「旅、ひとつの原料、ひとつの経験……それらが私の創造性とインスピレーションを育てる。すべては偶然に、自然発生的に起こる。香水づくりは、特定のルールには従わない」
— ロベルト・ドラゴ(共同創設者/クリエイティブ・ディレクター)
基本情報
ブランド名: Laboratorio Olfattivo(ラボラトリオ・オルファティーボ)
名称の意味: イタリア語で「嗅覚の実験室」
設立年: 2009年
共同創設者: Daniela Caon(ダニエラ・カオン)、Roberto Drago(ロベルト・ドラゴ)
拠点: イタリア
公式サイト: https://www.laboratorioolfattivo.com/
2009年、ダニエラ・カオンとロベルト・ドラゴが、アーティスティック・パフューマリーへの情熱を形にしたのがラボラトリオ・オルファティーボである。ロベルトがクリエイティブ・ディレクターを務め、ダニエラは共同創設者として、ブランドイメージと商品面を担ってきた。香りを思い描くところから、その香りを包む色や形まで、二人の仕事がつながっている。
このブランドの足跡は、イタリアの一つの都市だけには収まらない。ローマとともに紹介されることもある一方、ロベルトが育ち、最初の直営店を開いたのはトリノだ。運営会社カオン・ラボは、その近郊のアヴィリアーナに所在する。ローマ、トリノ、そしてその先へ。いくつもの土地と関わりながら育ったイタリアのブランド、と捉えると、その歩みが見えてくる。
創設者とブランドの成り立ち
香水店で育ったロベルト
ロベルト・ドラゴにとって、香水は後から選んだ業界ではなかった。幼少期、両親はトリノで香水店を営んでおり、本人の言葉を借りれば「いつも香水に囲まれて」育ったのである。彼が挙げる最初期の嗅覚記憶のひとつは、祖母の腕に頭を預けたときの、肌とタルクが混ざった匂いだった。また、学校で使ったアーモンド調の糊「コッコイーナ」の香りも、クマリンを嗅ぐと即座によみがえるという。
「子どもの頃、両親がトリノで香水店を営んでいたので、私はいつも香水に囲まれていました」
— ロベルト・ドラゴ
彼は1986年に販売員として香水業界での職歴を始め、その後、ランカスター・グループなどで経験を重ね、化粧品会社オルラーヌでは管理職を務めた。インタビューでは、販売職を11年、大企業のマネジメント職を6年経験したと振り返っている。
売場から経営へと進んだ時間は、のちの香水づくりにも生きている。ロベルトは自分の中に、流通に向く「商業の魂」と、ものづくりに向く「創造の魂」という二つの側面があると表現した。ラボラトリオ・オルファティーボは、香りへのロマンだけで立ち上げられたのではなく、売場、流通、消費者、ブランド経営を内側から知る人物が、その実務経験を創造へつなげたプロジェクトなのである。
ダニエラ・カオンという伴走者
共同創設者ダニエラ・カオンもまた、香水業界の外からやって来た人物ではない。姉妹で香水店を営んだ後、香水とスキンケアの営業に携わっていたことをロベルトが明かしている。二人は仕事と私生活のパートナーとなり、互いの能力を補い合ってきた。
ロベルトによれば、二人には香水への情熱と仕事に対する共通のビジョンがあり、日々の議論が、一人では到達できなかった成果につながったという。新しい香水の最初のアイデアはロベルトが組み立て、その実現方法をダニエラとの対話で練り、名前、色彩、パッケージなどを具体化していく。香りの構想は、こうして二人の間を行き来しながら姿を得る。
ダニエラの輪郭が最もはっきり見えるのは、その仕事の中だ。生年や出生地、幼少期、詳しい教育歴までをたどる材料は少ないが、香水店から営業、そしてブランドづくりへ進んだ歩みには一本の線が通っている。単なる「創業者の妻」ではなく、香水販売の現場を知り、ブランドのイメージと商品設計を担う共同創設者なのである。
2001年、カオンの設立
二人が最初に形にした事業は、自社香水ブランドではなく流通会社であった。2001年、英国ブランドのペックスニフズをイタリアで扱う機会を得たことを契機に、ニッチ香水専門のディストリビューター、Kaon(カオン)を設立した。当時、イタリア国内でニッチ香水を扱う店舗は約50店にすぎなかったとロベルトは回想している。
カオンで二人は、海外ブランドを発見し、イタリアの小売店に紹介し、販売現場と消費者の反応を見続けた。この8年間は、後の自社ブランドにとって事実上の準備期間であった。何が一時的な流行で、何が長く残る香りなのか。独立系香水にどのような価格、外観、説明、流通が必要なのか。二人は作り手になる前に、選び手、届け手として市場を学んだのである。
