シャンプーの印象は、容器のにおいで変わる?

シャンプーの印象は、容器のにおいで変わる? 香りの科学

シャンプーを選ぶとき、ボトルを開けてにおいを確かめる人もいるでしょう。そのとき感じているにおいには、中身だけでなく容器も関わるかもしれません。とくに使用済みプラスチックを再生した材料では、もとの材料や再生工程に由来するにおいが、受け入れられやすさの課題になります。

2024年、Francesca Di Ciccoらは、再生プラスチック製のシャンプーボトルを使い、においと色、そして「再生材を使っている」という説明が製品の評価にどう関わるかを調べました。研究の目的は、環境に配慮した容器を広めるうえで、感覚的な特徴がどこで障壁になるのかを理解することでした。

無香シャンプーを入れた容器を、58人が評価

研究では62人を募集し、注意確認などの条件を満たさなかった人と未完了の人を除いた58人を解析しました。年齢は18~44歳で、57人が女性、1人がノンバイナリーと回答しています。大学を通じて集められた集団で、全員が普段からシャンプーを使っていました。

試したのは、使用済み製品から回収された再生プラスチックを0%、10%、50%、100%含むボトルです。再生材は、においと色の異なるクリーム色系と灰色系の2種類。それぞれに4段階を用意した計8本で、0%のボトルは白色でした。中身には無香シャンプーを入れ、ラベルとロゴは付けませんでした。普段の香り付きシャンプーを比較した実験ではありません。

参加者は、新しいシャンプーを店で買う場面を想像する短い説明を読みました。無作為に分けた一方のグループには容器が「プラスチック製」、もう一方には「再生プラスチック製」と伝えています。研究者が鼻の近くでキャップを開け、容器を軽く押して空気を出し、参加者はそのにおいを嗅ぎました。

最初は目隠しをして8本を評価し、休憩後に目隠しを外して同じ評価を繰り返しました。尋ねたのは、においの好ましさ、なじみ深さ、強さ、製品の受け入れやすさ、買いたさの5項目で、いずれも100点の尺度です。「買いたさ」は回答上の購入意向であり、実際の購入や売上ではありません。

再生材の割合が高い容器ほど、評価が下がる傾向

全体として、再生材の割合が高くなると、においの好ましさやなじみ深さ、製品の受け入れやすさ、買いたさが低くなる傾向がありました。ただし、どの割合同士でも必ず差が出たわけではありません。

たとえばクリーム色系では、0%と10%の容器は100%より受け入れやすいと評価され、0%の容器は再生材を含む各割合の容器より買いたさが高くなりました。灰色系でも再生材を含む容器の評価は低くなる傾向でしたが、どの比較で差が出るかは、説明の有無や容器が見えるかどうかによって異なりました。

興味深いのは、においの強さだけでは説明できないことです。クリーム色系では、再生材の割合による強さの有意な差は見つかりませんでした。それでも、好ましさや購入意向には差がありました。灰色系では強さにも割合の効果があり、一部の条件で50%・100%は10%より強いと評価されています。

においの評価と製品の評価を組み合わせた解析でも、好ましいと感じるほど受け入れやすく、買いたいと思う関係が両方の材料で見られました。なじみ深さもいくつかの評価と関係しました。著者らは、再生材の脱臭を考えるとき、単に強さを下げるだけでなく、そのにおいがどう感じられ、製品に期待するにおいと合うかを見る必要があると論じています。この解析だけで、好ましさが購入を引き起こす因果関係まで分かったわけではありません。

色と「再生材です」という説明はどう働いたか

目隠しを外すと、いくつかの条件で評価がさらに下がりました。再生材との説明がある50%の灰色系ボトルでは、見えないときより受け入れやすさと買いたさが低くなりました。同じく説明のある50%のクリーム色系では、においの好ましさが下がりました。

ただし、目隠しの評価が必ず先で、見ながらの評価は必ず後でした。また、色だけを独立に塗り替えて比べた実験でもありません。そのため、これを「灰色なら買いたくなくなる」という一般則や、色だけの純粋な効果とは言い切れません。著者らも、色とにおいの組み合わせの仕組みを確かめるには専用の実験が必要だとしています。

一方、「再生プラスチック製」という説明そのものによって、評価が有意に改善する結果は得られませんでした。環境への関心や環境保護への意欲が高い人ほど、説明による効果が大きくなるという予想も支持されませんでした。

これは、環境情報がいつも役に立たないという意味ではありません。今回の情報は、場面説明の中の一文だけでした。参加者はその内容を覚えていても、判断にどれほど使ったかは分かりません。また、環境への関心と意欲が高い人が多く、低い人との違いを十分に比べにくい集団でした。

においを消すだけでなく、どう意味づけるか

著者らは、シャンプーに期待するにおいから外れると、中身の品質や自分ににおいが移ることへの不安につながる可能性を考察しています。実際、自由回答には、ボトルのにおいが自分に付くことや中身へ移ることを心配する声がありました。ただし、この研究は化学物質の移行や人体への安全性を測定したものではなく、そうした不安が実際の危険を示すわけではありません。

さらに著者らは、再生材に特有の色やにおいを、ただ取り除くべき欠点として扱うのではなく、資源を循環させたことを伝える特徴として理解してもらう方向を提案しています。再生工程とにおいの関係や、環境上の利点を具体的に説明すれば、受け止め方が変わるかもしれないという考えです。これは今回実証した改善策ではなく、次に検証すべき提案です。

そのため、色を変えて印象を良くする方法も単純には勧めていません。着色には資源が必要で、再び分別・再生するときの扱いに影響するためです。見た目やにおいの評価と、容器を循環させやすい設計を一緒に考える必要がある、というのが研究の実務的な論点でした。

対象は2種類の材料と限られた参加者であり、再生プラスチック全般の評価には置き換えられません。価格の違い、実店舗での選択、家庭で使い続けたときの印象も調べていません。とくに香り付きシャンプーでは、中身の香りと容器のにおいが合わさるため、今回と同じ結果になるとは限りません。

まとめ

この研究では、無香シャンプーを入れた再生材ボトルのにおいが、製品の受け入れやすさや買いたさと結びついていました。においの強さだけでなく、好ましさやなじみ深さも関わり、「再生材を使っている」と知らせるだけでは評価の改善は確認されませんでした。

容器をより循環させやすくするには、材料の性能とともに、使う人がその特徴をどう受け止めるかが重要になります。著者らが示した課題は、再生材特有の感覚を減らす技術と、その特徴が生まれる理由や価値を伝える工夫を、両方から考えることでした。

参考文献

Di Cicco, F., Loos, M., Vos, I., Gibson, R., Naidoo, Y., Gifford, S., & Smeets, M. A. M.(2024). The Smell of Sustainability: Understanding Consumers’ Acceptability of Recycled Plastic Packaging with an Off-Odor. Sustainability, 16(12), 4896. DOI: 10.3390/su16124896 · 原著全文。

原著:© 2024 the authors. Licensee MDPI, Basel, Switzerland. CC BY 4.0。研究はUnileverの資金と試験容器の提供を受け、著者のうち4人は同社の従業員です。