École Supérieure du Parfum & de la Cosmétique(ESPC/エコール・シュペリウール・デュ・パルファン)— パリとグラースの香水・化粧品教育

香りの制作案を商品として発表する学びを描いた、ESPCの記事用イラスト

学生は、調香師がその素材を選んだと考えられる理由を理解する必要があります。

パトリス・ルヴィヤール、卒業生・香水創作の教員(2021年)

香水の処方を組み立てることと、その香水を製品として世に送り出すこと。両者の間には、評価、製造、品質、原価、容器、販売の仕事がある。École Supérieure du Parfum & de la Cosmétique(ESPC)は、そのつながりを学ぶフランスの私立高等教育機関である。

2011年、パリで香水の創作とマネジメントを結ぶ学校として始まり、グラースにも拠点を広げた。今日では化粧品の処方や品質、香水・化粧品のマーケティングも教育の柱となっている。調香師を目指す人だけでなく、香りを評価する人、製品を開発する人、ブランドを育てる人が学ぶ学校である。

基本情報

  • 正式名称:École Supérieure du Parfum & de la Cosmétique(略称ESPC)
  • 読み方:エコール・シュペリウール・デュ・パルファン&ドゥ・ラ・コスメティック
  • 設立:2011年。旧称はÉcole Supérieure du Parfum(ESP)
  • 設立に関わった人物:モーリス・アルアデーヴ、シャンタル・アルティニャンら。エコール・ドゥ・コンデの支援を受けて発足
  • 運営の位置づけ:AD Educationネットワークに属する私立の専門高等教育機関
  • 拠点:パリ(3–5 rue Cambronne)とグラース(18 boulevard du Jeu de Ballon)
  • 教育の形態:一般から出願できる長期専門教育、職業人向けの継続教育、短期プログラム。香料会社の社員だけを対象とする養成機関ではない
  • 公式サイト:École Supérieure du Parfum & de la Cosmétique

創作とマネジメントを結ぶ学校の成り立ち

2011年、香料産業と教育の経験を持ち寄る

設立に加わったモーリス・アルアデーヴ(Maurice Alhadève)は、香水の教育と事業の双方を知る人物であった。ユニリーバ・グループの香水・化粧品事業で経営に携わり、IFF、クレアシオン・アロマティック、ハーマン&ライマーなど香料を創作する企業でも仕事を重ねた。その後、ヴェルサイユのISIPCAを率いた。インターパルファムの2019年年次報告書は、彼をESPの共同創設者・代表として紹介している。現在の学校案内では、教育内容を産業界と検討する諮問委員会の議長である。

もう一人、教育づくりの中心にいたのがシャンタル・アルティニャン(Chantal Artignan)である。生化学と生物学を学び、ケベックで研究者として働いたのち、ISIPCAへ進み、ESPの設立チームに加わった。香料を科学で理解する経験を持ちながら、創作と製品の送り出し方をともに扱う教育を組み立てていった。二人のISIPCAでの経験が新しい学校へ生かされたのである。

エコール・ドゥ・コンデの支援を受け、2011年にパリで開校したESPは、香料産業の関係者との対話から、創作とマーケティングの間をつなぐ教育の必要性を捉えた。そこで用意したのが、原料から製品の発売までを見渡す5年間の「Création & Management」である。

香りの評価を仕事にする人は、調香師が何を作ろうとしているかを理解し、同時にブランドや市場の求めるものを伝える必要がある。アルティニャンは2021年、その役割を教育の重要な進路の一つに挙げていた。原料を嗅ぐ力と、人に香りを説明する力は、製品開発の現場で結びつくのである。

私たちの学校が、社会的なエリートだけのためのものであってはなりません。

シャンタル・アルティニャン、当時の学校ディレクター(2021年)

この言葉は、私立校の学費と学びの機会について考える中で発せられたものである。当時、アルティニャンは奨学金の構想や学生の活動を支える仕組みに触れていた。現在の案内には分割払い、企業で働きながら学ぶアルテルナンスなどがある。制度は変わっても、創作への関心を実際の学びにどうつなげるかという課題は、学校の教育と並んで続いている。

2018年、グラースの産業とつながる

二つ目の拠点をグラースへ導いた出会いには、調香師ファブリス・ペレグランと妻サンドリーヌの働きかけがあった。二人はグラース校の構想を市へ持ち込み、2017年夏のパリでの面会を橋渡しした。市や香料産業団体Prodaromも開設を支え、2018年10月1日にグラース校が開所した。

