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title: "高級ブランドの名前を見てから嗅ぐと、香水の印象は変わる？"
description: "同じ香水に、高級ブランドの名前とボトルを添えた実験。なじみ深さや心地よさと、気持ち・心拍・表æƒ の測定を分けて読み解きます。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/science-luxury-perfume-context/
date: 2026-10-13
modified: 2026-10-13
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["言葉・色・人の印象"]
type: post
lang: ja
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# 高級ブランドの名前を見てから嗅ぐと、香水の印象は変わる？

同じ香水でも、高級ブランドの名前やボトルを見てから嗅ぐと、感じ方は変わるのでしょうか。ある実験では、高級感のある情報を添えたときに、そうでない情報を添えたときより香りが「なじみ深い」と評価されました。心地よさにも高くなる傾向がありましたが、心拍や表情の筋肉まで一緒に変わったわけではありません。

この研究は、香りの印象がブランドに左右されるかだけでなく、**本人が答える気持ちと、身体に表れる反応は、同じように動くのか**を調べたものです。

## 中身は同じ、見せる情報を変える

ジュネーブ大学などの研究チームは、まず女性学生60人に、香水の名前とブランドから感じる高級感を評価してもらいました。その結果を使って、高級感のある情報と、比較的高級感の低い情報を準備しました。

本実験には女性学生21人が参加し、測定機器の問題で2人を除いた19人のデータを解析しました。一人が1週間ずつ間隔を空けて、三つの条件すべてを体験しています。

一つ目は、画面に香水の名前、高級ブランド名、対応するボトルを見せる条件。二つ目は、別の比較的高級感の低い香水の名前、ブランド、ボトルを見せる条件。三つ目は、3桁の番号と透明な中立的ボトルを見せる基準条件です。

いずれの条件でも、実際に嗅ぐのは同じ9種類の市販の高級香水でした。画面上の情報だけを変え、香りはペン型の器具から提示します。参加者には、毎回同じ香水を嗅いでいることを知らせませんでした。条件の順序は参加者間で偏らないようにし、各回の香水の提示順もランダムにしています。

各回には、香水を入れていないペンも2回含めました。香りの手掛かりがないときにも、情報が感じ方に影響するかを調べるためです。

## 心地よさだけでなく、気持ちと身体を測る

参加者は、香りの心地よさ、強さ、なじみ深さを評価しました。それに加え、香りに伴う気持ちを測る尺度を使い、楽しさ、官能的な感じ、不快な感じ、安らぎ、感覚的な喜び、リフレッシュ感という六つの側面を答えています。

同時に、呼吸、皮膚の電気の通りやすさ、心拍の変化も記録しました。さらに、眉間と頬の筋肉の電気的な活動を測り、表情に関わる反応も調べました。香りを嗅ぐタイミングと呼吸の仕方をそろえ、香りを提示した後の反応を比べています。

高級という情報が広く感情を動かすなら、言葉で答える評価だけでなく、こうした別の指標にも変化が表れるかもしれない。それが研究チームの問いでした。

## 変わったのは、まず「なじみ深さ」

なじみ深さは、高級情報の条件が、高級感の低い情報の条件より高くなりました。ただし、この二つの条件は、番号だけを示す基準条件との比較では、どちらも有意差が認められませんでした。また、情報による変わり方は香水ごとに異なりました。

心地よさでは、三つの条件をまとめた検定には有意な差がありました。一方、条件同士を個別に比べると、高級情報の条件がほかの二条件より高いという差は、通常の有意水準に届きませんでした。したがって、ここは**「高級ブランドを見せれば、同じ香りが確実に好まれる」と言い切れる結果ではなく、高く評価される傾向が見られた**と読むのが適切です。

香りの強さの評価には、情報による有意な差は見られませんでした。高級という言葉や見た目によって、香りに関するすべての評価が一斉に上がったわけではありません。

## 香水ごとの気持ちは違う。でもブランド情報の影響は小さい

六つの気持ちの評価には、香水ごとの違いがありました。ある香水が安らぎを、別の香水が違った気持ちを呼び起こすように、香りに応じた評価の模様は変わります。しかし、同じ香水に添える高級情報を変えても、これらの気持ちの評価には有意な変化が認められませんでした。

呼吸、皮膚の反応、心拍、顔の筋肉の活動にも、情報条件による有意な変化は見つかりませんでした。著者らは、本人の評価で見つかる変化が、ほかの感情の指標に必ず同時に現れるとは限らないと考察しています。

無香のペンでは、少し違う結果がありました。結果本文では、高級情報の条件で、高級感の低い情報の条件よりリフレッシュ感が高かったと報告されています。ここでいうリフレッシュ感は、元気が出る、活力を感じる、清潔な感じという言葉で評価したものです。ただし、条件同士の差は有意水準の境界にあり、著者らも解釈を暫定的なものとしています。

## 「高級」という情報と香りを、どう切り分けるか

実験の最後に香水の名前を当ててもらうと、正しく分かったのは9種類のうち平均約1.3種類でした。多くの香水を見抜いて回答したという説明は考えにくい一方、高級ブランドの名前自体になじみがあることは、印象に関わる可能性があります。

また、操作したのは名前、ブランド、ボトル画像をまとめた情報です。価格表示だけの効果や、店内の接客、実物のボトルを持つ体験を切り分けた実験ではありません。対象も若い女性学生の小規模な集団で、文化や香水経験の違う人に同じ程度の変化が出るかは、別途確かめる必要があります。

身体反応の差が見つからなかった背景として、著者らは、比較した香水が全体に心地よく、感情の幅が大きくなかった点や、測定指標の感度も挙げています。「ブランドの影響が身体には一切ない」と結論するより、この条件では本人の一部の評価に、限られた違いが見つかったと捉えると、結果を生かしやすくなります。

研究にはFirmenich所属の著者が参加し、同社の研究助成とスイスの研究資金による支援が記載されています。

## まとめ

同じ9種類の香水でも、高級感のある名前やボトルを見せると、高級感の低い情報を見せた場合より、なじみ深く評価されました。心地よさにも高くなる傾向がありましたが、個別の条件比較で明確な差が確かめられたわけではありません。

一方、香水が呼び起こす六つの気持ちや、心拍、呼吸、顔の筋肉には、高級情報による有意な違いが見つかりませんでした。無香のペンではリフレッシュ感に限定的な変化がありました。香りの体験には見聞きした情報も重なりますが、その影響を知るには、「好きか」「何を感じたか」「身体はどう反応したか」を分けて見ることが大切です。

**参考文献**

Baer T, et al. “Dior, J’adore”: The role of contextual information of luxury on emotional responses to perfumes. Food Quality and Preference. 2018;69:36–43. [doi:10.1016/j.foodqual.2017.12.003](https://doi.org/10.1016/j.foodqual.2017.12.003)
