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title: "VRの食卓で、香りは気づかれる？"
description: "料理が並ぶVRの空間に、フライドポテトの香りを加えたら。香りに気づいたと答えた人は、回答è€ の約18ï¼ でした。香りを足すだけでは伝わるとは限らない理由を、仮想ビュッフェの研究から考えます。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/virtual-reality-food-scent-awareness-presence/
date: 2026-10-11
modified: 2026-10-12
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["AI・香りの新技術"]
type: post
lang: ja
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# VRの食卓で、香りは気づかれる？

目の前に料理が並び、食器やレストランの音が聞こえる。そんなVRの食卓に香りを加えれば、いっそう本物らしく感じられそうです。でも、その香りに、利用者はそもそも気づくのでしょうか。

2020年、Susan PerskyとAlexander P. Dolwickは、親が子どものために食事を選ぶ仮想ビュッフェで、この問いを調べました。知りたかったのは、香りがあると知らせない状況でも気づかれるか、気づくことが「その場にいる感じ」や料理の選択とどう関係するかです。

## 子どもの食事を選ぶVRに、揚げ物の香りを加える

参加したのは、3～7歳の子どもを持つ親190人です。米国のワシントンD.C.近郊で募集され、自分を太り気味だと報告し、子どもの食事を担うことなどが参加条件でした。子ども本人がVRを使った実験ではありません。

参加者はヘッドセットとコントローラーを使い、仮想のビュッフェから子どもの食事を選びました。料理の選択肢にはフライドポテトもあります。その間、現実の部屋では2台の芳香器と扇風機を使い、フライドポテトの香りとして販売されている香料を広げました。

香りは、VRの使い方を説明する冒頭の約45秒間、装置の最大設定で提示しました。研究スタッフには非常に強く感じられたと報告されています。ただし、空気中の濃度を測って、全員に同じ量が届いたと確かめたわけではありません。参加者には、香りが含まれていることを前もって知らせませんでした。

もともとは、子どもの将来の肥満リスクについて伝える情報が、親の食事選びにどう関わるかを調べる大きな研究の一部です。今回の論文は、そのデータから香りの知覚を分析しました。全員に香りを提示しており、無香のVRと比べる実験ではありません。

## 「食べ物のにおいがした」は、182人中32人

VRを終えたあと、参加者は食べ物のにおいがしたかを5段階で回答しました。研究者は、肯定側の4または5を選んだ人を「気づいた」と分類しています。

この回答が集計されている182人のうち、気づいたと分類されたのは32人、17.6％でした。190人全員を分母にした割合ではありません。残る150人は肯定側の回答を選んでいませんが、それだけで嗅覚が働かなかった、香りの影響が一切なかった、とまでは判断できません。

気づいた32人のうち、何のにおいだったかを正しく答えたのは25人、約78％でした。ただし、正答は「フライドポテト」に限定されていません。その回答が15人で、ほかに揚げ物7人、チキン2人、ファストフード店1人も、香料の特徴に合う答えとして含まれています。

スタッフが強いと感じた香りでも、VRを使う多くの人は、あとから尋ねられて「食べ物のにおいがした」とは答えなかった。この食い違いが、研究の出発点です。

## 気づいた人ほど、VRに「いる感じ」が強かった

研究者は、年齢や性別、乗り物酔いしやすさ、料理の選択などを考慮して、香りに気づくことと関連する要因を分析しました。その結果、仮想空間に自分がいるように感じる「臨場感」の評価が高い人ほど、においがしたと答えやすい関係が見られました。

さらに、においに気づいて種類も正しく答えた人を調べる解析では、臨場感に加え、仮想のフライドポテトを選んだことにも関連がありました。一方、においに気づいたかどうかだけの解析では、ポテトの選択との関係は統計的に明確ではありませんでした。

ここで分からないのは、どちらが先に働いたかです。香りが臨場感を高めたのか、臨場感が高い人ほど場面に合った香りを受け取ったのか。香りでポテトを選びたくなったのか、ポテトに目を向けたことで香りに気づいたのか。今回の関連だけでは区別できません。選んだのは仮想の料理であり、実際に食べた量も測っていません。

## 映像や操作に注意を向けると、香りは背景になる？

著者らは、豊かな映像や料理を選ぶ操作に注意を使い、においにまで注意が向かなかった可能性を挙げています。また、においを感じても、それをVRの場面と結びつけず、現実の部屋にあるものとして扱った可能性も考えました。いずれも今回の結果を説明する仮説で、映像の豊かさや操作量を変えて確かめたわけではありません。

香りは部屋全体に提示され、装置も目立たず、事前の告知もありませんでした。もし「ここには香りもあります」と伝えたり、香りを出す装置が見えたりすれば、気づき方は変わるかもしれません。著者らは、香りを知らせるかどうかも、今後検討すべき条件だとしています。

ほかにも、においに慣れること、ヘッドセットが鼻呼吸に影響する可能性、参加者の嗅覚能力の違いが残ります。この研究では一般的な嗅覚検査を行っていません。前の参加者の香りが残った影響も検討し、その日の最初の参加者138人だけを見ても、においに気づいた割合は13％と低いままでした。

## まとめ

香りのあるVRを体験しても、香りに気づいたと報告するとは限りません。仮想ビュッフェでは、その割合は回答者の約18％にとどまりました。気づいたという報告は臨場感と関連し、種類まで正しく答えたかを見ると、対応する料理の選択とも関連していました。

この研究が示した課題は、VRに香りを足せば必ず体験が豊かになる、という単純な設計では足りないことです。何に注意を向けているか、香りを場面と結びつけられるか、香りがあると知らされているか。そうした条件を調べることで、香りが利用者の体験に役立つ場面を選びやすくなると著者らは考えています。VRはそのための技術であると同時に、日常に近い場面で人の嗅覚を調べる研究の場にもなります。

## 参考文献

Persky, S., & Dolwick, A. P. (2020). Olfactory Perception and Presence in a Virtual Reality Food Environment. *Frontiers in Virtual Reality*, 1, 571812. [DOI: 10.3389/frvir.2020.571812](https://doi.org/10.3389/frvir.2020.571812) ／ [原著全文](https://www.frontiersin.org/journals/virtual-reality/articles/10.3389/frvir.2020.571812/full)。

原著のライセンス：[CC BY 4.0](https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)。原著は米国政府の業務として執筆され、米国内では著作権保護の対象外です。米国外などでは著作権が適用される場合があります。
