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title: "トマトは冷蔵すると必ず香りが落ちる？ 熟した果実を4日間比べた研究"
description: "熟したトマトを7℃と20℃で4日間保存。流通過程も再現した研究では、室温に戻して評価した香りや味に有意差は見つかりませんでした。品種の違いと香り成分の変化から、食卓までの風味を考えます。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/ripe-tomato-refrigeration-flavor-four-days/
date: 2026-10-12
modified: 2026-10-12
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["食べ物・暮らしの香り"]
type: post
lang: ja
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# トマトは冷蔵すると必ず香りが落ちる？ 熟した果実を4日間比べた研究

買ってきたトマトを、冷蔵庫に入れるか、台所に置いておくか。「冷やすと香りが落ちる」と聞くと、迷うかもしれません。

2020年に発表された研究では、**熟したトマトを7℃または20℃で4日間保存し、食べるときの温度をそろえると、香りや味の評価に統計的な差は見つかりませんでした。**しかも、収穫後すぐに家庭へ届くと仮定せず、流通や店頭で過ごす時間も組み込んだ実験です。保存温度とともに大切だったのは、どんな品種のトマトか、という点でした。

## 収穫から食卓までをつなげて調べる

ドイツ・ゲッティンゲン大学のLarissa Kanskiらが考えたのは、家庭での短い保存が、トマトの風味にどう影響するかという問いです。実際に買うトマトには、収穫してから流通し、店頭に並ぶまでの時間があります。その前段階も含めて調べようとしました。

研究には、三つの目的がありました。一つは、収穫直後の果実と、流通過程を経て二つの家庭保存条件に置いた果実の比較。もう一つは、新しい育成系統とその親品種の風味の比較。そして、人が感じる甘味や酸味を「電子舌」という分析装置でどこまで捉えられるかを確かめることです。

トマトのおいしさには、糖による甘味、酸による酸味、鼻で感じる香りが重なっています。そこで研究チームは、香り成分だけでなく、糖や酸、色素、硬さなどを測り、人が実際に食べたときの評価と照らし合わせました。

## 熟した5種類を、7℃と20℃で4日間

対象は、Black Cherry、Primabella、Roterno F1という3品種と、Black Cherryをほかの2品種とそれぞれ交配して得た2育成系統です。小ぶりなタイプからサラダ向けのタイプまで、合わせて5種類を使いました。各種類を4つの独立した栽培反復で育て、色を確認して熟した果実を収穫しています。

保存の流れは、次のようにそろえました。

1. 流通段階を想定して、12.5℃で1日
2. 店頭を想定して、20℃で2日
3. 家庭に届いた後を想定して、7℃または20℃でさらに4日

どちらも収穫から計7日間です。最後の家庭保存では湿度も異なり、7℃では85％、20℃では55％に設定しました。二つの生活場面を模した条件の比較で、温度だけを変えた実験ではありません。

香りは、成分を分けて検出するガスクロマトグラフィーなどを用いて分析しました。標準物質で確認した18成分について、保存前後の変化を調べています。さらに、訓練を受けた12人の評価者が、青葉のようなにおい、トマトらしいにおいと風味、甘味、酸味、ジューシーさ、皮の硬さ、後味を評価しました。

ここで重要なのが、**冷蔵した果実も、試食前に室温へ戻した**ことです。冷蔵庫から出したばかりの冷たいトマトと、室温のトマトを食べ比べた結果ではありません。果実は提供直前に切り、同じ試料を2回ずつ評価しました。

## 香りと味には、保存条件より品種の特徴が表れた

人による評価では、7℃保存と20℃保存の間に有意差は見つかりませんでした。収穫直後の果実と保存後の果実を比べても、官能評価に有意な保存の影響は検出されませんでした。

一方で、品種や育成系統の違いははっきり表れました。たとえば、Black Cherryと、これをPrimabellaと交配した系統は、保存条件にかかわらず甘味が高く評価されました。成分分析でも、この二つは果糖とブドウ糖の濃度が高いグループでした。

複数の官能評価をまとめて眺める解析でも、同じ品種の試料は保存条件が違っても近い位置に集まる傾向がありました。今回の範囲では、家庭での4日間を冷蔵にするか室温にするかよりも、**もともとの品種・系統の特徴が、風味の違いに強く表れた**のです。

