その記憶を繋ぎ合わせ、人工的な自然──つまり濃密なフローラル──と自然そのものを混ぜ合わせたのだ」
── アレッサンドロ・ミケーレ

ブルームのボトルデザインもミケーレの美学を体現している。透明なガラスではなくラッカー仕上げの不透明なピンクのボトルは、陶磁器を想起させるレトロで柔らかなデザインである。広告キャンペーンにはアンジェリカ・ヒューストン、フローレンス・ウェルチ、ジョディ・ターナー=スミス、スージー・ケイヴという4人の女性が起用され、サイケデリックな夢の庭園を彷徨う幻想的な映像が制作された。ブルームはその後、アクア・ディ・フィオーリ、ネッターレ・ディ・フィオーリ、プロフーモ・ディ・フィオーリなど、複数のバリエーションに拡大していった。

ジ・アルケミスト・ガーデン(The Alchemist’s Garden):錬金術の香り

2019年には、グッチのラグジュアリーフレグランスコレクション「ジ・アルケミスト・ガーデン(The Alchemist’s Garden)」が誕生した。錬金術の哲学に着想を得たこのコレクションは、7種のオードパルファム、4種のパフュームドオイル、3種のアクア・プロフマータ、そして1種のキャンドルで構成された。

ミケーレはこのコレクションの哲学をこう語っている。

「調香の原始的な香り──花のエッセンス、植物のグリーンな香り──を場の雰囲気と結びつけ、記憶と連結させるという発想。そして、香水が錬金術的な方法で、ひとつの香りを通じてあなたを別の場所へ連れ戻せるという考え。それは人間にとってとても強く、とても大切な感覚を通じて」
── アレッサンドロ・ミケーレ

アルベルト・モリヤスとの協業で生まれた各フレグランスは、ウード、アンバー、ヴァイオレット、アイリス、ミモザ、ローズ、ウッズといったヒーロー成分を核に据えている。アポセカリー(薬局)風のヴィンテージボトルには金色のレタリングと動物モチーフがあしらわれ、48通り以上のレイヤリング(重ね付け)が可能である。

このコレクションは現在も拡大を続けており、2024〜2025年にはヴァニラ・フィレンツェ、フィオーリ・ディ・ネロリ、オスマンサス・ネクター、ムスキオ・ミネラリス、ムスキオ・ディ・ルーチェ、ローザ・スブリメ、ローザ・インカンデシェンテといった新作が次々と発表されている。錬金術の四つの変容段階──スブストラートゥム(大地)、ヴァポルム(空気)、リクイドゥム(水)、イグニス(火)──に基づくフレグランスの探求は続いている。


ブランドのこだわり

香りづくりの哲学

グッチのフレグランスに一貫しているのは、「香りは、記憶と感情を運ぶ装置である」という信念である。これはミケーレ時代に特に鮮明に打ち出されたが、トム・フォード時代の挑発的な官能性、フリーダ・ジャンニーニ時代のアーカイブとの対話にも、それぞれの形で受け継がれている。

調香においては、一流のマスターパフューマーとの協業を重視してきた。ギィ・ロベール、モーリス・ルーセル、ミシェル・アルメラック、そしてアルベルト・モリヤスという、いずれもフレグランス界のレジェンドたちがグッチの香りを手がけている。

ミケーレ時代には、ラングーンクリーパーのヘッドスペーステクノロジーによる採取や、ヌートカヒノキ(Nootka Cypress)の天然抽出物の使用など、革新的な天然素材へのアプローチも積極的に取り入れられた。アルケミスト・ガーデンではSFE(超臨界流体抽出)やマセレーション(浸漬)、蒸留といった伝統的かつ先進的な技法が駆使されている。

ボトル・パッケージへのこだわり

グッチのフレグランスのボトルデザインは、各時代のクリエイティブ・ディレクターの美学を如実に反映している。

  • ラッシュ(1999年):トム・フォードの大胆さを象徴する、鮮烈な赤のフラットなプラスチックボトル
  • フローラ(2009年):ヴィットリオ・アッコルネロのフローラプリントをボトルとパッケージに配したデザイン
  • ブルーム(2017年):ラッカー仕上げの不透明なピンクボトル。ミケーレが「陶磁器を思わせる」と表現した、レトロで温かみのあるデザイン
  • アルケミスト・ガーデン(2019年〜):錬金術に基づく4つの元素(大地=黒、空気=白、水=金、火=赤)を表すフラコンに、動物や神秘的なシンボルがあしらわれている

香水ラインナップ

グッチの現行フレグランスは大きく以下のコレクションに分類される。

コレクション特徴主な香り
ブルーム(Bloom)濃密なホワイトフローラル。チュベローズ、ジャスミン、ラングーンクリーパーが核ブルーム EDP、アクア・ディ・フィオーリ、ネッターレ・ディ・フィオーリ、プロフーモ・ディ・フィオーリ、インテンス
ギルティ(Guilty)大胆でセンシュアルなアンバーフローラル。ピンクペッパー、ライラック、パチョリギルティ プール ファム EDP、ギルティ プール オム、ギルティ アブソリュ、ギルティ エリクシール
フローラ(Flora)1966年のフローラプリントに着想を得た軽やかなフローラルフローラ ゴージャス・ガーデニア、フローラ ゴージャス・ジャスミン、フローラ ゴージャス・マグノリア
ジ・アルケミスト・ガーデン錬金術をテーマにしたラグジュアリーコレクション。レイヤリングを前提とした設計ティアーズ・フロム・ザ・ムーン、ア・ソング・フォー・ザ・ローズ、ムーンライト・セレナーデ、ヴァニラ・フィレンツェ他
ラッシュ(Rush)1999年誕生のロングセラー。フルーティ・シプレラッシュ EDT
メモワール・ドゥヌ・オドゥール(Mémoire d’une Odeur)ユニセックスフレグランス。ローマンカモミール、サンダルウッドメモワール・ドゥヌ・オドゥール EDP