「私たちは、ニッチ香水を専門とする流通会社として2001年にカオンを設立しました。2009年、そのプロジェクトから出発し、情熱を形にするため、最初の自社ブランドとしてラボラトリオ・オルファティーボを立ち上げたのです」
— ロベルト・ドラゴ
2009年、「実験室」の誕生
2009年、二人はラボラトリオ・オルファティーボを創設した。名称は「嗅覚の実験室」を意味する。しかし、自社内の一人の専属調香師が統一様式で作品を量産する「研究所」ではない。ロベルトが起点となる物語や発想を提示し、そのアイデアに合う調香師を選び、対話を重ねながら作品へ変える、協働の場としての実験室である。
その始まりには、アランバー、アルケミ、コズメル、ダイミリスが並ぶ。発売当時に近い2010年の紹介記事は、この4作品に続いてニーマルが加わったと伝えている。一方、ザ・パフューム・ソサエティは、初期の姿を「5作品でデビュー」と紹介する。ブランドの商品資料ではアランバーとコズメルが2009年、ニーマルが2010年。出発の瞬間を4作品と数えるか、初期の広がりを含めて5作品と見るかに違いは残るが、2009年に生まれた実験室が、翌年には新しい香りを迎えていたことが分かる。
初期作から、調香師は一人に固定されていなかった。アランバーはエンリコ・ブチェッラ、アルケミとコズメルはマリー・デュシェーヌ、ダイミリスはピエール・ギヨームが担当した。アンバー、古代エジプトを想起させる樹脂、メキシコの島の熱気、アイリスとスエードといった異なる着想が並び、ブランド名どおり、複数の「鼻」がそれぞれの実験を持ち寄る構造が、最初から示されていた。
市場からではなく、物語から
ブランドの中心にあるのは、まず語りたい物語を持つ、という姿勢だ。新しい香水は「市場の必要性」からではなく、「物語を語る必要」から生まれる。記憶、旅、ある瞬間に戻ってくる感覚、断片的な情熱を、香料、アコード(複数の香料を組み合わせたひとまとまりの香調)、アルコールへ翻訳していくのである。
「新しい香水は、市場の必要性やマーケティング調査から生まれるのではなく、物語を語りたいという必要から生まれます。記憶、旅、感覚の物語です」
— ラボラトリオ・オルファティーボ公式ブランドステートメント
ただし、「市場を無視する」という意味ではない。二人は流通会社の経営者でもあり、品質、価格、パッケージの均衡をブランドの強みとして挙げている。つまり市場迎合を避けながら、商品として成立させる実務は軽視しない。この創造と商業の緊張関係こそ、ラボラトリオ・オルファティーボの現実的な個性である。
出会いがコレクションになる
ブランドの歴史には、調香師との「出会い」が繰り返し登場する。ロベルトは、ジャン=クロード・エレナ、リュシアン・フェレロ、ルカ・マッフェイ、ドミニク・ロピオンらとの協働について、「人生は出会いによって形づくられる」と語った。
とりわけ2019年に始まったマスターズ・コレクションは、その思想を象徴する。エレナは、ロベルトに招かれた香水講演で彼と出会った。ロベルトは壇上でイタリア語通訳をしながら、自らの言葉を添え、好奇心のままに質問を重ねたという。そのやり取りを面白く感じたエレナは、後に「あなたのブランドのために何かを作れたら光栄だ」と伝え、協働へ進んだ。
「つながりは、交換と分かち合いのなかで築かれます。(中略)私は香水についての講演会でロベルトに会いました。彼は笑顔で、目は誠実で、私たちには香水という共通の情熱がありました」
— ジャン=クロード・エレナ
一方、フェレロは、香水産業のマーケティングが調香師から創作の自由を奪い、画一化をもたらしたと批判する。ロベルトとダニエラとの対話で、原料の高貴さ、独創性、人間関係を中心に置く考えが一致し、45年にわたる伝統的香水づくりの経験の後に新しい冒険へ踏み出したと述べている。
「新しい香水は革新的なアイデアに基づき、その着想の独創性と、精神を表現するために用いる原料の純粋さを反映しなければなりません。人間と人間関係を、仕事の中心へ戻す必要があります」
— リュシアン・フェレロ
この言葉から見えるのは、調香師を匿名の請負人として扱わない姿勢である。ラボラトリオ・オルファティーボでは、作品ページに調香師名が明記され、その旅や記憶、原料観までが香水の物語に組み込まれる。ブランドの統一性は「同じ匂い」にあるのではなく、異なる作家の自由を、ロベルトの編集眼とダニエラの視覚・商品設計で一つの世界へまとめることにある。
店舗と国際展開