ただし、測ったものがすべて一定だったわけではありません。収穫直後と比べると、保存後には赤みが増し、果実が軟らかくなるなどの変化がありました。表に示された硬さの値では、一部の品種・系統で7℃と20℃の間にも差があります。風味の官能評価と、機器で測る個々の品質指標は、分けて読む必要があります。

## 香り成分は、一斉に増減するわけではない

成分分析を詳しく見ると、保存中の変化は分子と品種によって異なっていました。たとえば、青葉や草を思わせる香りに関わるヘキサナールは、PrimabellaとBlack Cherry × Primabellaでは、どちらの保存条件でも収穫直後より相対量が増加しました。Black Cherryでは20℃保存で増えましたが、ほかの種類では同じ変化が一律に起きたわけではありません。

一方、ベンズアルデヒドは、どちらの保存条件でも全種類で減少する方向を示し、その一部では統計的にも有意でした。ここでの数値は、検出した揮発成分全体に対する割合をもとにした比較です。ヘキサナールが増えたことを、そのまま「トマト全体の香りが強くなった」と読み替えることはできません。

こうした分子には、果実の中にある別の成分から生まれる道筋があります。ヘキサナールなど炭素が6個の香り成分には、リノール酸やリノレン酸といった脂肪酸に由来するものがあります。また、β-イオノンは、色素のβ-カロテンが分解されて生まれる香り成分です。

今回の研究でも、Primabellaではβ-カロテンとβ-イオノンの両方がほかの種類より高く、両者には正の相関がありました。品種による香りの違いを、香り成分だけでなく、その材料となる成分からも捉えた点が、この研究のおもしろいところです。

## 「電子舌」は、人の甘味や酸味の評価と重なるか

研究チームは、果汁の試料をセンサーで測る電子舌も使いました。その出力と、人による評価の相関係数は、甘味で0.82、酸味で0.52。どちらも有意な正の相関があり、甘味のほうで強く対応していました。

これは、品種や育成系統を数多く比較する際に、機器による測定を補助として使える可能性を示しています。トマトらしい香りや食感を含むおいしさ全体を一つの数値に置き換えるものではありませんが、風味のよいトマトを育てる研究に、甘味と酸味を捉える別の手段が加わったわけです。

## 家庭のトマトに重ねるときに見る条件

この結果を暮らしに重ねるなら、「冷蔵か常温か」という二択に加えて、熟し具合、温度、保存日数、食べるときの温度を見ると、話が具体的になります。

今回確かめられたのは、熟してから収穫した5種類を、共通の流通過程の後に7℃または20℃で4日間置いた場合です。さらに低い温度、より長い保存、まだ青い果実の追熟は別の条件になります。著者らも、低温保存で風味が低下した先行研究と今回の結果を、温度や期間の違いを含めて議論しています。

また、試食前に室温へ戻していますが、戻す時間を比較した研究ではありません。「何時間置けば香りが回復する」という手順までは、この実験から決まりません。評価者は訓練を受けた少人数で、一般の消費者の好みを広く調査したものでもありません。

有意差がなかったという結果は、今回の実験で差を検出しなかったという意味です。その範囲を押さえると、今回の短期保存では冷蔵による風味の低下を検出しなかったことと、条件が変われば別の結果になりうることを、無理なく一緒に捉えられます。

## まとめ

流通から家庭までを模した今回の研究では、熟したトマトを7℃と20℃で4日間保存しても、室温にそろえて評価した香りや味に有意差は見つかりませんでした。一方、品種・育成系統による違いは明確で、成分の変化にもそれぞれの特徴がありました。甘味・酸味では電子舌と人の評価にも対応が見られ、風味のよい品種を選ぶための補助的な手がかりも得られました。

トマトの風味を考える手がかりは、冷蔵庫に入れたかどうかだけではありません。どんなトマトを、どれくらい熟した時点で収穫し、どんな時間と温度を経て食べるのか。食卓までの道のりを見ることで、保存と香りの関係がもう少し細やかに見えてきます。

研究はドイツ・ニーダーザクセン州科学文化省の支援を受けたPETRAq+nプロジェクトの一部として実施されました。著者らは、利益相反に該当しうる商業的・金銭的関係はないと申告しています。

**参考文献**

- Kanski, L., Naumann, M., & Pawelzik, E. (2020). Flavor-Related Quality Attributes of Ripe Tomatoes Are Not Significantly Affected Under Two Common Household Conditions. *Frontiers in Plant Science*, 11, 472. [DOI・原著全文](https://doi.org/10.3389/fpls.2020.00472)。
