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title: "「天然」と知ると、香りを好きになる？"
description: "気にå ¥った香りについて「天然原料から作っています」と聞いたら、もっと好きになるでしょうか。逆に「生体触媒やバイオテクノロジーを使って作っています」と聞くと、印象は下がるのでしょうか。"
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date: 2026-10-12
modified: 2026-10-12
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["言葉・色・人の印象"]
type: post
lang: ja
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# 「天然」と知ると、香りを好きになる？

気に入った香りについて「天然原料から作っています」と聞いたら、もっと好きになるでしょうか。逆に「生体触媒やバイオテクノロジーを使って作っています」と聞くと、印象は下がるのでしょうか。

2023年の研究は、こうした由来の説明が、香りの評価にどう関わるかを調べました。背景にあるのは、香料の作り方を環境面から見直す動きです。新しい製法が役立つ可能性があっても、消費者に受け入れられなければ広がりにくい。そこで研究者は、天然らしく感じることと、香りを好きになることが、どこまで結びつくかを実験しました。

## 同じ名前の香りでも、素材と説明を分けて比べる

スイスで行われた実験には193人が参加しました。使った香りは、ベルガモット、ローズ、サンダルウッドの3種類。それぞれに、天然の精油やアブソリュートを使った試料と、その主な成分を組み合わせて似た香りを作った試料がありました。後者には、生体触媒やバイオテクノロジー由来の分子が含まれていました。

生体触媒とは、酵素など生物の働きを利用して、化学反応を進める方法です。ここでは、天然原料からそのまま取り出した香りと、こうした技術を使った成分を含む再構成香が比べられました。再構成香の全成分が同じ製法で作られたという意味ではありません。

参加者は、天然試料か再構成試料のどちらかを嗅ぐ群に無作為に分けられ、さらに、由来を知らされる群と知らされない群に分けられました。説明する場合は、天然群には天然原料から作られていること、再構成群には研究室で生体触媒や産業バイオテクノロジーを使って作られていることが伝えられました。

全員がムエットで3種類を順に嗅ぎ、好み、強さ、天然らしさ、心地よさや魅力などを評定しました。天然と再構成の試料は、同じ香りを目指していても実際の成分構成が異なります。試料同士の差と、由来を説明することの効果は、分けて考える必要があります。

## 天然らしさは上がっても、好みは一律には上がらない

天然試料は、その由来を知らされた方が、より天然らしいと評価されました。しかし、その説明が、好みや心地よさを一貫して高める結果にはつながりませんでした。天然だと認識することと、それを好きになることが、必ず同じ方向に動くわけではなかったのです。

再構成試料についても、製法を説明したために一貫して評価が下がるという結果は得られませんでした。説明の有無を通じて見ると、今回使った再構成試料の方が、天然試料より好みや快い印象の評価が高いという結果でした。これは、実際に嗅いだ試料の比較結果であり、「バイオ由来」という言葉だけで好みが上がったという意味ではありません。

強さの評定には、香りの種類による違いはありましたが、由来やその説明による有意な効果は見られませんでした。今回の実験は、以前の研究で報告された「天然だと伝えると好まれる」という効果を、一貫した形では再現しなかったことになります。

## 製法と環境の説明で、意見は変わるのか

香りの評価の後、全員が、天然原料の生産による環境への影響や、生体触媒を用いる製法についての説明文を読みました。その後の回答では、香料に天然原料を使うことを重視する度合いが、4段階評価で平均2.8から2.2へ下がったと報告されています。著者らは、天然原料の製造を環境にやさしいとみる評価も説明後に下がった一方、生体触媒側の評価には明確な変化がなかったと報告しています。

ただし、この前後比較には重要な制約があります。193人のうち62人は、説明を読んでも考えが変わらなかったと答えたため、研究者はもう一度評定を求めず、最初の点数をそのまま後の点数として使いました。著者らも、これでは再回答に伴うばらつきを扱えず、結果は慎重に解釈する必要があると認めています。説明文を読まない対照群もありませんでした。

そのため、この数字だけから、説明文が一定の大きさで考えを変える、あるいは誰でも説明を読めば天然志向が弱くなるとまでは言えません。それでも、由来の呼び名だけでなく、生産方法の具体的な情報とともに好みを考えるという、次の検証につながる結果です。

## なぜ、先行研究とは違ったのか

著者らはいくつかの可能性を挙げています。再構成した香りは、市販の香りで経験してきた印象に近く、なじみやすかったのかもしれません。また、今回使った「バイオ」という言葉は、ドイツ語圏では有機製品を連想させることがあり、技術への否定的な印象を弱めた可能性があります。どちらも、この研究だけで確定した説明ではありません。

参加者は工科大学での実験に自ら参加した人たちで、平均年齢は32歳でした。科学や香りへの関心が高い人に偏っていた可能性もあります。実験は完成した香水をブランドや包装とともに選ぶ場面ではなく、3種類の比較的単純な香りを、ベルガモット、ローズ、サンダルウッドの固定順で嗅ぐ場面でした。購入や継続使用の行動も測っていません。

また、参加者が香りから連想した言葉には、場所や思い出など、成分名や調香の分類に収まらないものもありました。著者らは、専門家の香りの記述と消費者の捉え方の違いにも注目しています。評価や選び方を理解するには、由来だけでなく、なじみ、個人の経験、選ぶ目的などを含めて調べる必要があるという考えです。

研究では、著者の一人がCollegium Helveticumのジュニア・フェローシップによる資金支援を受けたことが、謝辞と利益相反の欄に記されています。

## まとめ

天然だと知らせることで天然らしさの評価は高まっても、好みまで一律に高まるとは限りませんでした。今回の参加者は、生体触媒などを用いた製法にも、一貫した拒否反応を示していません。著者らは、新しい香料製法が消費者に受け入れられる余地があると考えています。

そこから提案されているのは、「天然」という表示だけに頼らず、何をどう作っているかを透明に伝えることです。ただし、この実験は、各試料の環境負荷が実際に小さいことを測ったものではありません。製法の利点は根拠とともに説明し、より多様な人や、包装・ブランドを伴う実際の選択場面で受け止められ方を確かめることが、次の課題になります。

## 参考文献

Michailidou, F., Bearth, A., Deilmann, C., & Siegrist, M.（2023）. Scent and sustainability: investigating consumer evaluations of biocatalysis and naturalness in fragrances. Food Quality and Preference, 111, 104994. DOI: [10.1016/j.foodqual.2023.104994](https://doi.org/10.1016/j.foodqual.2023.104994)／[ETH Zurich原著保存版](https://www.research-collection.ethz.ch/bitstreams/2c0ee7fa-7ba2-4500-a673-cbf2f7ab89cb/download)。

© 2023 The Authors. Published by Elsevier Ltd. 原著ライセンス：CC BY 4.0。