2015年12月、ブランドはトリノのマッツィーニ通りに最初の直営店を開いた。その後、トリノのジョリッティ通り、ローマ、ミラノへ店舗を展開した。公式サイトは現在、トリノ、ローマ、ミラノの3店舗を案内している。
二人の「実験室」は、イタリアから世界へと広がった。かつて「40か国以上」と紹介されていた取扱国数は、その後のブランド資料では「50か国以上」となっている。こうした数字もまた、どの時点のブランドを写したものかで姿を変える。国際展開の歩みは、香りとともに少しずつ広がってきたのである。
ブランドのこだわり
調香師の自由を編集する
ロベルトの役割は、自らすべての処方を書く調香師というより、構想を立て、適任の調香師を選び、作品を完成へ導く編集者に近い。まずロベルトが発想を育て、ダニエラとの対話で名称、色、パッケージを定める。次に、才能と作風を基準に「鼻」を選び、処方づくりへ進む。
調香師へ渡すのは、香りの最初の着想。そこから先は、その人の芸術的な能力が自由に広がる余地を残す。すべてを任せきりにするわけでも、完成形を細かく指定するわけでもない。ロベルトの原案と調香師の感性が出会い、対話の中で作品が変わっていく。方向性と自由が、ともにあるつくり方だ。
オードパルファムという器
中心的な香水群には、Eau de Parfum(オードパルファム)濃度が選ばれている。ブランドは、処方と原料の質を十分に感じ取るための理想的な表現形式だからだと説明する。香りを単なる装飾ではなく、嗅覚を通じて立ち上がる「感情的な経験」と位置づけている。
ただし、すべてがオードパルファムではない。ヴィアッジョ・イン・イタリアは、コロンの明るさと香水としての存在感を組み合わせた「パルファム・コロン」。エクストリーム・コレクションは「パルファム・インテンス」として展開される。濃度の呼称も、各コレクションの表現意図に合わせて使い分けられている。
ミニマルな外観
通常ラインのボトルは直線的で手に取りやすく、外箱は簡潔で上品に設計されている。パッケージを意図的にミニマルにするのは、「本当に重要なもの=香り」の品質を、外見の華やかさよりも先に感じてほしいからである。
ホワイト系のコレクションでは白い箱と黒いリボン、ブラック系では黒を用いて、エレガンス、ラグジュアリー、神秘性を表す。マスターズ・コレクションなどでは色付きのケースや金色のプレートも用い、通常ラインとの差異をつくっている。パッケージ担当としてダニエラの名が記された作品もあり、香りの外側にも彼女の仕事が息づいている。
原料と製造
香水ができるまでの道のりは、原料を選び、処方を組み立てるところから、製造、瓶詰め、包装まで続いている。製造後にはマセラシオン、すなわち香料とアルコールをなじませる熟成工程を置き、濾過、瓶詰めへ進む。最後の包装は自社ラボでの手作業だ。一つの発想が、手に取れる香水になるまでの工程を大切にしている。
その香りを支えるのは、天然精油やアブソリュートだけではない。アンブロキサン、アンブロセニド、リリーベルといった香料分子も、作品の中でそれぞれの役割を果たす。「すべて天然」という言葉でくくるより、必要な表現のために天然と合成の双方を使う、現代の香水づくりとして見ると分かりやすい。また、自社ラボで仕上げることと、すべての製造工程を自社だけで担うことは別の話である。
ブランドが掲げる「最高級原料」という言葉は、素材への姿勢を表すものだ。ただ、それだけで原産農園や調達量、天然香料の比率、処方の濃度まで分かるわけではない。ひとつの品質表現を、すべての作品に共通する数字や条件に置き換えず、それぞれの香りを形づくる素材と仕事に目を向けたい。
香水ラインナップ
香水は現在、クラシック・コレクション・ビアンカ、クラシック・コレクション・ネラ、クラシック・コレクション・イン・フィオーレ、エクストリーム・コレクション、フィオリトゥーレ、マスターズ・コレクション、ヴィアッジョ・イン・イタリアに分かれる。白と黒の系列には「ラボラトリオ・イン・ビアンコ」「ラボラトリオ・イン・ネロ」という呼び名も使われてきた。なお、ホワイト・コレクションはホームフレグランス側の区分。名前の変化をたどりつつ、香水の各系列がどんな表現を担うのかを見ていこう。
ホワイト系の中核ライン
2009年に始まったブランドの基幹ラインで、ブランドの商品資料ではアランバー、コズメル、ニーマル、エスヴェドラ、ノーブリージュ、ローザムンダ、サリーナ、パチョリフル、ニードユー、ミスユーが挙げられる。特定の原料やジャンルに縛られず、アンバー、タバコ、アイリス、ベチバー、ローズ、海辺、パチョリ、スキンムスクまで、ブランドの実験性を横断的に見せるコレクションである。
