エステバンは、香りを運ぶ素材や器具を考えてきたフランスのブランドである。セラミック、ワックス、液体を吸い上げるスティック。同じ室内芳香でも、素材が変われば置き場所や使い方が変わる。その違いを商品として形にしてきた。
基本情報
- 設立:1980年、フランス
- 創設者:ジャン=マックス・エステバン
- 公式サイト:https://esteban.fr/
創設者とブランドの成り立ち
香りを宿す小さなオブジェから始まる
ブランドが伝える創業物語では、ジャン=マックスは香水を愛する若い芸術家との出会いをきっかけに、内部に香りを含ませた装飾オブジェを考案した。1980年の会社設立時、公式沿革が挙げる技術も、香りを保持する微細孔セラミックである。
1985年には日本が最初の輸出市場となり、日本香堂との協力が始まった。1990年にCèdre、1995年にパリの最初の店舗へと展開。香り付きの小さな物から、コレクションと売場へ活動を広げていった。
素材と補充方法を変えて広がった製品
公式年表には、2000年の植物性ワックスのキャンドル、2005年のキャンドル用リフィル、2006年のリードディフューザーが並ぶ。2018年のラヴェリューヌ拠点の項目では、製品の90%超を製造する体制を紹介している。
香りを変えるだけでなく、使い切った後に何を残し、何を補充するかも設計の対象になった。
ブランドのこだわり
車内へ香りを運ぶ交換式セラミック
Cèdreの車用ディフューザーは、フランスの工房で香りを含ませたセラミックを用いる。器具を通気口に取り付け、香りが弱くなったらセラミックを交換する仕組みである。
香料を保持する素材と、それを空気の流れる場所に置く器具。この二つを組み合わせることで、創業時の香り付きオブジェの発想が車内でも使える道具になっている。
Cèdreを支える木質とスパイス
Cèdreの100mlリードディフューザーでは、トップにグレープフルーツとナツメグ、中心にシダー、クローブ、パチョリ、ベースにサンダルウッド、バルサム、バニラが示される。シダーを軸に柑橘やスパイスを重ねた構成である。
スティックが香料液を吸い上げ、火を使わず香りを届ける。液体とスティックを補充できるため、容器を繰り返し使える。香りの説明だけでなく、補充方法まで含めて選べる製品である。
一つのコレクションを異なる場所へ
Cèdreの公式コレクションには、リードディフューザー、キャンドル、車用ディフューザー、各種リフィルが並ぶ。同じ名前の香りを、机の上、室内、車内という異なる場面へ展開している。
製品の形態が違えば、香りを届ける仕組みも異なる。エステバンを見る面白さは、ノートだけでなく、香料をどの素材に預けるかにもある。
身体用香水も手がけた過去
ブランドが振り返る身体用香水の一つが、2006年の「Folie de figue」である。一方、現在の公式旧コレクション案内では、かつてのオードトワレとオードパルファムの販売終了が告知されている。
いまの製品を選ぶ際の中心は、ホームフレグランスと香りを運ぶ道具である。創業時のセラミックから、繰り返し使う容器や交換式の部材まで、香りと物を一緒に考える仕事が続いている。