香りの原料を育て、取り出し、調合する産業のある土地に、学生が学ぶ拠点を置く。この構想には、香水づくりの仕事を地域で受け継ぐ意味があった。現在のグラース校は市中心部のジュ・ドゥ・バロン大通りにあり、嗅覚実習と化学の実験室を備える。香りを鼻で捉える訓練と、分析や計量の技術を学ぶ環境が同じキャンパスにある。

パリとグラースは同じ学校の二つの拠点である。ただし、課程の配置は同一ではない。現在の5年制香水課程は両拠点にある一方、5年制化粧品課程と英語による2年制香水課程はパリで案内されている。

2024年、化粧品を正式名称へ加える

2024年4月、学校は「École Supérieure du Parfum & de la Cosmétique」への改称を発表した。同年9月には、化粧品の処方とマネジメントを学ぶ長期課程、香水・化粧品のマーケティング課程を新たに設けた。

化粧品がこの時初めて教育に登場したわけではない。学校は設立当初から、香りのある化粧品を作る実習を行い、UVSQとのFESAPCA課程でも化粧品を扱っていた。新しい名称と課程は、従来の学びから化粧品分野を広げ、処方、品質、生産、事業をより専門的に学ぶ道を設けた変化である。

原料の理解から、製品を形にする教育へ

名香の構造と、素材を選ぶ理由を学ぶ

香りを覚えることは出発点である。天然香料と合成香料を識別し、複数の素材を組み合わせた香りのまとまりであるアコードを作る。その先では、どの素材をどのように組み合わせれば、求められる香りになるのかを考える。

卒業後に香水創作を教える側へ回ったパトリス・ルヴィヤール(Patrice Revillard)は、2021年、授業で重要な古典を学び、イヴ・サンローランの「パリ」などの構造を考えると説明していた。香りの再構成だけでなく、処方の原価、IFRAの基準、使えなくなった素材への対応も学ぶ。名香を知ることは、香りを生み出した選択と制約を読み解く訓練でもある。

現在の5年制香水課程でも、科学の基礎と嗅覚実習から始め、創作、評価、法規、製品開発へ進む。後半には、処方を考える方向と、香水の企画やマーケティングを深める方向がある。卒業時に目指す仕事によって、同じ香りの知識を違う場面で使うのである。

化粧品の処方、品質、生産を結びつける

パリの化粧品課程では、1年次に香料の識別、アコード、化粧品の処方を学び、2年次から専門を深める。クリームやジェル、メイクアップ製品を作るには、香りだけでなく、原料の働き、肌との関係、安定性、安全性、製造条件を理解する必要がある。

学校の実習は、こうした物理化学的な性質と、触感や香りなどの感覚的な性質をともに扱う。後半には製品の評価、品質管理、法規、マーケティング、チームや事業の運営を学び、企業での実務と往復する。香りの良い試作品を作ることから、継続して製造できる製品を設計することへ、問いが広がっていく。

企業と学校を往復する学び

産業界は、実習先だけでなく教育内容にも関わる。学校の諮問委員会には、ディオール、ロレアル、IFF、DSM–フィルメニッヒ、高砂香料、ジボダンなどの企業や業界団体が参加し、職業の現場に沿った内容づくりを支えている。

5年制香水課程のパリ校案内では、2・3年次にそれぞれ同一企業で最低2か月、4年次には最低4か月、最長6か月の企業実習を組み込む。5年次はアルテルナンスで、通常は学校で週1日、企業で週4日を過ごし、集中授業も受ける。アルテルナンスとは、企業との雇用契約による実務と教育を組み合わせる制度である。学生が通常の授業料を払って参加する実習とは、契約と費用負担の仕組みが異なる。

2021年には包装分野の学校ESEPACと、コロナ禍後に香水をどう配布し、試してもらうかを考える学生プロジェクトも行われていた。人が香りに出会う方法まで考える課題である。

目的と既修学歴に応じた学び方

以下は2026年10月12日に確認した公式案内に基づく。長期課程の入口は、初めて香水を専門的に学ぶ人、すでに香水・化粧品を学んだ人、理系の大学教育を受けた人で異なる。

5年制の香水・化粧品課程

Création & Management pour l’industrie du Parfumは、パリとグラースの5年制香水課程である。フランス語の課程で、1年次はすべての系統のバカロレアを対象とし、非理系には科学の補習を用意する。選考では学業成績、香料産業への関心、嗅覚の知識、職業上の目標、英語力を、書類と面談で見る。

Formulation & Management pour l’industrie cosmétiqueはパリの5年制で、化粧品の処方や評価・品質・生産を深めたい人の入口である。香水課程と同じく、1年次の対象はすべての系統のバカロレアであり、科学の補習と実習を組み合わせる。

