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title: "地域によって香りの感じ方は違うのか"
description: "16地域の909人を対象に、香りを12の観点から調べた研究を紹介。快さよりも強さの評価に地域との大きな関連が見られました。地域が説明する約10ï¼ という数字の意味と、国ごとの好みへ一般化できない理由を読み解きます。"
url: https://lechercheurdeparfum.com/regional-odor-perception/
date: 2026-10-11
modified: 2026-10-12
author: "Root"
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categories: ["香りの科学"]
tags: ["感じ方・記憶・気分"]
type: post
lang: ja
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# 地域によって香りの感じ方は違うのか

同じ香りを嗅いだとき、遠く離れた地域で暮らす人も、同じように感じるのでしょうか。食べ物や身の回りの植物が違えば、香りから思い浮かべるものも変わりそうです。けれど、その違いは「好きか嫌いか」だけに表れるとは限りません。

2025年9月、Eva Drnovsekらの国際研究チームは、16地域の909人を対象に、香りの感じ方を調べた研究を発表しました。快さに加え、強さ、食べ物らしさなど12の観点から評価したところ、地域との結びつきは、快さよりも強さで大きく表れました。一方、地域や年齢、性別だけでは説明できない違いが大部分を占めていました。

## 8つの香りを12の観点で嗅ぐ

調査に参加したのは、日本を含む16地域に暮らす18〜60歳の人たちです。日本では東京、ドイツではドレスデンなど、各地の研究チームが都市部で参加者を集めました。もともとの調査は18地域で行われましたが、人数の少ない地域や評価データの欠けた地域を除き、909人が今回の分析対象になっています。

参加者は、香りを出すペン型の器具を使い、8種類の匂いを嗅ぎました。使われた物質には、バナナのような香りを持つ酢酸イソアミルや、草のような香りを持つシス-3-ヘキセノールなどが含まれます。完成した香水の好みを比べた試験ではなく、用意された8種類の匂いに対する知覚を調べたものです。

評価するのは「心地よい」「強い」「食欲をそそる」「食べられそう」「焦げたような」といった12項目。参加者は母語で説明を受け、それぞれの度合いを0から100に相当する線上に記しました。1人につき、8種類と12項目を掛け合わせた96個の評価が集まります。

## 感じ方を一人ずつのプロフィールにする

これだけ多くの評価を、どう比べればよいのでしょうか。研究者たちは、主な分析に「嗅覚の知覚フィンガープリント」と呼ばれる指標を使いました。ここでは、一人ひとりの感じ方を12項目のプロフィールにまとめたものと考えるとわかりやすくなります。

まず、ある匂いのある項目について、その人の点数から参加者全体の平均点を引きます。たとえば強さなら、「この匂いを、全体の平均よりどのくらい強く感じたか」を求めるわけです。それを8種類の匂いについて平均し、その人の「強さ」の値にします。同じ計算を12項目すべてに行いました。

この方法なら、特定の匂いがもともと高く評価されやすいことと、その人が全体より高めに評価する傾向を分けて見られます。

## 地域との関連はどのくらいあったのか

性別データがそろう904人について、この12項目のプロフィール全体のばらつきを分析すると、年齢が説明する割合は1.1％、性別は0.3％でした。その二つを先に考慮したうえで、地域が説明する割合は9.6％でした。

地域ごとに参加者の評価のばらつき方も異なり、この結果を文化そのものの影響だけに分けることはできません。

ここでいう「約10％」は、この研究で作ったプロフィールのばらつきに対する数値です。「香りの好き嫌いの10％が文化で決まる」と言い換えることはできません。また、説明されなかった残りを、そのまま「生まれつきの個人差」とみなすこともできません。測定のばらつきや、今回調べていない要因も含まれるためです。

研究では、8種類の匂い同士をどれくらい似て評価したかに基づく、別のプロフィールも調べています。こちらで地域が説明する割合は8.2％。まとめ方を変えても、地域との関連は見られましたが、大部分のばらつきは説明されないという傾向は共通していました。

## 快さよりも強さに違いが表れた

12項目を一つずつ見ると、地域との関連の大きさには差がありました。違いの大きさを表す統計指標では、「強さ」が0.17、「快さ」が0.08でした。今回の評価では、快いかどうかよりも、どのくらい強く感じるかのほうが、地域による違いを捉えやすかったのです。

これは、ある地域の人が「2倍強く嗅いだ」という意味ではありません。また、鼻の感度そのものを比べる検査とも異なります。ここで比べているのは、実際に提示された匂いを、どのような強さとして評価したかです。

香りの感想を聞くとき、私たちはつい「好き？」と尋ねたくなります。この研究は、「どれくらい強い？」「食べられそう？」と問いを広げることで、好みだけでは見えない感じ方の違いに目を向けられることを教えてくれます。

## まとめ

香りの受け取り方には、遠く離れた地域で暮らす人たちの間にも、多くの共通性がある。好き嫌いに限らず12の観点から調べた今回の結果を、研究者たちはそう捉えています。一方、地域による違いは、心地よさよりも強さの評価に大きく表れました。

ただし、都市部の参加者が8種類の匂いを評価した調査で、国全体の傾向や、違いを生んだ原因までは分かりません。地域だけで一人ひとりの感じ方を説明できるわけでもありません。この研究は、香りの感じ方を考えるとき、共通する部分と、強さに表れる違いの両方を見る意味を示しています。

## 参考文献

著者：Eva Drnovsek ほか

論文名：Demographic and geographical determinants of human olfactory perception of 909 individuals inhabiting 16 regions

掲載誌：iScience, 28, 113455

オンライン初出日：2025年9月18日（巻号の日付：2025年10月17日）

DOI：10.1016/j.isci.2025.113455

[https://doi.org/10.1016/j.isci.2025.113455](https://doi.org/10.1016/j.isci.2025.113455)

原著全文：[https://depot-e.uqtr.ca/12613/1/FRASNELLI_J_30_ED.pdf](https://depot-e.uqtr.ca/12613/1/FRASNELLI_J_30_ED.pdf)

原著ライセンス：CC BY 4.0。本記事は研究内容を独自に解説したもので、原著の図表は転載していません。