入口として特徴をつかみやすいのは、次の作品である。
- アランバー:ベルガモット、カカオ、シナモン、バニラを重ねた、温かいアンバー。エンリコ・ブチェッラによる2009年作。
- コズメル:メキシコの島の記憶を、バジル、クラリセージ、タバコ、インセンス、トンカ豆で描く。温かさと涼しさを往復するマリー・デュシェーヌ作品。
- サリーナ:海塩、松葉、熱い砂、ミルト、海の飛沫を用い、シチリア沖のサリーナ島を五感的に描く。単純なマリン香とは異なる、日差しと塩気のある作品である。
- ニードユー:紙ではなく肌の上で完成することを主題にした香り。レモン、ピンクペッパー、ヘディオン、アンブロキサン、ホワイトムスクが、香水と皮膚の距離を縮める。
ラボラトリオ・イン・フィオーレ
一つの花を主題に、その多面性を現代的な構成で描くラインである。マグノリアを軸にしたデコベール、ロータスのヌン、白百合のマイロ、菩提樹のティリオ・ミラビリスが収録される。花そのものの写実だけではなく、葉、水、光、スパイス、木、ムスクを通じて、花の周囲にある空気まで作るのが特徴である。
ブラック系ライン
黒をエレガンス、贅沢、神秘の象徴として用い、複雑な処方と希少・高価な原料を掲げるラインである。カシノワール、ネロティック、ヴァネラ、サクレステ、ネローザ、トンカード、エクスプロウド、ネクターなどが属する。
ここでは甘さや樹脂、煙、ウード、レザーが明暗を伴って現れる。たとえばヴァネラは、マダガスカル産バニラ・アブソリュートを、胡椒、カルダモン、シナモン、サンダルウッド、アンバー調の素材で包囲し、「甘いだけではない暗いバニラ」をつくる。サクレステは、ロベルトが8年間温めていた別の構想の過程で出会ったインセンスの試作を発展させ、ルカ・マッフェイと完成させた。
マスターズ・コレクション
2019年に始まった、著名な調香師の作家性を前面に出すコレクションである。リュシアン・フェレロによるベティベルソとタントリコ、ジャン=クロード・エレナによるバリフローラとチュベローシス、後に加わったドミニク・ロピオンによるヴァナグロリアの5作品で構成される。
エレナのチュベローシスは、冬を前に最後まで残った庭のチュベローズをめぐる記憶から生まれた。インド産カーネーション、チュベローズ・アブソリュート、コリアンダー、スパイス、ムスクという比較的絞られた素材で、花を大声ではなく「ささやき」として描く。
ヴァナグロリアでは、ロピオンがバニラの多面性を主題にし、二酸化炭素による低温抽出を用いたブルボン・バニラに、サフラン、トンカ豆、インセンスを重ねた。マスターズという名称どおり、ブランドの統一香調より、調香師の考え方と技法を読むためのラインである。
ヴィアッジョ・イン・イタリア
「イタリアへの旅」を意味する、ジャン=クロード・エレナによるパルファム・コロンのシリーズ。2020年夏のマンダリーノから始まり、リモーネ、ベルガモット、アランチャ・ロッサ、ポンペルモへ広がった。エレナが愛するイタリアと、その伝説的な柑橘原料へのオマージュであり、ブランドはこれらを「イタリアの幸福の肖像」「冬の日差しのような香り」と表現する。
単一の柑橘を写実的に再現するだけではない。たとえばベルガモットは、カラブリア産ベルガモットにビターオレンジ、カルダモン、ホワイトムスクを合わせ、果皮の明るさと香水としての持続を両立させる。
エクストリーム・コレクション
アンバーボムとウード・イン・ホワイトからなるパルファム・インテンスのラインである。持続性と拡散性に優れた原料を使い、パッケージにもいっそう精緻な仕上げを施す。通常ラインよりも、香りの強度と質感を前に押し出したコレクションだ。
フィオリトゥーレ
2026年、エレナとの新章として、花をテーマにしたフィオリトゥーレが登場した。イン・カーネーション、ジャスミネード、ローズ・ミー・トゥワイスの3作品が、カーネーション、ジャスミン、ローズをそれぞれ取り上げる。ヴィアッジョ・イン・イタリアで地中海の柑橘を描いた後、エレナが庭園の花へ視線を移したコレクションである。
ジャスミネードは、朝の青く風通しのよい側面から、時間とともにオレンジブロッサムを思わせる表情へ移り、夜には温かく動物的な深みへ至るという、花の一日の変化を構成に置き換えている。ブランドが単なる「花の香り」ではなく、時間、空気、記憶まで香水にしようとしていることがよく表れた新作である。
ちなみに……