途中年次への出願には別の前提がある。両課程の2・3年次は、それぞれ化学分野のBac+1、Bac+2などを、4年次は香水・化粧品分野のBac+3またはRNCPレベル6の認証を条件として案内する。日本の学歴がどの入口に対応するかは、学校による個別審査となる。

英語の香水課程と、マーケティングの専門課程

パリのCreation & Management for the Perfume Industryは、全授業を英語で行う2年制である。学校の4・5年次に相当し、入口には香水・化粧品分野のBac+3またはRNCPレベル6の認証と、十分な英語力を求める。香水を初めて学ぶ高校卒業者向けの2年間ではない。1年目には最低4か月の企業実習があり、2年目には企業と学校を往復する学びを案内している。留学生に適用される在籍形態と企業契約は、出願時に確認する必要がある。

Mastère Marketing des parfums & produits cosmétiquesは、商品やブランドの企画、マーケティング、コミュニケーションを仕事にしたい人に向けた2年制である。オンライン授業と校内・現場での集中学習を組み合わせ、両年ともアルテルナンスを行う。授業週の基本は学習1日・企業4日で、集中学習を年5週間組み込む。

入口は商業・マーケティング・コミュニケーション分野のBac+3またはRNCPレベル6。英語を読み書きし、話せることも条件となる。2024年の開設発表と現行料金表はパリ・グラースを挙げる一方、現在の課程紹介のキャンパス欄はパリと表示する。集中授業の実施拠点と使用言語は、選ぶ受講形態に合わせて学校へ確認したい。オンラインを併用するこの課程を、全授業英語の香水課程と同じ条件で考えることはできない。

理系学士から進む大学修士FESAPCA

FESAPCAは、パリ=サクレー大学の国家修士「Chimie et sciences du vivant」に属し、ヴェルサイユ・サン=カンタン=アン=イヴリーヌ大学(UVSQ)がESPCと連携して担う専門課程である。ESPCが職業に直結する教育を、UVSQが科学教育を担い、CFA ADがアプランティサージュの学習を支える。香水、化粧品、食品香料の三つの選択分野があり、学校独自の5年制課程とは別の大学修士である。

2年間、授業はフランス語で、教育拠点はヴェルサイユとパリ。M1への出願には、化学、物理化学、生物・化学などの学士課程で180 ECTS、または同等と認められる履修歴を求める。化学と選択分野の一般知識の筆記試験、動機を問う面接があり、企業とのアルテルナンス契約も入学の条件となる。パリ=サクレー大学の2026年入学案内は、契約締結時の年齢を29歳以下としている。実務と授業を原則2か月ずつ交互に行い、M1とM2の間には約5か月の企業期間がある。

2026–2027年度のM1募集は、第一期が2026年1月15日〜2月17日、第二期が2月17日〜3月16日であった。パリ=サクレー大学のM1案内には、Inceptionでの6月19〜25日の出願期間も掲載されている。これらはすべて確認日には終了している。次年度の日程は、この日付から推定せず、UVSQの募集・入学条件を確認する必要がある。

職業認証と大学の修士学位

香水・化粧品の5年制と英語の2年制が目指すのは、「Créateur–Manager en parfumerie et cosmétique」という職業認証である。RNCPはフランスの職業認証の登録制度であり、レベル7は資格の水準を示す。名称にMastèreやMasterが使われていても、それだけで大学の国家修士学位となるわけではない。

対象正式な認証・学位登録の有効期間
香水・化粧品の長期課程、
英語の香水課程
Créateur–Manager
en parfumerie et cosmétique/
RNCP37850・レベル7。
認証主体は
Parfums EnseignementとADE Holding
2023年7月19日の決定〜
2028年7月19日
マーケティング課程Manager des stratégies
marketing et communication/
RNCP38504・レベル7。
France compétences登録の認証主体は
MediaSchool Paris、ECS、
MediaSchool Group
2023年12月21日の決定〜
2028年12月21日
UVSQのFESAPCA課程パリ=サクレー大学の国家修士学位
「Master – Chimie et sciences du vivant」。
該当登録はRNCP38705・レベル7
現行登録の対象課程は
2024年5月1日から。
登録期限は2029年4月30日

職業認証は、必要な能力区分の評価を通過して取得する。短い講座で一部の能力区分を学ぶことと、認証全体の取得は異なる。一方、FESAPCAは大学の修士課程で、修了には学士後の120 ECTSを含む学位の要件がある。いずれも、特定企業で調香師として働くことを保証するものではない。

