「さっぱりする」と聞いて、ミントの冷感を思い浮かべる人もいれば、酸味や、さらっとした口当たりを思い浮かべる人もいます。2009年の研究では、160人にモデル食品のさっぱり感を評価してもらうと、さっぱりしにくい試料については意見が合う一方、どれを最もさっぱり感じるかは人によって分かれました。
同じ言葉で表す感覚にも、香り、味、冷感、食感という複数の手掛かりが重なっていることを調べた研究です。
香り・冷感・酸味・とろみを変えた9つのゲル
研究者らの目的は、「refreshing」、ここでは口の中のさっぱり感・爽快感に近い感覚を、どの特徴がつくるのか調べることでした。商品の印象を聞くだけでなく、材料を変えたモデル食品で感覚の組み合わせを比較しています。
糖と水をベースに、モモまたはミントの香料、冷感剤WS-3、クエン酸、とろみをつけるキサンタンを使いました。香料、冷感剤、酸、増粘剤を低・高の2水準で組み合わせ、計32配合を準備。予備の官能評価から、感覚的な違いの大きい9試料を選びました。
本試験の詳しい感覚評価は、予備試験に参加していない女性12人、平均45歳の訓練パネルが担当しました。冷感、冷感の持続、甘味、酸味、苦味、とろみ、渋み、唾液が出る感じなどを評価しています。
これとは別に、フランスの18〜35歳の男女各80人、計160人が、9試料のさっぱり感を評価しました。対象は息をさわやかにする目的のガムや菓子をある程度利用する人に絞られています。試料には番号を付け、順序の影響を釣り合わせて提示しました。訓練パネルの評価では、試料を22℃で提示しました。冷蔵温度の違いではなく、冷感剤などの配合が生む感覚を調べています。
甘く感じる試料は、さっぱり感が低かった
160人の平均では、さっぱり感は10点換算で約2.8〜6.6まで幅がありました。上位の2試料は、ミント香料と冷感剤が多く、増粘剤が少ない配合でした。
低い評価で意見が比較的そろった4試料は、訓練パネルが最も甘く感じた試料でした。これらは香料と冷感剤が少なく、香料の種類や酸・とろみの配合は一様ではありませんでした。
糖の配合そのものを段階的に減らした研究ではなく、酸などの組み合わせによって感じる甘さが変化した試験です。したがって、砂糖を一定量減らせば必ずさっぱりする、という直接の処方を示した結果ではありません。
上位の試料では、三つの評価傾向に分かれた
研究者らは、さっぱり感が比較的高かった5試料に絞って、160人の評価パターンを探索的に分類しました。そこで、次の三つの群が見つかりました。
- ミントと冷感に反応する群:約36%。モモよりミントの試料をさっぱりすると評価しました。試料間では冷感とさっぱり感に強い正の関連があり、甘さとは負の関連がありました。
- 酸の少ない試料を低く評価する群:約26%。クエン酸の少ない1試料が、5試料のなかで特にさっぱりしないと評価されました。著者らは酸味を重視する群と解釈しています。ただし、5試料で計算した酸味との相関自体は統計的に有意ではなく、ミント・冷感の群ほど明確な相関の裏付けがあるわけではありません。
- とろみの少なさに反応する群:約38%。増粘剤の少ない3試料を、多い2試料よりさっぱりすると評価しました。とろみの評点とさっぱり感には、有意な負の関連がありました。
この割合は、特定の5試料から得られた今回の参加者の分類です。「人は必ず三つのタイプに分かれる」という固定的な性格診断ではなく、商品全体の平均だけでは見えない感覚の違いを探すための分析です。
苦味や食習慣は、どう関わる?
ミント・冷感の群では、苦味の強い試料ほどさっぱり感も高いという関連がありました。ただし、著者らは苦味自体がさっぱり感を生んだとは考えていません。冷感剤が多い試料では苦味も強かったため、同時に変わる特徴の影響を分けられないからです。
この群には、息をさわやかにする菓子を1日に何度も使う人が25%含まれ、ほかの2群の12%、15%より多くなっていました。著者らは、ミントと冷感を繰り返し一緒に経験することが、さっぱり感との結び付きを強めた可能性を挙げています。
もっとも、食習慣を変えて評価の変化を追った実験ではありません。もともとミントをさっぱり感じる人が、そうした菓子をよく使うという方向も考えられます。
さっぱりすると感じたものは、好まれやすかった
試験の最後に、9試料のうち最も好きなものも選んでもらいました。69%の人は、自分が最もさっぱりすると評価した試料を最も好みました。ただし、酸を重視すると解釈された群では、この一致は53%で、ほかの2群の74%、73%より低くなっていました。
さっぱり感と好みは関連していましたが、同じものではありません。また、直前までさっぱり感に注意を向けて評価していたため、その課題が最後の好みの回答に影響した可能性を著者らも指摘しています。
今回測定したのは口の中で感じる印象です。体温が下がったか、実際に水分補給が進んだか、口臭が減ったかは測っていません。
まとめ
さっぱり感の低い、甘く感じられる試料については参加者の評価が比較的そろいました。一方、さっぱり感の高い試料では、ミントと冷感、酸の多さ、とろみの少なさを手掛かりにする異なる評価傾向が見られました。酸味の群の解釈には、相関の裏付けが弱いという留保があります。
最もさっぱりすると感じた試料を好む人は多かったものの、その結び付きにも個人差がありました。「さっぱりした味」をつくるには、単一の香料や酸味を強めるだけでなく、誰がどんな感覚をさっぱりと結び付けるかを見ることが大切だとわかります。
研究当時、全著者はNestlé Research Centerに所属していました。GivaudanとCP Kelcoが材料を提供しています。確認できた公開著者原稿には独立した研究資金欄・利益相反声明は見当たりません。
参考文献
Labbe D, Gilbert F, Antille N, Martin N. Sensory determinants of refreshing. Food Quality and Preference. 2009;20(2):100–109. doi:10.1016/j.foodqual.2007.09.001