ブランドの成長を支えた言葉として、ロベルトは「coherence(コヒアレンス=一貫性)」を繰り返し挙げている。カオンが市場で評価されるまで約10年、ラボラトリオ・オルファティーボも成果を実感するまで約10年を要したと語り、短期的な話題性ではなく、情熱、継続、一貫性を事業の基礎に置いた。
また、ロベルトがブランド内で特に名を挙げたお気に入りは、ニードユー、ヴァネラ、サリーナ、マンダリーノ、タントリコである。ただし「ラボラトリオ・オルファティーボの香りはすべて愛している」と前置きしたうえでの選択だった。
ラボラトリオ・オルファティーボの面白さは、どの作品にも同じ署名を押すことではなく、異なる調香師の署名が読める余白を残しながら、ブランドとして成立させている点にある。香りを試す際は、香調だけで選ぶのではなく、「誰が」「どの記憶や素材から」「どのコレクションの論理で」作ったかをたどると、この“実験室”の輪郭がより鮮明になるはずである。
ふたりの歩みと、香りの広がり
ロベルトの語りから浮かぶのは、香水店で過ごした子ども時代と、販売、経営、創作へと進んだ道のりだ。それに比べると、ダニエラ自身の言葉や詳しい生い立ちは、まだ輪郭の淡い部分が多い。会社の資本金や二人の出資比率、作品ごとの年間販売数も、すべて見渡せるわけではない。処方濃度、天然香料の比率、素材の調達先についても、個々の作品で語られる範囲を越えて、ブランド全体を一つの数字や条件でくくることはできない。それでも、どんな人がどんな香りを作ろうとしてきたのかは、二人の歩みと作品の中に息づいている。
始まりを4作品とする話も、5作品とする話もある。拠点として語られる地名にはローマとトリノがあり、世界への広がりを示す数字も、時とともに変わってきた。一つの年譜に並べるだけでは収まりきらない歩みだが、そこを通ってきた二人の姿は変わらない。小さな実験室から出発し、異なる調香師の個性を迎え入れながら、香りの世界を少しずつ広げてきたのである。
参考文献
- Laboratorio Olfattivo 英語版ブランド/商品総合マニュアル(ブランド理念、制作工程、コレクション構成)
- Laboratorio Olfattivo公式「Chi Siamo / About Us」(設立、創設者、理念、店舗・取扱国)
- Laboratorio Olfattivo公式商品ページおよび店舗ページ(運営会社所在地・店舗情報)
- Beauty Scenario「Questionario olfattivo: Roberto Drago」(幼少期の嗅覚記憶)
- Aus Liebe zum Duft「Roberto Drago von Laboratorio Olfattivo im Interview」(創業者の経歴・発言)
- The Perfume Society「Laboratorio Olfattivo」(創業者の職歴、ブランド創設、調香師との協働)
- Export Magazine「Interview with Roberto Drago, Co-Founder of Kaon and Laboratorio Olfattivo」(カオン創業とダニエラとの協働)
- Exportiamo「Kaon, Atelier di Profumi per Passione」(2001年のカオン設立と2009年の自社ブランド創設)
- Now Smell This「Laboratorio Olfattivo: Alambar, Alkemi, Cozumel, Daimiris」(2010年時点の初期4作品)
- ÇaFleureBon「Laboratorio Olfattivo Fragrances: 21st Century Alchemy」(初期作品と発売時期)
- Laboratorio Olfattivo公式「Need_U」
- Laboratorio Olfattivo公式「Cozumel」
- Laboratorio Olfattivo公式「Tuberosis」
- Laboratorio Olfattivo公式「Bergamotto」
- Laboratorio Olfattivo公式「Pompelmo」(ヴィアッジョ・イン・イタリア全5作品)
- Laboratorio Olfattivo公式オンラインショップ(現行コレクション区分)
- Laboratorio Olfattivo「Masters’ Collection」公式資料(エレナ、フェレロの発言)