出願と費用の確認

留学生の言語と募集年度

一般の出願はParcoursupとは別に、学校の入学手続きページから面談を申し込む方式である。留学生は学歴、成績、履歴書、志望動機などを提出し、課程ごとの条件に沿って審査を受ける。フランス語課程はフランス語B2が目安となる。現在リンクされている2025–2026年度の留学生用書式は、英語課程についても英語B2以上の証明を求めている。

2026年10月12日現在、国際出願ページの締切表示は2026年9月で、入学年や書式には旧年度の記載も残る。料金表に翌年度の金額が掲載されていることと、その年度の留学生募集日程が確定していることは別である。次の入学時期、提出書式、言語証明、企業契約の条件は、国際入学担当窓口へ確認する必要がある。

学費は年度・キャンパス・在籍形態で異なる

公式料金ページは2027–2028年度、同ページのダウンロードPDFは2026–2027年度の料金を掲載している。以下はそれぞれの年度に適用する税込みの年額、一括払いの金額である。学費は毎年見直されるため、入学時の年額を5年間そのまま掛け合わせた総額ではない。

課程・対象年次2026–2027年度PDF2027–2028年度Web料金表
パリの香水課程1〜4年次各年9,700ユーロ各年9,900ユーロ
グラースの香水課程1〜4年次各年8,800ユーロ各年8,980ユーロ
パリの化粧品課程1〜3年次各年9,700ユーロ各年9,900ユーロ
英語2年制香水課程・パリ各年11,000ユーロ各年11,550ユーロ
マーケティング2年制各年10,000ユーロ各年10,500ユーロ
香水課程5年次・アルテルナンス12,000ユーロ12,700ユーロ

2027–2028年度Web料金表は、FESAPCAについても各年12,000ユーロの訓練費用を示す。アルテルナンスでは企業や職業訓練の資金制度が費用を負担する仕組みがあるため、料金表の額と学生自身の支払額を同一に考えず、企業契約、負担範囲、大学の登録に関わる費用を確認する。化粧品課程の4・5年次の額は、この料金表の1〜3年次の額から補っていない。

同Web料金表の初回事務手数料は通常課程500ユーロ、アルテルナンス200ユーロで、嗅覚実習キットと情報機器用のパックは学費に含まれる。ただし、リンクされている2025–2026年度の非EU留学生書式には、登録手数料1,200ユーロと学費から差し引く前金2,000ユーロの別条件がある。留学生の次年度費用は、一般料金表だけで確定せず、対象年度の国際出願条件を確かめたい。

短期講座と継続教育

長期課程とは別に、職業人や学び直しの人に向けた継続教育がある。公表一覧では「Accords parfumés et évaluation」が265時間・7,800ユーロから、「Développer des produits parfumés」が140時間・6,570ユーロからで、いずれもパリの対面教育である。後者は、香水づくりの基礎を持つ人が、市場の検討から製品の創作・評価へ学びを深める講座として案内されている。

この一覧の金額には適用年度が明記されていない。2026年10月12日に掲載を確認した通常案内として扱い、次回の開催日、言語、選考、料金、修了時に得る証明の範囲は、個別の講座で確認する必要がある。長期課程のRNCPレベル7を、そのまま短期講座全体の修了資格として読み替えることはできない。

また、学校の国際案内には「French Fragrance Summer Session」という5日間の集中プログラムがある。嗅覚実習、香水の歴史、原料、香りを表現する言葉、創作を入口として学ぶ内容である。長期の専門養成とは目的が異なり、次回の日程と受講条件は、学校の国際プログラム案内から確認したい。

主な歩み

  • 2011年:パリでÉcole Supérieure du Parfumが発足。原料から製品の発売までを扱う、創作とマネジメントの5年制教育を始める。
  • 2018年10月1日:市と香料産業の支援を受け、グラース校が開所する。
  • 2018年12月27日/2019年1月4日:「Créateur–Manager en parfumerie et cosmétique」のRNCP登録に関する省令が決定され、2019年1月4日の官報に掲載。登録には2016年7月1日からの効力が定められた。
  • 2023年7月19日:同職業認証がRNCP37850・レベル7として登録。登録期限は2028年7月19日。
  • 2024年4月3日:学校がÉcole Supérieure du Parfum & de la Cosmétiqueへの改称と、新しい化粧品・マーケティング課程を発表。
  • 2024年9月:化粧品の処方・マネジメント課程と、香水・化粧品のマーケティング課程を開設。

参考文献

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