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title: "トイレのにおいは、どう再現する？ 消臭試験の発生源を作る研究"
description: "便器と体の隙間、排泄直後の時間変化、使っていない間の発生。アンモニアを用いて、消臭・脱臭性能の試験に使う三つの発生方法を検討した研究です。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/toilet-ammonia-source-method/
date: 2026-10-13
modified: 2026-10-13
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["食べ物・暮らしの香り"]
type: post
lang: ja
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# トイレのにおいは、どう再現する？ 消臭試験の発生源を作る研究

トイレの脱臭性能を比べるなら、試験室に同じ量のにおいを入れればよいのでしょうか。実際には、便器の中から発生し、座っている人の体と便座の隙間を通って広がるという経路も関わります。

2012年の研究は、その「においの出方」を実験で再現する方法を検討しました。アンモニアを含ませた擬似的な便、ガスを一定量ずつ供給する装置、便器の縁に付ける発生源シールを作り、それぞれ何を再現しやすいかを調べています。

## 消臭製品を比べる前に、発生源をそろえる

著者らが問題にしたのは、部屋にガスを一様に広げる試験だけでは、便器からの発生を十分に表せないことでした。排泄直後は、温かい排泄物からにおい物質が出ます。使用していない間には、便器に付着した汚れなどが発生源になります。短時間の変化と、持続する発生の両方に対応する試験方法が必要です。

研究では、温度や湿度を調整できる約4.98立方メートルの実験室に便器を設置しました。主な実験条件は室温約25℃、相対湿度約50％、換気回数は1時間当たり0.5回です。室内中央の空気を採取してアンモニアを定量し、濃度の時間変化は別の測定装置でも追いました。対象はアンモニアで、トイレのにおい全体や人が感じる不快さを測る官能試験ではありません。

## 便座と体の隙間は、人によって大きく違った

まず20〜22歳の男女各10人に便座へ座ってもらい、太もも、股間、便座に囲まれた開口部分の面積を測りました。平均は39.2平方センチメートル、標準偏差は32.6平方センチメートルで、個人差が大きい結果でした。測定例は0から157平方センチメートルまで広がっていました。

この差には、体格だけでなく座る位置や脚の開き方も関わると著者らは考察しています。そこで、便座の上に置き、開口面積を調節できるスライド式の器具を製作しました。以後の比較では、平均値の39.2平方センチメートルにそろえています。人が座るたびに条件が変わる問題を、装置で小さくしようという工夫です。

## 実際の尿と便では、時間とともに濃度が変わる

開口面積の調査とは別に、20〜24歳の男性6人から尿と便の試料を得て、排泄直後の試料を便器へ入れました。尿と便は混ぜず、それぞれ測定しています。

例えば、著者らが平均的とした1人の便では、最初の5分間のアンモニア濃度が1.8 mg/m³、12分後に1.9 mg/m³となり、その後24分後には1.2 mg/m³へ下がりました。同じ人の尿では、最初の0.35 mg/m³から18分後の0.68 mg/m³へ上がり、24分後に0.56 mg/m³となりました。初期の上昇とその後の低下を、一定濃度だけの試験で表すことは難しそうです。

別の試料を長く追うと、約120分の時点で再び高い濃度が見られました。著者らは初期には試料の温度、その後には細菌による分解が関わる可能性を挙げています。この研究で細菌の働きを直接操作して確かめたわけではなく、濃度変化に対する説明です。

## スポンジや粘土では、上がって下がる形を作れた

擬似的な発生源には、アンモニア水溶液を含ませたスポンジと、溶液を練り込んだ紙粘土を使いました。粘土には、形や重さを便に近づけやすいという利点があります。

スポンジでは室内濃度が初期の0.28 mg/m³から120分後に0.39 mg/m³へ上がり、480分後には0.21 mg/m³へ下がりました。粘土でも0.33 mg/m³から120分後の0.41 mg/m³へ上がり、480分後には0.22 mg/m³へ下がっています。

どちらも上昇後に低下する形を作れましたが、今回の作製条件では実際の便より初期濃度や到達濃度が低く、長時間一定に発生させる用途には向きませんでした。形を似せれば、出てくるガスの量や時間変化まで同じになるとは限らないことが分かります。

## ガス供給装置と発生源シールは、違う場面を担当する

次に作ったのは、袋にためたアンモニアガスをポンプで便器内へ送る装置です。流量を管理し、供給するガスを排泄直後の試料に近い約36℃へ温めました。初期濃度や時間変化を供給量で調整でき、比較的長い時間、発生を続ける試験にも対応できます。

3回繰り返した測定では、各測定時点の濃度の標準偏差は0.01〜0.06 mg/m³でした。著者らは、検討した方法の中で安定した発生を得られ、脱臭便座などの性能試験に利用できると結論づけています。一方、スポンジや粘土に比べると装置の費用が高くなります。

研究のもう一つの柱が、**使用していないときの発生を再現するシール**です。アンモニア溶液を含ませた帯状のスポンジを、便器の縁の裏側に当たるリム部へ貼り付けました。便器の付着物から出るにおいを、発生する場所も含めて模擬するためです。

この方法では480分後に1.5 mg/m³、原著の換算で2.10 ppmとなり、著者らが既報から参考にした非使用時の濃度に近い範囲へ到達しました。非使用時の発生源として使える可能性を示す一方、時間ごとにどれだけアンモニアを放出するかは把握できず、今後の課題として残っています。

## まとめ

トイレのにおいを再現するには、物質の種類や濃度に加え、便器のどこから、どのような時間変化で出るかをそろえることが大切です。この研究では、スポンジと粘土は上昇後に低下する発生を作れましたが、初期濃度は実試料より低くなりました。ガス供給装置は発生量を調整しやすく、反復測定でも安定していました。

さらに、リム部へ貼るシールは、トイレを使っていない間の持続的な発生を模擬する候補になりました。尿と便を混ぜた場合や、シールの時間別の発生量は未検証です。こうした条件を詰めることが、生活の場に近い消臭・脱臭試験へつながります。

**研究の所属・協力：**研究当時、著者2人はLIXIL、1人は暮らしの科学研究所に所属していました。謝辞には暮らしの科学研究所の協力と、室内環境技術研究会の社会活動の一環であることが記載されています。独立した研究資金・利益相反の申告欄は確認できませんでした。

**参考文献**

二科妃里、杉山紀幸、鈴木昭人、成田泰章、野﨑淳夫．トイレ空間における臭気物質汚染に関する研究（その1）便器からのアンモニアの発生法について．*室内環境*．2012;15(1):15–25．[doi:10.7879/siej.15.15](https://doi.org/10.7879/siej.15.15)
