脇の毛を短く切る、剃る、ワックスで抜く。どの方法でも、洗った後のにおいは同じように変わるのでしょうか。
男性30人を対象にした研究では、剃毛やワックス処理の後に石けんで洗うと、洗浄だけの場合より、直後のにおい評点が大きく下がりました。一方、はさみで短く切る方法では、初回の洗浄直後に明確な上乗せは見られませんでした。違いが出たのは、毛を処理したかどうかだけでなく、その方法と、洗ってからの時間でした。
毛の処理が、洗浄の効き方を変えるか
Lanzalacoらの論文は2015年にオンライン公開され、2016年の学術誌に掲載されました。目的は、男性の脇で、異なる除毛方法が石けん洗浄によるにおい低下をどの程度助けるかを、条件を決めて比較することでした。初回の変化だけでなく、その後のにおいの戻り方と、翌日以降に再び洗ったときの効果も追っています。
対象は18~48歳の白人男性で、事前に一定以上の脇のにおいがあり、左右の差が大きすぎない人でした。皮膚に刺激症状や感染などがある人は除外されています。30人全員が試験を完了しました。
一人の左右に、四つのうち二つの処置を割り付ける
比較したのは、毛をそのままにして洗う、はさみで皮膚に近い位置まで切って洗う、剃って洗う、ワックス処理後に洗う、という四条件です。一人が四条件すべてを経験したのではなく、左右の脇に異なる二条件を無作為に割り付けました。各条件は15の脇で評価されています。
参加者は14日間の準備期間から試験中まで、脇のデオドラントや制汗剤、香料入り製品などの使用を控えました。基準値を測る前には2%の無香料石けん液で洗い、24時間後のにおいを評価しています。
除毛処置を行った後の本試験では、すべての条件を10%の無香料石けん液で洗いました。洗浄は10秒、温水ですすぐ時間は20秒と統一しています。翌日・翌々日の再洗浄にも、この10%液を使いました。
なお、剃毛条件には、先にはさみで切り、石けんで泡立ててから剃る手順が含まれます。ワックス条件には処理後の冷水タオルによる拭き取りもありました。比べたのは実際の処置の組み合わせで、毛の有無だけを変えた比較ではありません。
訓練した4人が、時間を追って直接嗅ぐ
においは、訓練した4人の評価者が、脇に当てたカップ状の器具を通して嗅ぎ、0から10の11段階で採点しました。評価者には処置の割り付けや過去の評点を知らせていませんでしたが、脇は見えていたため、毛の状態による予想が評価へ影響する余地は残ります。
初日は処置と洗浄の直後、12時間後、24時間後に評価しました。その後、翌日と翌々日にも洗浄し、それぞれ直後と24時間後を評価しています。除毛自体は初日に一度だけ行いました。
解析では、基準時のにおい、左右、参加者の違いを考慮しました。論文が有意差の基準に採用したのはp<.10で、よく使われるp<.05より緩い基準です。この点は、特に24時間後の結果を読むときに重要になります。
初回の洗浄直後は、剃毛とワックスで大きく低下
基準時からの平均評点の低下率は、洗浄だけで23.5%、はさみで切ってから洗うと27.2%でした。この二条件の差は明確ではありませんでした。
剃毛後の洗浄では57.3%、ワックス後の洗浄では75.3%の低下となり、どちらも洗浄だけより大きく下がりました(いずれもp<.0001)。最もはっきりした成果は、この処置直後の差です。
これらの割合は、におい評点の基準値に対する変化を計算したものです。におい分子の量が57%減った、細菌が75%減ったという意味ではありません。実際に測っているのは、評価者が感じたにおいの強さです。
24時間の持続と、翌日の洗い直しは別の結果
時間がたつと、どの条件でも初回直後ほど大きな低下は残りませんでした。剃毛条件の24時間後の低下率は14.6%、洗浄だけでは6.2%でしたが、この差のp値は.0682です。論文の10%基準は満たすものの、通常の5%基準では有意にならないため、「24時間確実に効果が続く」と強く言い切るには慎重さが必要です。ワックスやはさみの条件では、24時間後の差は論文の基準でも明確ではありませんでした。
一方、翌日にもう一度洗うと、直後の低下率は洗浄だけで25.0%、剃毛済みの脇で45.2%、ワックス済みの脇で54.7%でした。翌々日の洗浄直後にも、剃毛とワックスの条件は洗浄だけより低いにおい評点を示しました。はさみの条件も、翌日の洗浄直後に限っては35.6%の低下となり、洗浄だけとの差が有意でしたが、初日と翌々日には明確な差がありませんでした。
つまり、一度の除毛後に、その後の洗浄でも直後のにおいが落ちやすいという結果です。ただし、その洗浄からさらに24時間後には、各条件の評点は基準値に近い水準へ戻っていました。数日間にわたってにおいが低いまま保たれた、という意味とは分けて捉える必要があります。
なぜ洗いやすくなったのかは、まだ仮説
著者らは、毛を剃ったり抜いたりすると、洗浄料が皮膚や毛穴の入口へ届きやすくなり、分泌物などを取り除きやすくなる可能性を挙げています。処置に伴って角質や皮脂も取り除かれることが、結果に関わったかもしれません。
ただし、この試験では細菌の数や種類、汗の量、におい分子を測っていません。菌の減少が起きたかどうかは、今後調べるべき点として論文でも挙げられています。はさみで切っただけでは初回の改善が小さかったことからも、毛の長さだけでなく、皮膚への処置や洗い方を含めて考える必要があります。
試験中に有害事象は報告されませんでしたが、ワックス処置では参加者がかなりの不快感を訴えました。対象も特定条件の男性30人であり、肌質や普段の製品使用が異なる人全般に、同じ方法を勧める根拠としては限定的です。
まとめ
この条件下では、剃毛やワックス処置の後の石けん洗浄は、洗浄だけより直後の脇のにおい評点を大きく下げました。翌日・翌々日に再び洗った直後にも差が見られ、はさみで短く切るだけでは初回の明確な上乗せは得られませんでした。
一方、時間がたつとにおいは戻り、剃毛の24時間後の差は通常の5%基準では明確ではありませんでした。研究から見えてくるのは、「毛を処理すると何日もにおわない」ということより、処置の方法が洗浄直後のにおい低下に関わる、という具体的な特徴です。
臨床試験と論文作成支援はProcter & Gambleが資金を提供しました。論文では著者全員が同社の社員と開示されています。これは研究当時の所属についての記載です。
参考文献
Lanzalaco A, et al. A comparative clinical study of different hair removal procedures and their impact on axillary odor reduction in men. Journal of Cosmetic Dermatology. 2016;15(1):58–65. doi:10.1111/jocd.12197. 公開原著全文.


