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title: "匂いを言葉にすると、思い出しにくくなる？"
description: "一度å— いだ匂いを詳しく書き留めると、あとで同じ匂いを選びやすくなるのでしょうか。中国の大学生を対象にした研究は、言葉にすることが再認を妨げる場合と、その差が見えなくなる条件を調べました。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/verbal-description-odor-recognition/
date: 2026-10-12
modified: 2026-10-12
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["言葉・色・人の印象"]
type: post
lang: ja
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# 匂いを言葉にすると、思い出しにくくなる？

香りを覚えておこうとするとき、浮かんだ印象を言葉にすることがあります。しかし、あとで同じ匂いに出会ったとき、その説明はいつも助けになるのでしょうか。

Yaxiong Caoらが2024年の認知科学の国際会議で発表した研究は、匂いを詳しく説明することが、その匂いを再び選び出す「再認」に与える影響を調べました。さらに、急いで答える場合や、言葉の記憶に頼らないよう注意された場合に、結果が変わるかも検討しています。

## 一度嗅いだ革の匂いを、八つから探す

参加したのは中国の大学生148人です。事前の嗅覚テストで基準を満たさなかった8人を除き、140人を無作為に七つの群へ分けました。各群は20人です。

全員が、匂いを出すペンで革の匂いを5秒間嗅ぎ、覚えました。その後、匂いと無関係な英文を読んで設問に答える課題を20分間行います。ここから一部の群は、覚えている匂いをできるだけ詳しく5分間書き、対照群は英文の課題をさらに5分間続けました。

最後に、革を含む八つの匂いを嗅いで、最初と同じものを選びます。残る七つには、ラズベリー、メロン、燻製肉、ココナッツ、シナモン、リコリス、ローズを使いました。匂いの名前を答える課題ではなく、番号で示された選択肢から選ぶ課題です。該当する匂いがない、と答えることもできました。

主な成績は、正解か不正解かに、答えへの自信を合わせた1〜6点の得点です。自信の強い誤答ほど低く、自信の強い正答ほど高くなります。そのため、この得点をそのまま正答率と読むことはできません。

## じっくり選ぶとき、記述した群の得点が低かった

時間制限がなく、必要なら嗅ぎ直せる条件では、匂いを書かなかった群の平均は5.70点、書いた群は4.65点でした。この差は統計的に有意でした。少なくとも今回の課題では、詳しく言葉にすることが、あとで同じ匂いを見つける助けにはなっていません。

一方、一つの匂いを約2秒ずつ一度だけ嗅ぎ、八つを嗅ぎ終えたらすぐ答える条件では、記述した群も対照群も平均3.50点でした。記述による群間の差は見られませんでした。

著者らは、素早く判断すると言葉による干渉が弱まる可能性を考えています。ただし、速い条件で得点そのものが高くなったわけではありません。「急いだほうが記憶がよくなる」という結果ではなく、低い得点のところで二群の差がなくなった結果です。嗅ぎ直しの可否も変わっているため、判断の速さだけを切り出した比較でもありません。

## 言葉に頼らないよう、意識すればよいのか

研究では、記述した内容の記憶を無視し、匂いの記憶に頼るよう伝える群も設けました。別の群には、匂いの記憶に基づく答えと、自分の説明に基づく答えをそれぞれ一つずつ選んでもらいました。こちらも候補は八つのままで、最初の答えを成績に使っています。

これらの指示を受けた記述群の得点は、自由な速さで答えた通常の対照群より低く、著者らは、言葉と匂いの記憶の違いを意識するだけでは干渉を解消できないと解釈しました。ただし、二つ答える条件同士で比べると、記述の有無による有意差はありませんでした。注意の指示が必ず無効だと決めるには、比較条件をそろえた検証がさらに必要です。

## 匂い全体から、言葉の特徴へ

なぜ説明が邪魔になるのでしょうか。著者らが重視するのは、照合の仕方が変わるという仮説です。匂い全体の印象を手がかりに探していたはずが、説明を書いたあとには、そこで選んだ特徴に合うかどうかで候補を選別するようになるのかもしれません。言葉にできなかった手がかりが、その際に使われにくくなる可能性があります。

実際に、記述した参加者で革という出所を正しく言い当てた人はいませんでした。それでも、記述せず自由な速さで選んだ群の正答率は90％でした。名前を言えないことと、同じ匂いを見分けられないことは、別の問題だったのです。

記述の語数、出所の当て方、詳しさ、表現の種類という四つの指標は、再認の得点と有意に関連しませんでした。味や色、触感など、嗅覚以外の感覚を借りた表現も使われています。単に長く詳しく書くことより、言葉が匂いのどの部分を拾い、どの部分を取りこぼすかが重要なのかもしれません。ただし、この仕組み自体を直接測った実験ではありません。

## まとめ

今回の研究では、革の匂いを詳しく記述した群は、時間をかけて再認する条件で成績が低くなりました。言葉は経験を保存する手段であると同時に、あとで何を手がかりに思い出すかを変える可能性があります。著者らが示したのは、匂いの記憶と言葉の記憶が、単純に足し算になるとは限らないという問題です。

ただし、覚えた匂いは一種類で、各群は20人の大学生です。香水を何度も試しながら記録する場合や、専門家が共通の語彙で評価する場合まで調べたわけではありません。速い回答で群差がなくなった点や、注意の指示による結果も含め、言葉が役立つ条件と干渉する条件を分けて探ることが、次の課題になります。

## 参考文献

Cao, Y., Majid, A., & Vanek, N. (2024). Verbal overshadowing in odor recognition. *Proceedings of the 46th Annual Conference of the Cognitive Science Society*, 641–649. [論文情報](https://escholarship.org/uc/item/46j0b47p)／[原著全文](https://escholarship.org/content/qt46j0b47p/qt46j0b47p.pdf)。© 2024 The Author(s). [CC BY 4.0](https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)。
