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title: "同じ香り成分が、グアバにも猫尿にも？ ワインで変わるにおい"
description: "ソーヴィニヨン・ブランの二つの香気成分を、水と白ワインへ微量添加した研究。濃度、媒体、成分の組合せで、草・果実・硫黄様などの描写が変わりました。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/wine-mmp-pyrazine-concentration-medium/
date: 2026-10-13
modified: 2026-10-13
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["食べ物・暮らしの香り"]
type: post
lang: ja
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# 同じ香り成分が、グアバにも猫尿にも？ ワインで変わるにおい

同じ香り成分でも、水に入れたときとワインに入れたときでは、違う言葉で表現されることがあります。1999年の研究では、ソーヴィニヨン・ブランの香りに関わる二つの成分を、水と二種類の白ワインへ加え、濃度と組合せで印象がどう変わるかを調べました。

一方の成分は草やピーマン、もう一方はグアバ、硫黄、猫尿などと表現されました。ただし、その言葉は物質に一対一で貼り付いたものではなく、何に溶かすか、どれくらい加えるか、もう一方の成分があるかによって変わりました。

## 二つの主要成分で、ワインらしい香りは説明できる？

調べたのは、2-メトキシ-3-イソブチルピラジンと、4-メルカプト-4-メチルペンタン-2-オンです。原著ではそれぞれibMP、MMPと略しています。MMPは4MMPとも呼ばれる硫黄を含む香気成分です。

研究者の狙いは、この二つを単独、または一緒に加えたとき、ソーヴィニヨン・ブランの香りがどう変わるかを調べることでした。二成分だけを別々に嗅ぐのではなく、ワインのほかの成分を背景にしたときの作用を見ようとしています。

試料の土台には、脱イオン水、特徴の控えめなソーヴィニヨン・ブラン以外の白ワイン、同じく特徴の控えめなソーヴィニヨン・ブランの三つを使いました。二つのワインは1998年産の地元の製品で、無添加時は主にフルーティーと表現されています。「特徴が控えめ」でも、無臭の液体ではありません。

## ごく微量を加え、8人で香りを言葉にする

ibMPは2〜30ng／L、MMPは0.2〜20ng／Lの範囲で段階的に加えました。ngは10億分の1グラムです。ワインに実際に存在し得る量を先行研究から選んでおり、片方ずつ加える試料に加えて、両方の比率を変えた組合せも作りました。試料は窒素下、18℃の暗所で1日保管してから評価しました。

評価者はワインの官能評価に経験のある8人です。それぞれが白紙の用紙に表現を書き、その後に話し合って共通する記述をまとめました。草、ピーマン、グアバ、猫尿といった既知の表現は事前に紹介され、猫尿に似ることがある針葉樹の葉のにおいも実物で示されています。

提示は添加濃度の低い順で、盲検・ランダム順の比較や、記述の出現率の統計検定は報告されていません。以下の結果は、訓練された尺度の点数というより、このパネルが合意した香りの描写として読むものです。

## ピラジンは、水ではほこりっぽく、ワインでは草やピーマンへ

ibMPを水へ2ng／L加えたときは「ほこりっぽい」、4ng／Lではそこに草の印象が加わりました。さらに増やすと、青い豆、ハーブ、ピーマンなどの表現が現れました。

同じ2ng／Lを二つの白ワインへ加えた場合は、元のフルーティーなワイン香だけが記述されました。添加量を増やすと草やピーマンの特徴が出てきます。ソーヴィニヨン・ブランでは4〜8ng／Lが草・果実、16ng／L以上ではピーマン・草という表現になりました。

低い添加量で水だけに出た「ほこりっぽい」という印象は、ワインでは記述されていません。同じ分子でも、背景となる混合物が違うと、目立つ特徴が変わることが具体的に見えます。

## MMPの「グアバ」「猫尿」も、媒体によって変わった

MMPを水へ1ng／L加えると、グアバ、猫尿、硫黄様と表現されました。5ng／L以上では、猫尿と針葉樹様の記述が続きます。一方、ソーヴィニヨン・ブラン以外の白ワインでは、1ng／Lまで元のワイン香・果実香の記述で、5ng／Lになるとグアバ・果実・猫尿が現れました。

ところが、ソーヴィニヨン・ブランに単独で加えたMMPは、主に硫黄様・果実香として記述されています。高い添加量では針葉樹様が加わりますが、同じ表の水や別の白ワインにあるグアバ・猫尿という表現とは異なりました。

そのため、この研究を「少ないMMPはいつもグアバ、多いMMPはいつも猫尿」とまとめると、重要な部分が抜けます。濃度による変化に加え、土台となる液体の成分も、感じ方を左右していたのです。

## 二つを一緒に入れると、単独の描写を足すだけではない

両成分を加えた試料では、組合せによってさらに異なる記述になりました。たとえばソーヴィニヨン・ブランにibMPを16ng／L、MMPを10ng／L加えたものは、ピーマン・草・果実香と表現されています。同じMMP量を単独で加えたときの硫黄様という言葉は、この組合せでは記されていません。

ソーヴィニヨン・ブラン以外の白ワインでは、同じ組合せが草・ピーマン・グアバになりました。二成分の量を同じにしても、ワインを変えると同じ香りの描写にはならなかったのです。

著者らは、MMPがibMPと組み合わさることでワインの複雑さに寄与すると評価し、成分間の相乗的な作用があるのではないかと考察しました。ここでいう相乗作用は、個別の強度から予測される値を超えたかどうかを正式に検定した結果ではなく、観察した記述の違いからの解釈です。

## 二成分では再現できなかった特徴もある

アスパラガス、グーズベリー、トマトの葉、パッションフルーツ、イチジクといったソーヴィニヨン・ブランに結び付けられる表現は、今回の試料では得られませんでした。著者らは、別のピラジンや硫黄系成分との関係をさらに調べる必要があるとしています。

また、特徴の控えめなソーヴィニヨン・ブランにも、もともと微量のibMPがあった可能性を認めています。表の濃度は添加量であり、ワイン中の総量を保証した値ではありません。二つのワインと小規模な合議評価で得られた観察なので、すべてのワインの風味を予測する配合表として使うものではない点も大切です。

## まとめ

ibMPとMMPは、草・ピーマン、グアバ・硫黄様などの特徴に関わりましたが、その表現は濃度だけでなく、水かワインか、どのワインか、もう一方の成分があるかで変わりました。ソーヴィニヨン・ブランでは、MMP単独の硫黄様の描写が、ibMPとの組合せでは草や果実を含む描写へ変わる例もありました。

一方、この二成分だけでは現れない品種らしい特徴も残りました。香り成分を知るときは、分子名と一つのにおいを結び付けるだけでなく、混ざる相手と濃度まで見る必要があると教えてくれる研究です。

研究当時、著者2人は南アフリカのARCの果実・ブドウ・ワイン研究機関に所属していました。独立した資金・利益相反の声明は本文に見当たりません。

**参考文献**

Marais, J., & Swart, E.（1999）Sensory Impact of 2-Methoxy-3-Isobutylpyrazine and 4-Mercapto-4-Methylpentan-2-One Added to a Neutral Sauvignon blanc Wine. *South African Journal of Enology and Viticulture*, 20(2), 77–79. [原著論文](https://doi.org/10.21548/20-2-2235)