- Accademia del Profumo「Laboratorio Olfattivo – Vanagloria」(ロピオンの説明、パッケージ担当)
- Accademia del Profumo「Laboratorio Olfattivo – Bergamotto」(エレナの説明、パッケージ担当)
- Laboratorio Olfattivo公式「Jasminade」
- Laboratorio Olfattivo公式「Rose me Twice」
- Laboratorio Olfattivo公式「In_Carnation」
- Fragrantica「Laboratorio Olfattivo Perfumes And Colognes」(一般情報、調香師一覧の確認)
- Pitti Immagine Fragranze「Laboratorio Olfattivo」(2026年時点の店舗・取扱国・コレクション概要)
- About us – Laboratorio Olfattivo
- Daniela Caon – Co-fondatrice presso Kaon srl e …
- Notre histoire – Laboratorio Olfattivo
- Laboratorio Olfattivo All Perfumes & Information – Parfumo
- Maison Tahité – The Perfume Society
- Brand “Laboratorio Olfattivo” — history, perfumers and reviews for 31 perfumes on Fragsi
- Laboratorio Olfattivo Perfumes – Fragrances, Room Sprays … – 50 ml
- Laboratorio Olfattivo – Nez the olfactory cultural movement
- Interview With Jean Claude Ellena 2023 – The Plum Girl
- LABORATORIO OLFATTIVO – exclusively available in the Haute
- Perfume Houses ~ K to L
- Laboratorio Olfattivo Parfums
- Home – Laboratorio Olfattivo
- Viaggio in Italia Archivi – Laboratorio Olfattivo
- Sample Kit Viaggio in Italia by Jean-Claude Ellena
- Sample Masters' Collection – Laboratorio Olfattivo
- Body Lotion – Need_U – Laboratorio Olfattivo
- Nez – The Olfactory Magazine #6 – Laboratorio Olfattivo
- Contact us – Laboratorio Olfattivo
- ExpLOud – Laboratorio Olfattivo
- Roberto Drago | LinkedIn
- Chocolate and perfumes
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- 【レポート】伊発ラボラトリオ オルファティーボ創業者と、世界的 …
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- Full Bottle Worthy – Esperessence
- Nerotic – Laboratorio Olfattivo
- Le Labo – Design & Product Packaging – Visual Identity
- Body Lotion – Tonkade – Laboratorio Olfattivo
- Shower Gel – Tonkade – Laboratorio Olfattivo
- Arancia Rossa – Laboratorio Olfattivo
- Black fiber sticks – Laboratorio Olfattivo
- Nerosa – Laboratorio Olfattivo
- LABORATORIO OLFATTIVO Fragrances


