白い陶器と、旅先の地名を持つ香り。アスティエ・ド・ヴィラットでは、器をつくる仕事と、香りを生活に置く仕事が並んでいる。異なる素材を扱う職人との協働が、その活動を支えている。
基本情報
- 設立:1996年、フランス・パリ
- 創設者:ブノワ・アスティエ・ド・ヴィラット、イヴァン・ペリコーリ
- 公式サイト:https://www.astierdevillatte.com/
創設者とブランドの成り立ち
美術学校の制作から、日常に使う陶器へ
二人はパリの美術学校で学び、彫刻家ジョルジュ・ジャンクロのもとで型を用いる制作に触れた。家具や陶器を試作するなかで、商業的な手応えを得たのが陶器だった。1996年にブランドを始め、2000年にはサントノレ通りに店を構える。
黒っぽい土と白い釉薬の対比は、ブランドを見分ける手がかりになった。ブノワは白について、最初から決めた美学ではなく、日常に使える器を探る過程で試した結果だったと語る。完成した外観から逆算するのではなく、制作の中で見つかったものを生かしたのである。
二人の構想を職人の手につなぐ
型を使う陶器でも、仕上がりには手作業の違いが残る。成形を担う職人のイニシャルも刻まれる。イヴァンは共同制作を、次のように表す。
陶器にはエゴがありません。
— イヴァン・ペリコーリ(英語発言の日本語訳)
ブノワがブランドの世界を説明する「存在しなかった過去」という短い言葉も、古い道具をそのまま複製する仕事とは異なる姿勢を伝えている。
ブランドのこだわり
淡路島の技術でフランスの香りをお香にする
お香づくりの協力先との出会いは、ニューヨークの展示会だった。二人は淡路島のメーカーに交渉し、ブノワも現地を訪れた。課題は、フランスで調合したエッセンシャルオイルを日本の製香工程へ取り入れること。淡路島側の工夫によって共同制作が形になった。
香りを考えることと、それを燃える一本に仕立てることは、同じ作業ではない。陶器と同様、お香も構想と製造技術が出会う場所に生まれている。
Awajiに重なる題材と製造地
公式の「Awaji」は、流木、樹脂、ジャスミン、イモーテルを香りのイメージとして掲げる。製造地は日本の淡路島。公式説明では、材料を練り、香りを含ませるために生地を約2週間置いてから成形し、乾燥させる工程が紹介されている。
地名を題材にした香りの中でも、Awajiは作品の名前と、作品を成立させる技術の土地とが重なる。旅の印象だけでなく、実際につくる場所との関係が見えるお香である。
香りを焚く道具にも陶器の仕事が続く
ブランドは陶器のインセンスホルダーも手がける。香りそのものを選ぶだけでなく、どの器に置き、煙や灰をどう眺めるか。お香を使う場面まで考えると、陶器と香りは離れた事業ではなく、一つの生活の中でつながる仕事として見えてくる。


