歯みがき後の洗口液で、朝の口臭は変わる?

歯みがき後の洗口液で、朝の口臭は変わる? 香りの科学

歯磨きに洗口液を加えると、翌朝の口のにおいは変わるのでしょうか。2015年の比較試験では、0.075%の塩化セチルピリジニウム(CPC)を含む洗口液を併用した群で、歯磨きだけの群よりも、翌朝と清掃4時間後の口臭評点が低くなりました。

この研究は、人が嗅いだ評価だけでなく、におい成分と口内の細菌も調べています。洗口液を足すことで、感じられるにおい、硫黄化合物、細菌の構成がどう変わるかを合わせて確かめるのが目的でした。

朝の口臭がある70人を、二つの手入れに分けた

ブラジルの大学歯科診療所で行われた試験には、男性30人、女性40人、平均年齢24.3歳の70人が参加しました。重い歯周状態や口の乾燥などに関する除外条件を設けた上で、まず10日間、同じ歯磨き剤と歯ブラシを使ってもらいました。この期間の歯磨きは朝晩1分ずつで、舌の清掃やほかの口腔ケア製品の使用を控える条件です。

その後、朝の息を3人の訓練された評価者が嗅ぎ、0「においなし」から5「非常に強い」までで採点しました。平均3以上、つまり中程度以上の口臭があった人を、コンピューターによる無作為割付で35人ずつに分けています。

  • 歯磨き群:フッ化物を含む歯磨き剤で、朝晩2分ずつ歯磨き。
  • 洗口液併用群:同じ歯磨きの後に、0.075%CPC入り洗口液20 mLで30秒すすぐ。

この手入れを21日間続けました。評価者には参加者の割付を知らせず、70人全員が最後まで参加しています。ここに挙げた濃度や量は、研究で比較した条件です。

翌朝も、清掃から4時間後も、併用群の評点が低い

最終日の評価は、直前の清掃から12時間あけた朝と、その場でもう一度指定の手入れを行ってから4時間後の2回です。飲食やにおいの強い食品についても条件をそろえ、4時間の待機中は飲食を控えました。

開始時の口臭評点は、歯磨き群3.35、併用群3.36とほぼ同じでした。21日後は両群とも開始時より低下しましたが、併用群の方が有意に低い評点でした。

  • 翌朝、清掃12時間後:歯磨き群1.37に対し、併用群0.89。
  • その日の清掃4時間後:歯磨き群1.04に対し、併用群0.53。

論文はこれを、対照群より翌朝で約35%、4時間後で約49%低いと表しています。これは両群の平均評点を比べた割合で、本人のにおい成分が半分になったという意味ではありません。評点そのものを見れば、歯磨きだけでも改善があり、洗口液を追加した条件ではさらに低かった、と理解できます。

におい成分は、種類によって結果が違った

機器では、口の中から採った気体の硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルスルフィドを測定しました。これらは、硫黄を含み、気体としてにおいに関わる成分です。

3成分を合計した値は、併用群で開始時から有意に低下し、翌朝と4時間後のどちらも歯磨き群より低くなりました。個別には、硫化水素とメチルメルカプタンで、併用群の低い値が確認されています。

一方、ジメチルスルフィドでは、追跡時点の群間差は有意ではありませんでした。原著の結果本文には3成分とも両群で減ったという記述がありますが、表では歯磨き群のジメチルスルフィドは増えています。ここでは成分ごとの表に沿って読み、すべてのにおい成分が同じように減るとは扱いません。

人の評点と、主要な硫黄成分の測定が同じ方向を示した点は、この研究の特徴です。口の中の爽快感を尋ねるだけでなく、他者に感じられるにおいと、気体の組成の両方で違いを捉えています。

舌や歯垢の細菌の構成も変わった

もう一つの大きな目的が、微生物の変化です。研究者は開始時と最後の4時間後に、唾液、舌苔、歯の表面の歯垢を採り、40種の細菌に対応するDNAを調べました。

注目したのは、ポルフィロモナス・ジンジバリス、タンネレラ・フォーサイシア、トレポネーマ・デンティコラからなる「レッドコンプレックス」と呼ばれる菌群です。歯周病との関連が知られ、硫黄化合物を作る働きにも関わるとして、研究で検討されました。

併用群では、この菌群の割合が開始時より低下しました。両群を直接比べても、最後の舌苔と歯垢では、併用群の割合が有意に低くなっていました。個々の菌では、前の二つの菌の割合が、併用群の唾液・舌苔・歯垢で低下しています。

測ったのは、検討した40種のDNA信号に占める割合です。口内の菌すべての絶対数や、生きた菌だけの数を表す指標ではありません。それでも、口臭評点の低下とともに、においの発生に関連する菌の構成が変わったことは、研究の重要な成果です。

何を比べた試験なのかが大切

著者は、CPC入り洗口液を歯磨きに追加する手入れに、口臭と関連菌の割合を下げる利点があると結論しています。試験中、診察や参加者への聞き取りで、口の組織への有害な影響は報告されませんでした。

ただし、比較相手は歯磨きだけで、CPCを除いた同じ処方の洗口液ではありません。すすぐ行為やほかの配合成分から、CPC単独の働きを切り分けた設計ではない点が残ります。また、舌の清掃を控えて朝の口臭が一定以上になった人の、21日間の結果です。長期間の使用や、さまざまな原因をもつ口臭全般の効果・安全性は、この試験だけでは決まりません。

原著では、経時変化に使った統計手法の説明が、方法欄と表の注で一致しない箇所もあります。細かな変化の解釈には留保が必要ですが、人の評点、硫化水素・メチルメルカプタン、舌苔・歯垢の関連菌群については、併用群が低いという主要な比較結果が示されています。

まとめ

この70人の試験では、21日間の歯磨きに0.075%CPC入り洗口液を加えた群で、歯磨きだけの群より翌朝と清掃4時間後の口臭評点が低くなりました。硫化水素、メチルメルカプタンと、舌苔・歯垢の関連菌群の割合にも、併用群の低い値が見られました。

洗口液の研究を読むときは、香りや使用直後の感覚だけでなく、時間をあけた他者の評価、成分分析、微生物の変化を合わせて見ると、何が確かめられたのかが分かりやすくなります。

本研究はColgate-Palmolive社の資金で行われ、研究当時、共著者3人は同社の社員でした。大学側の4著者は同社との金銭的関係がないと申告し、別の共著者1人は独立した統計家と記されています。

参考文献

Feres M, et al. The efficacy of two oral hygiene regimens in reducing oral malodour: a randomised clinical trial. International Dental Journal. 2015;65(6):292–302. 原著論文(公開全文)。