QNOWAは、一日の時刻、香りの歴史、香木の時間を切り口にしたお香ブランドである。香りを選ぶ前に情景を思い浮かべ、包装を開き、火をつける。玉初堂の香づくりを、そうした日常の体験へつなげている。
基本情報
- ブランド開始:2024年7月
- 運営:株式会社玉初堂(1804年創業)
- ブランド開発協力:株式会社balance
- 公式サイト:https://qnowa.jp/
創設者とブランドの成り立ち
玉初堂が二つ目のブランドで伝えること
QNOWAは、薫香メーカーの玉初堂が2024年に始めたブランドである。先行するICHIKŌ ICHIEをお香との出会いの入口とする一方、QNOWAでは原料、製法、文化の背景まで伝える場を目指した。同年7月31日にKITTE大阪へ出店している。
店舗には線香を乾燥させる「干し板」を題材にした什器や、工場の連子窓「べかこ」を参照した照明を取り入れた。製造現場の道具を、香りを選ぶ人が目にする空間へ移したのである。
久ノ環という名前と制作チーム
ブランド名は「久ノ環」に由来する。開発に構想段階から参加したbalanceは、名前やコンセプトだけでなく、商品構成、包装、店舗などを横断して設計した。
制作クレジットには、クリエイティブディレクターの島田智之、アートディレクターの島田智之と山野里奈、店舗設計のYLANG YLANGが挙がる。メーカーの香づくりと、体験を目に見える形へ整える仕事が重なったブランドである。
ブランドのこだわり
MomentsとInspiredで時間の尺度を変える
Momentsは、一日の時刻と結びついた情景から香りを考えるシリーズ。例えば「16:00 茜色の珈琲」のように、名前を見た段階で香りを使う時間へ想像を向けられる。
一方、Inspiredは玉初堂に伝わる調合法とその変遷を題材とし、元となる香りの起源の年や発売年を商品名にする。一日のひとときを扱うMomentsと、長く受け継がれた香りをたどるInspired。同じ「時間」を異なる尺度で選べる構成である。
香木に向き合うEternal
Eternalの「伽羅」には、玉初堂が1980年代に出会った「緑油 伽羅」の粉末を、香原料として100%配合すると説明される。日々の時刻から離れ、香木そのものの来歴へ目を向ける作品である。
瓦の形を香立てへ移す
オリジナルの香立ては、日本の屋根瓦をモチーフにしている。美濃焼の産地である岐阜県東濃地方の、120年以上続く窯元と試作や色の検証を重ねて商品化した。
伝統を文章で説明するだけでなく、手に取る道具の形にも反映させる。お香を焚く行為の周囲にあるものまで、ブランドの題材が及んでいる。
材料選びから体験するワークショップ
2026年9月20日付の公式案内は、同年10月からのお香づくりワークショップを告知した。参加者が原料を選んで調合し、練り、伸ばして切り、持ち帰って乾燥させる内容である。
一本のお香ができるまでの手間を自分でたどると、完成品を選ぶだけでは見えない時間に触れられる。QNOWAの時間という題材は、商品名から制作を体験する場へも広がっている。


