de mi flor(デミフロー)|デザインの仕事から生まれた、香りと花瓶をつなぐボディケア

de mi flor 081 Body Washと、容器の曲線と日常ケアを表した背景

ブランドは生き物なのだから、動き続けなければならない。

ムン・ヒョンジン

白い容器に縦のひだが走り、細い首の上に黒いポンプが載っている。韓国のde mi flor(デミフロー)は、花瓶を思わせるボトルに、香りのあるボディケアを収めるブランドである。その背景には、他社のブランドを伝えてきたデザイナーが、自分の製品と使われる場所を考える側へ踏み出した歩みがある。

基本情報

  • ブランド始動:2023年
  • 創設者:ムン・ヒョンジン(문현진/Hyun-jin Moon)
  • 国:韓国
  • 主な分野:クレンジング、ボディケア
  • 公式サイト:de mi flor

創設者とブランドの成り立ち

広告とデザインの仕事から、自分のブランドへ

ムン・ヒョンジンは2000年代初めから広告会社やデザイン会社で実務を重ね、のちにデザインを基盤とする広告会社、スーパームーンカンパニーを設立した。顧客の企画を形にし、ブランドを人に届ける仕事を続けるなかで、蓄えた知識と自分のデザイン観を、より一貫して注げる対象を求めるようになる。

自分が主導するブランドをつくりたかった。

ムン・ヒョンジン

デミフローを始めてからも、広告の仕事を離れたわけではない。顧客の仕事で得た動向や知見を自社ブランドに取り入れ、自社製品を育てる実務経験を、再び顧客の仕事へ返している。二つの仕事を行き来することが、ムンのブランド運営を支えている。

2023年、洗浄を出発点にボディケアを始める

2023年に始動したデミフローが、製品づくりの核に選んだのはニュージーランド産のゼオライトだった。微細な孔を持つ鉱物の吸着特性に着目し、洗浄用の製品に取り入れたのである。香りのある製品をつくると同時に、毎日の「洗う」という行為に向き合うことが、ブランドの出発点になった。

現在のブランドづくりにも、洗浄からその後のケアへつなぐ考え方が通っている。顔の肌と同じように身体にも細やかな基準が必要だと考え、クレンジングと、保湿・整肌を目的とするボディケアを組み合わせる。ボディウォッシュ、ローション、ミストは、別々の用途を担いながら、日々のケアの流れを構成する製品なのである。

デミフローは、この繰り返しを生活の習慣として捉えている。製品の機能や成分に加え、手に取り、使う場所で目にする形や香りまで考える。ムンが広告とデザインで扱ってきた、商品と人が出会う場への関心を、自社のボディケアでも読み取ることができる。

映像とポップアップから、海外へ接点を広げる

2024年には俳優イ・イダムと契約し、ブランドフィルムを制作した。ソウルの北村で単独ポップアップを開き、パリや東京のイベントにも参加する。グローバルブランドのポップアップやイベントを統括してきたムンは、今度は自社製品に出会う場所をつくることになった。

ブランドの輪郭も、最初から固定されていたわけではない。競争の激しい化粧品市場で、製品をどこに位置づけ、何を伝えるのかを試行錯誤してきた。2026年3月、ソウル・聖水の起業家の集まりでは、その過程をほかの創業者たちと共有している。冒頭の「動き続ける」という言葉は、製品開発だけでなく、組織や成長の課題に日々向き合うムンの姿勢を表している。

日本では2025年1月にオンラインストアを開き、2026年10月には店頭での販売が始まった。この店頭展開は、ボディウォッシュやローションなど5カテゴリーに各3種類の香りを組み合わせたもの。洗浄から保湿まで、同じ香りを通してブランドに触れる接点が広がっている。

ブランドのこだわり

洗い流す時間に合わせた、穏やかな香りづくり

香りづくりでデミフローが考えたのは、日々まとったものを洗い流し、自分に戻る時間にどのような香りが合うか、ということだった。フランスの調香教育機関ISIPCAのマスター課程を修了した調香師、イ・セミ(이새미/Lee Sae-mi)と協働し、6種類のシグネチャーフレグランスを開発している。

その一つ、081 Fleurage(フルラージュ)が描くのは、しっとりとした春の庭を思わせるホワイトフローラルである。一方、212 Citrus Nomad(シトラス・ノマド)は、森のシダーウッドの間に柑橘が広がるイメージを持つ。花と森という題材の違いがありながら、いずれも洗う時間に置く香りとして考えられている。

強く香らせることを中心に据えず、穏やかさを重視する設計は、ブランドアンバサダーのイ・イダムがフルラージュを選んだ理由にも重なる。

洗うときの香りが心地よく、ほのかでよかったです。

イ・イダム

デミフロー自身は、ゼオライト配合製品ではその吸着特性も踏まえて香りが濃くないと説明している。洗浄と香りを別々に考えず、使う場面と処方のなかで釣り合いを取ろうとしているのである。

使っている間も、その後も残る花瓶のデザイン

ボディウォッシュとローションの容器は、絵画に描かれたアンティークの花瓶を手がかりにしている。白い立体的な表面は、清らかな泡が流れるような印象も意図したもの。洗面台や浴室に置いたときの姿までが、製品の設計に含まれている。

形を決める際には、中身を守る役割も考慮された。ブランドは、ゼオライトの光に対する敏感さや吸湿性などを踏まえ、処方を保護する容器を検討したと説明している。見た目と中身の扱いを、同じ容器のなかで解決しようとしたのである。

使い終えた後には、ポンプを外し、設けられたカットラインに沿って口を広げることで、花瓶へ転用できる。花瓶に似たボトルが、最後には実際に花を生ける容器になる。この設計を持つパッケージは、2025年のiFデザインアワードのビューティーパッケージ部門で受賞した。花は香りの題材であるとともに、容器の形と次の使い道を結ぶものでもある。

参考文献

  1. THE K BEAUTY SCIENCE:ムン・ヒョンジンの登壇とブランドの歩み — https://www.thekbs.co.kr/news/articleView.html?idxno=14461
  2. BARUDA:2023年のブランド誕生と2025年の日本展開 — https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000091.000115426.html
  3. IssueMaker:ムン・ヒョンジン インタビュー — https://issue7177.tistory.com/2485
  4. de mi flor:ブランドの考え方 — https://demiflor.com/mundane/html/sub_page/about.html
  5. de mi flor:ボディケアを日々の習慣として考える — https://demiflor.com/mundane/html/product/journal_detail.html?cate_no=1&display_group=15&product_no=136
  6. Exprivé:SAVJAK Together V 開催記録 — https://www.exprive.com/press/savjak-5
  7. GOOEN:2026年の日本国内店舗展開 — https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000185320.html
  8. de mi flor:6種類のシグネチャーフレグランス — https://www.demiflor.com/mundane/html/product/journal_detail.html?cate_no=1&display_group=18&product_no=81
  9. de mi flor:ブランドアンバサダー、イ・イダム インタビュー — https://demiflor.com/mundane/html/product/journal_detail.html?cate_no=90&display_group=1&product_no=125
  10. de mi flor:花瓶に着想した容器の設計 — https://www.demiflor.com/mundane/html/product/journal_detail.html?cate_no=1&display_group=15&product_no=82
  11. de mi flor:iFデザインアワード2025受賞 — https://demiflor.com/product/%EB%8D%B0%EB%AF%B8%ED%94%8C%EB%A1%9C-if-%EB%94%94%EC%9E%90%EC%9D%B8-%EC%96%B4%EC%9B%8C%EB%93%9C-2025-winner/132/