ちなみに…

  • ウエラからコティ、そしてロレアルへ:グッチの香水ライセンスの歴史はなかなかに波乱に富んでいる。1978年にウエラと結ばれた最初のライセンス契約は、2003年のウエラのP&Gによる買収をきっかけに法廷闘争に発展した。その後2006年にP&Gとの新たなライセンス契約が結ばれ、2016年にP&Gがフレグランス事業をコティに売却したことで、コティがグッチの香水を手がけることになった。さらに2025年にはケリングがロレアルと50年間のパートナーシップを発表し、2028年のコティとのライセンス満了後はロレアルがグッチの香水を手がけることが決まっている。これに対しコティが訴訟を起こすなど、ライセンスをめぐる攻防は現在進行形である。
  • 新たな時代の幕開け:2025年2月にサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)がクリエイティブ・ディレクターを退任し、2025年3月にはバレンシアガで10年間クリエイティブ・ディレクターを務めたデムナ(Demna)がグッチのアーティスティック・ディレクターに就任することが発表された。「グッチらしさ(Gucciness)」と「大胆に、セクシーに、贅沢に」を掲げるデムナの下で、グッチの香水はどのような進化を遂げるのか。一世紀を超える歴史を持つこのメゾンの物語は、まだまだ新たな章が書かれ続けている。
  • グッチオが創った”伝説”:グッチオ・グッチは、自身のブランドにフィレンツェの名門メディチ家との血縁があるかのような物語を創り上げた、とも言われている。これはまったくの創作であったが、初期のブランディングとしては見事な手腕であった。

  1. Guccio Gucci – Wikipedia – https://en.wikipedia.org/wiki/Guccio_Gucci
  2. History of Gucci, Gucci公式サイト – https://www.gucci.com/int/en/nst/history-of-gucci
  3. Guccio Gucci: From Humble Origins to Building a Fashion Empire – https://dsfantiquejewelry.com/blogs/journal/guccio-gucci-from-humble-origins-to-building-a-fashion-empire
  4. Gucci – Wikipedia – https://en.wikipedia.org/wiki/Gucci
  5. How Tom Ford Healed Himself Post-Gucci, 10 Magazine – https://10magazine.com/tom-ford-interview-gucci-bridget-foley/
  6. Gucci Envy for Women (Maurice Roucel) 1997, CaFleureBon – https://cafleurebon.com/gucci-envy-for-women-maurice-roucel-1997-plus-encounter-with-a-hyacinth-giveaway/
  7. Gucci Bloom Profumo di Fiori, AnOther Magazine – https://www.anothermag.com/fashion-beauty/12902/gucci-bloom-profumo-di-flori-fragrance-review-alessandro-michele-interview
  8. A Beautiful Garden, Gucci公式サイト – https://www.gucci.com/us/en/st/stories/article/pre-fall-2017-bloom-fragrance-qa-alberto-morillas
  9. Work Of Art: In Full Bloom With Gucci, Grazia Magazine – https://graziamagazine.com/articles/work-of-art-gucci-bloom/
  10. At Home With Susie Cave, AnOther Magazine – https://www.anothermag.com/fashion-beauty/12793/susie-cave-dresses-house-gucci-bloom-alasdair-mclellan-alessandro-michele
  11. Gucci Perfume Houses, Now Smell This – https://nstperfume.com/perfume-houses-f-to-g/gucci/
  12. The Alchemist’s Garden, Hunger Magazine – https://hungermag.com/editorial/hunger-wants-guccis-the-alchemists-garden-collection
  13. Gucci Bloom, The Fashion Spot – https://www.thefashionspot.com/beauty/745741-gucci-bloom-fragrance/
  14. Tom Ford, Britannica – https://www.britannica.com/biography/Tom-Ford
  15. Gucci Flora Print History, Grace Influential – https://www.graceinfluential.com/post/muse-to-the-house-of-gucci
  16. Demna appointed Artistic Director of Gucci, Kering – https://www.kering.com/en/news/demna-appointed-artistic-director-of-gucci/
  17. A 50-year License And 2028 Deadline, RetailBoss – https://retailboss.co/license-gucci-beauty-legal/
  18. Gucci’s Rise From Lift Boy to Empire Owner – https://www.ambitionchronicles.com/p/guccis-rise-from-lift-boy-to-empire
  19. Gucci Alchemist’s Garden New Fragrances 2025, Luxferity – https://luxferity.com/brand/gucci/news/gucci-alchemists-garden-new-fragrances-2025
  20. Wella sues Gucci over licencing terms, CosmeticsDesign – https://www.cosmeticsdesign.com/Article/2004/04/23/Wella-sues-Gucci-over-licencing-terms/
  21. Alessandro Michele quotes – https://www.whatshouldireadnext.com/quotes/alessandro-michele-with-a-brand-like-gucci
  22. Flora by Gucci, Frida Giannini quote, The Fashion Spot – https://forums.thefashionspot.com/threads/gucci-flora-fragrance-abbey-lee-kershaw-by-inez-vinoodh-solve-sundsbo.146753/
この記事を書いた人
Root

香りの学び場「ルシェルシェパルファム」の運営者。
元香水販売員で、現在はとあるIT企業の管理職。
香水への愛が抑えきれず、自身の学んだことをはきだすサイトを作ってしまう。エルメス・フレデリックマルを主に愛用。

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