よい香りだと思うのに、続けて嗅ぐのはもう十分。2014年の小規模な実験は、そんな二つの気持ちが、反復によって異なる変わり方をすることを報告しました。女性では香りの快さの明確な低下が見られない一方、「もう一度嗅ぎたい」という評定は下がりました。男性では、もう一度嗅ぎたい気持ちが最初に下がり、その後に快さも低下するパターンでした。
研究の問いは、香りを好きと感じることと、さらに体験したいと感じることを分けて考えられるか。そして、その変化に男女の違いがあるか、というものです。
「好き」と「もう一度」を別々に尋ねる
研究では、香りの心地よさを「liking」、同じ香りをもう一度嗅ぎたい気持ちを「wanting」と呼んでいます。たとえば、花の香りを心地よく感じたまま、何度も繰り返すと次の一嗅ぎは必要ないと感じる。二つを別の質問にすることで、その違いを調べました。
参加者は20〜36歳の18人で、男性9人、女性9人です。においを識別する検査で、参加条件を満たすことを確認しました。別の18人による予備試験を行い、主試験には花、アロエ、ココナツを思わせる3種類の調合香料を選んでいます。予備試験では、これらは平均として快く感じられ、強度の明確な差が見られない濃度でした。
参加者は、鼻の下に出された瓶の香りを3秒間嗅ぎ、少し待ってから画面で快さを評価し、続いてもう一度嗅ぎたい程度を評価しました。3種類を一巡する中で順序を無作為化し、各香料40回、合計120回を約36分かけて提示。提示の間隔は平均約18秒でした。
ここでの「欲しい」は、香水を買うか、実際にもう一度嗅ぐ行動を選ぶかではなく、「もう一度嗅ぎたい」という自己評定です。快さを先、欲求を後に答える順番は、全試行で共通でした。
女性では、快さが保たれても「もう一度」は下がった
解析では3種類の香料をまとめ、反復回数と評定の関係を調べました。女性では、回数が増えるにつれて「もう一度嗅ぎたい」という評定が低下しました。一方、快さの評定には統計的に明確な低下がありませんでした。
この組み合わせが、研究のわかりやすい核心です。香りを嫌いになったから次を望まない、という一つの変化だけでは説明しきれません。同じよい香りでも、心地よさと、さらに体験したい気持ちは分けて尋ねる意味がありました。
男性では、最初とその後で変わり方が違った
男性の「もう一度嗅ぎたい」という評定は、各香料の最初の1〜4回で大きく下がり、5〜40回では明確な追加の低下が見られませんでした。快さは逆に、最初の1〜4回では明確な低下がなく、5〜40回で下がりました。
男女の変化の傾きを直接比べると、快さは後半に男性の方が大きく低下し、「もう一度」は初期に男性の方が急に低下しました。ただし、男性のデータを1〜4回と5〜40回に分けたのは、結果の形を見た後の判断です。「4回で必ず飽きる」という境界を事前に検証した実験ではありません。
初期の水準を見るために比べた2回目の評定では、快さが「もう一度」より高い傾向はありましたが、有意差には達していませんでした。二つの違いを支える中心的な結果は、開始直後の大小関係より、繰り返したときの変化の仕方にあります。
報酬への反応や、日常の楽しみとの関連も調べた
実験後には、報酬への反応、望ましくない出来事への回避傾向、楽しみを期待したり実際に味わったりする傾向を質問紙で測りました。この標本では、女性は男性より、報酬への反応と回避に関係する尺度が高くなっていました。
女性では、楽しみの期待や体験に関する尺度が高い人ほど、初期の快さと「もう一度」の評定が高いという関連がありました。男性でも、評定の変化の傾きと一部の尺度に関連が報告されています。ただし、各9人で多くの組み合わせを調べた探索的な結果です。男性の報酬尺度については、負の相関係数と本文の方向の説明が明瞭に対応しない箇所もあり、どの性格なら早く飽きるかという結論には使えません。
著者らは、香りに置く価値や関心が快さの持続に関わる可能性を考察しました。脳の報酬系やホルモンを測定した研究ではなく、性差を説明する仕組みは今後の課題です。
繰り返す香りを評価するための、小さな手掛かり
この実験には、男女各9人という人数に加え、主試験で香りの強度を測らなかったという限界があります。反復によって感じる強さが変わったか、その影響が評定にどれだけ入ったかは十分に分けられません。快さを先に尋ねる固定順も、次の回答に影響した可能性があります。
また、主解析は試行ごとの評定を用いた回帰で、同じ人から何度も得たデータのまとまりを扱う混合モデルは記載されていません。男女の一般的な性質として広げる前に、より大きな標本と別の解析で確かめたい結果です。
著者らは店舗の香りや香水選びへの応用も論じています。今回の直接的な示唆は、繰り返し体験する香りを調べる際、「心地よいか」だけでなく「まだ嗅ぎたいか」も聞くと、異なる変化を捉えられるということです。
まとめ
3種類の快い調合香料を各40回提示した実験では、女性は快さの明確な低下を示さなくても、「もう一度嗅ぎたい」という評定が下がりました。男性では「もう一度」が初期に下がり、快さはその後に低下しました。
香りを好きでいることと、今さらに嗅ぎたいことは、同じ動きをするとは限らない。少人数の探索的な研究ながら、香りへの反応を一つの好き嫌いの点数だけで捉えないための、具体的な手掛かりを示しています。
研究はSwedish Research Councilの助成とGerman Research Foundationのフェローシップに支えられ、香料はFirmenichから提供されました。著者らは利益相反がないと申告しています。
参考文献
Triscoli C, Croy I, Olausson H, Sailer U. Liking and wanting pleasant odors: different effects of repetitive exposure in men and women. Frontiers in Psychology. 2014;5:526. doi:10.3389/fpsyg.2014.00526


